実千代鍼灸院TOP > Michiyo Cafe(第2回:突発性難聴)
■司:あの、実千代鍼灸院の鍼治療を続けて鍼灸師になろうとされたのはなぜですか?
■実:副島さんは男前女子ですからね~決めたら早いっ(笑)
■副:そうですね、早いですよ(笑)。とにかく鍼をしてもらうと身体がリラックスして緩んで、これ絶対身体に良いわっていう直感みたいなものあったんです。それで通い続けてて、まさか風邪は…って思ったら、あっ風邪も鍼効くよって言われて~風邪も鍼?効くんだ。あと何だっけ、歯が痛いとか、帯状疱疹とか、なんか寝違えたとか色々あったんですけど、全部鍼で治してもらったんです。私の中で西洋医学の治療って結構、ステロイドにしてもブロックにしても戦いみたいでしたから(笑)。
■実:そうね。怖そう(笑)。
■副:辛さを伴うことが当たり前だったんですが、ここの鍼治療はその逆なんですよ。リラックスできるっていう。だから身体が求めてたっていう感じですかね、一言で言っちゃえば。
■司:身体が求めてた、鍼灸治療を。それで東洋医学にシフトしちゃった。
■副:シフトの理由は、私ずっと長く看護師してる時に持ってた思いが、この鍼灸治療でバーッと出てきたんだと思うんです。西洋医学はもちろんそれはそれで沢山治っていく人も見てきたし、素晴らしい部分もある医学だと思うんですけども、その限界もやっぱり見てしまった。例えばその、難病って言われてる人たち、あの私なんかも突発性難聴も一応難病にも入ってくるんですけど…。治療法が分からない、原因さえも分からない病気も未だに沢山ある、これだけ医学が進歩してもです。で、そういう人たちがお薬漬けになってね、もう何か、あれ?ご飯食べれなかったんですかって、ちょっと薬が多すぎてお腹いっぱい、それだけでお腹いっぱいになっちゃってとか、いったい何をしてるんだっていうような事になっている方たちが沢山いるんです。
■実:薬を多く出すところは驚くほどですからね。
■副:でも私は東洋医学ってものを知らなかったんで、看護師でもあったし仕方ないのかなって、これが医療の現実なんかなって多分思いながら仕事をしてたんです。この度自分が鍼灸治療を実際に体験して、その東洋医学の考え方、西洋医学では難病と言われて、もう治らないって言われてた耳鳴りが治っていくと。でもそれも奇跡でも何でもなくって、ちゃんとした理由があって治っていっていると。じゃあ今度は自分がそれを持って患者さんを治したいなって、もうほんとにこの治療を受けて1か月経つか経たないかくらいの時にシフトを考えました。多分ずっとベースで悩んでたんでしょうね。
■実:そうでしょうね。
■副:これだ!って思ったんです。
■実:覚えてます。「先生、私東洋医学勉強しようと思います!」って。もう…ます!決意で。(笑)
■副:そう、あのね、ほんとにね、天からの声じゃないですけど、これだ!って思ったんです。スッと入ってきたんです。多分それは今までの看護師の長い、あの中での疑問とかがあって。
■実:そう、ちっちゃなやるせない疑問が沸ふつとあったんでしょう。
■司:看護師さんはお医者さんから与えられた薬を飲んだその後の患者さんの様子とかを見るわけですから。生の声や症状が見えたりとかが蓄積されてたってことですね。
■副:はい。
■司:今、実際東洋医学を学ばれてどうですか?
■副:難しいけどすっごく面白くて、なんかこう、スッと考え方が入ってくるというか。まぁその先生たちの、蓮風先生とか実千代先生などもそうですが患者さんに対する想いがすごく好きです。
■実:もっと患者さん大事にしないとっ(笑)
■副:本来はね、当たり前かもしれないんですけど、でもすごくすごくそこまで一人の人間というものを深くね、病気ではなく一人の人間をすごく深く考えて。さっきの心っていう部分。そこはすごく難しいけど、なんだろう、ほんとに自分がやりたかったところだなって。
■実:その感動は患者さんと共有できるからいいですね。
■副:私も看護師やってて、あぁ人間って面白いなってすごく思ってきたけど、実際は、ほんとに業務だけになっちゃう。
■実:割り切らないとやってられないところもあるでしょうし。
■副:まぁまぁ確かにちょっと忙しさに振り回されてるところが。
■実:看護師さんの、もうサロンパスの貼り方とかでも手の痕付くんちがうっていうような人いっぱい見て(笑) 張り方、迫力~(笑) でも、寄り添いすぎると疲れちゃう。
■副:そうですね。
■実:感情を導入し過ぎると大変ですし、色々見れなくなりますね。
■副:もうちょっと潰れますね。
■実:そう、だからあのサロンパスなんだってね。
■副:はっはっは、それはちょっと何かストレス溜まってたんじゃないですかね(笑)。
■実:そう、たまたまその人が?(笑)。優しく貼る人もいますよね。でも、実は鍼灸の世界でも、距離感っていうのを持たないと。患者さんの色んな話聞いて動揺している場合じゃないですからね。
■副:うんうんうん。
■実:冷静でないと、治せなくなっちゃう。でも寄り添うことも絶対大事ですから、難しいとこです。
■副:そうですね~。前、研修会で、ある先生が、患者さんが自分に似てるからこそ分かる部分があるって症例発表で言われてましたが。蓮風先生が、自分に似てるからこそ君は見失ってた部分があるんじゃないかって切り返されてました。
■実:似すぎて、分かりすぎて、感情入りすぎて、混乱するっていうパターンでしょうか。
■副:すごい、なるほどなって思いました。
■実:私も以前に、「今まで鬱(うつ)なったこと無いから、患者さんの気持ちがわからないかも…」ってある先生に言ったら、「いや、それだからいいんですよ」っていって頂いてホッとした事あります。
■副:そうですね、全部みんなの気持ち分かってたら大変ですよ。身が持たないですもんね。
■実:かといって何も分かんなかったら困るけど(笑)。
■副:そうですね(笑)。
■司:人間が人間を治療するんですもんね。
■実:だから、本当は分かって客観的にみれることがいいですけど。でも同じ病名でもひとりひとり性格も環境も違いますから分かるって事は難しいですね。わかる努力はしないと。ね。
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