(脾胃を守るための10項目)
・腹八部実行。
・油物、塩分は意識して少なくする。
・夜9時以降の食事は完全和食で。
・よく咀嚼して食べる。
・激辛料理は避ける。
・よく歩く。(1日45分以上)
・運動できない人は朝ラジオ体操かエスカレーターなど使わず 意識して階段を使う。
・友人に話すなどストレスを溜め込めない。(ため息注意)
・寝不足にならないよう生活を見直す。
・梅製品を取るようにする。(梅肉エキスや梅ジュースなど)
・タバコはひかえる。
脾胃の弱い人は10項目の半分以上は出来ていないと思います。
ストレスがたまると胃に熱がこもり過食に過食が重なりますが普段からこれらを意識するのとしないのとでは、数年後に大きな差が出てきます。
日本人は農耕民族ですので本来腸も長く菜食こそが身体にあった食事なのです。
食生活に教養をもって共々に脾胃を守っていきましょう。
(舌をみて脾胃の負担を確認しよう)
案外身近で健康の基準となる身体の反応は見落とされています。その一つが舌です。
脾胃に負担がかかっていることを自分で確認するために自分の舌を見る習慣をつけましょう。
簡単に言えば、正常な舌は下記のとおりです。
・舌を出したとき、まっすぐで曲がっていないこと。
・出したとき細かく震えてたりせず、静止できること。
・舌全体にうっすらと白い苔(こけ)がついていること。
・適度に潤っていること。
・舌の質の色が白過ぎず、赤過ぎず、紫色っぽくもなく、淡い赤である。
細かく言えばいろいろありますが、大体でいいです。チェックしてみてください。
次に脾胃を痛めている人の舌です。
・苔が分厚く削ってもはえてくる。
・苔で覆われすぎていて舌の質の色が見えない。
・舌の苔が地図のように所々はげている。
・舌の中央が周りと比べて特に赤みがきつくはげている。
・舌がとても赤く乾燥している。
などなど、一項目でもあれば、要注意です。舌は様々に変化しますが、内臓の状態を見るための目安となります。
脾胃の異常は苔の厚さと、舌の中央あたりの異変にあらわれます。苔が厚い人は特に食べすぎは厳禁です。
ここで「脾」と「胃」に分けてその病理を見ていきましょう。
はじめに「胃」についてです。「はい」の数をチェックして下さい。
・胃の辺りがよく痛む。
・食べるともたれる時がある。
・よく胸焼けする。
・ゲップがよく出る。
・しゃっくりがよく出る。
・過食すると吐き気がする時がある。
・食べるともたれる時がある。
・背中で胃の後ろ辺りが痛むときがある。
・便秘するほう。
・口臭がある。
・ガスがよく出る。
・普段から大食してしまう。
・食べるとよくお腹が張る。
はいの数が5つ以上ある人は胃にかなり負担がかかっています。
胃は食べたものを受け取り消化させ小腸に送り込みます。
また、胃の「気」の動きは食べたものを下に降ろす「下降」が主となります。これらに異常が出れば食べたものが下に降りず逆に上がってしまいゲップ、しゃっくり、嘔吐などが生じるのです。
次に「脾」について見てみましょう。同じく「はい」の数を数えて下さい。
・下痢し易い(軟便傾向)
・食欲がない時がある。
・食後に眠たくなる(昼以外でも)
・胃下垂(子宮脱、脱肛なども)になった事がある。
・むくみ易い。(特に足)
・雨天時、梅雨に調子が悪い。(身体が重いなど)
・立ちくらみする事がある。
・眼の下にくまがよくできる。
・顔にしみが多い。
・上瞼が落ちてくるような感じがする。
・すぐ横になりたがる。
・不正出血したときがある。
5つ以上「はい」があった人は脾の臓が弱っていると思ってください。
脾は食物の消化を更に進め消化された栄養物質の吸収と運化(栄養を全身に運ぶ)の役割を担います。
また、脾の「気」の運動は胃とは逆で「昇」が主で、上に持ち上げます。ですから、その作用が弱ると持ち上げることができず内臓下垂、眼瞼下垂などが生じるのです。
また、脾は血液を作る大元ですので脾が弱ると貧血状態になり易く立ちくらみなどが生じます。
脾は形は「脾臓」や「すい臓」、機能は「すい臓」と「小腸」など様々な説がありますが、明確には述べられていません。
しかし形はなくてもその機能は重要な役割を担っています。
まさに「脾」と「胃」は健康を保つ上で中心となるのです。
次回は脾胃を守る方法を考えていきましょう。
・運動と飲食のバランス
年末・お正月とほとんどの方が身体を動かさず飲食過多になっているのではないでしょうか?
7日は七草粥を食して胃の疲れを取る習慣がありますが、昔は飲食も質素、乗り物なども便利でなく人々は皆よく身体を動かしていたことでしょう。その上七草粥の習慣を重んじ胃を守ってきました。
現代は運動と食べる量のバランスが悪すぎて皆糖尿病など多くの疾患を患っています。飲食した分歩いたり運動しただけでどれほど病気にならずにすむ事でしょうか。
さて、東洋医学では「胃」を「脾胃(ひい)」という概念でくくり五臓六腑の中で最も大切にしなければならない中心的な所として重要視しています。
いかに脾胃を守ることが大切か、またここから様々な疾患を発生させるという事を知ってください。
・脾胃と石臼の関係
近松門左衛門の弟といわれている岡本一抱という人が脾と胃の関係を石臼(いしうす)に例えて説明しています。
上側が「脾の臓」、下側が「胃の腑」、取っ手を「手足」、穴に入れる豆は「水穀」とします。
取っ手(手足)を動かすと脾の臓が動き、胃の腑に入った飲食物(栄養)を揉んで消化吸収できるように細かくくだいていきます。
つまり、胃の腑は飲食を受け取る「受納」という作用。
脾の臓はその飲食(栄養素)をくだき(それらを水穀の精微という)栄養を全身に運化(運ぶ)していきます。
何を運化するのかを分ければ、飲食物の運化と水湿の運化になります。
したがって胃の腑に受納したものを砕いて栄養素に変えていく脾の臓の働きを促進するためには手足を動かさなければならないのです。それが歩くなどの運動にあたります。
・脾胃の「気」の作用
脾の気は昇(昇ります)
胃の気は降(下降します)
脾の気は栄養と水液を吸収輸布し、心肺まで輸送するという運化作用があります。
胃の気は食物を消化させ下に送るという下降作用があります。
また、脾胃で作られた栄養素が血液となったものは血管内を廻り、血管外の水液は津液(しんえき)と呼ばれ全身を潤します。
さらに「脾胃の気」のことを「胃の気」と呼び最も大切な気として重要視します。胃の気は生命力そのものを指します。
・脾胃の喜と嫌
胃は潤(うるおい)を喜(この)み、燥(乾燥)を嫌います。
脾は燥(乾燥)を喜(この)み、潤(うるおい)を嫌います。
陰陽で分ければ、胃は陽、脾は陰ですので、胃は熱をもち易いので潤(うるおい)を好み、脾はもともと陰なので湿(陰)邪に弱いのです。
脾が弱い人は、雨天や梅雨の季節になると調子が悪くなり易く、下痢やむくみの症状が出やすくなります。
また、ストレスや過食などにより胃に熱を持つとますます過食になり便秘(コロコロなど)や口臭などが出てきます。
詳しい病理は次回をお楽しみにしてください。
東洋医学の言葉に慣れるまでは難しく感じると思いますが非常に理に適っていますので是非何度も読んでみてください。
あけましておめでとうございます。
皆さんは普段どのような夢を見ますか?
特に1月2日の朝に覚えている夢を初夢といいますが、素敵な初夢見られましたか?
東洋医学を学ぶ私達も診断のひとつとして、夢をよく見るかどうか、またどのような夢を見るのかを重視します。
西洋医学のほうでも不眠の人は夢が多いとのデータもあるようです。
古代中国医学が実際に体系づけられるようになった、春秋戦国時代の末期(前320~250)に出来上がったと推定される原典の書「黄帝内経」の中の「淫邪発夢編第43条」に夢に関して書かれてありますのでご紹介します。
(実証の人)
邪気(生体のアンバランスを引き起こすもの)が有余の場合
人体の上部の方に気が盛ん(上がっている)時は空を飛ぶ夢。下部に盛んな時は墜落する夢を見る。
肝気が盛ん→怒る夢。
肺気が盛ん→びくびく恐れたり泣き叫んだり、ふわっと飛び上がるような夢。
心気が盛ん→夢の中でよく笑ったり、恐れたりする夢。
脾気が盛ん→歌い楽しむ、或いは身が重くて身動きできない。
腎気が盛ん→腰と脊が離れてくっつかない夢。
(虚証の人)
正気が不足(気・血・精などが不足している状態)の人。
心気が不足→山林に煙火(のろし)を見る。
肺気が不足→飛び上がったり金属で造った奇物(珍しい物)夢
肝気が不足→山林や樹木の夢。
脾気が不足→丘陵、大きな沢、壊れた家屋、風雨の夢。
腎気が不足→深い水辺にたたずんで下を覗き込んだり、水中にもぐる夢。
膀胱→夢の中でぶらぶら散歩。
胃 →物を食べたり飲んだりする夢。
大腸→田んぼや野原の夢。
小腸→都市などの市街地の夢。
胆 →他人と喧嘩したり口論したりして自分も怪我する夢。
陰器→男女の房事の夢。
項 →首を切られる夢。
脛 →走ることできず、前にも後ろにも行けない。
股間→礼拝する夢。
膀胱直腸→小便、大便の夢。
以上ですが、東洋医学では例えば肝といっても肝臓そのものと共にその機能を幅広く指しますので西洋医学での肝臓の概念とは異なります。
上記に似た夢を見たとき五臓六腑のいずれかが何らかの信号を発していると考えていいですが、あくまでも参考です。
ただ、こられる患者さんを参考にさせて頂ければ、肝胆に異常がある人は確かに怒る夢を見られている人が多いですし、精神的にかなり病んでいる人は、追いかけられたりなど怖い夢を見る方が多いです。また、脾胃を痛めている人は金縛りにあったりされています。
私自身も、あまり夢を見るほうではありませんが、かなり思い当たることが多い事に驚きます。
夢を見てもすぐ忘れてしますのが普通ですので、同じような変な夢を見たり、いつまでもはっきり覚えていたりする人は、精神的にリラックスできよう何らかの形で、緊張をほぐす事をお勧めします。
睡眠は静で陰、覚醒は動で陽。つまり陽気から陰気への転化が睡眠、陰気から陽気への転化が覚醒、ということが「その1」で分かりましたか?
このような「陰陽の気」が自然に規律をもって転換する事が安眠であり、これが乱れると不眠となります。
ではなぜ陰陽が乱れるのか、ここには精神情緒の問題が大きく関わってきます。
五臓と精神作用との関係は下記のようになります。
精神状態 五臓 精神作用
怒り過ぎれば肝を傷る・・・肝・・・魂
喜び過ぎれば心を傷る・・・心・・・神
思い過ぎれば脾を傷る・・・脾・・・思(思慮)
憂い過ぎれば肺を傷る・・・肺・・・魄(本能・感覚)
恐れ過ぎれば腎を傷る・・・腎・・・志
このようにそれぞれの五臓が精神作用を分担しています。
その中でもこれら全てを統括しているのが「心神」であるといわれています。
東洋医学は精神状態と五臓六腑は深くつながっていると捉えます。
五臓が病めば精神が乱れ、また、反対に精神が乱れれば五臓が病みます。
したがって、精神作用の中心である心神が乱れれば不眠があらわれるのです。
東洋医学では不眠といっても様々なタイプに分類されます。簡単にいくつかを紹介します。
1、肝鬱血虚(かんうつけっきょ)型
肝気が高ぶると眠れなくなり多夢になる。夢をみて驚いたり、ため息が多い、脇が脹って痛む、イライラしやすい、緊張しやすい、咽喉の閉塞感、爪に縦筋が多い、コムラ返りになる、など伴いやすい。
2、心脾両虚(しんぴりょうきょ)型
よく夢を見て目が覚めやすく一旦目覚めると寝つきが悪くなる、動悸、息切れ、顔色白い、精神疲労、驚きやすいなど伴う。
3、胃気不和(いきふわ)型
過食により胃の気が安定しない。ゲップが出たり腹脹など伴う。
4、心腎不交(しんじんふこう)型
心火と腎水が交わらず不眠になる、手足が火照る、頬が赤い、口が渇く、ひどくなると胸がモヤモヤする 健忘、腰がだるくなるなどの症状を伴う。
以上のように心・肝・脾(胃)・腎を病んでいる人は不眠になり易いのですが、これらは、精神状態から五臓を病むことにより出現しますので、心神の安定が何より大切となります。
鍼灸治療は不眠にも大いに効果をあげますが、ここで日常できるアドバイスを紹介しましょう。
1.過食を避けること。
2.ラジオ体操やウオーキングなどで身体の緊張をほぐす。
3.信頼できる人に悩みを聞いてもらうこと。
4.腰湯、足湯などで気を下に下げること。
5.気が上に上がるようなカフェイン類、唐辛子などスパイシなものはひかえる事。
6.腎が弱い人は塩分、生ものを控えて、山芋、黒い食物(黒ゴマ、黒豆など)を多くとる。
熟睡感があるということが健康を保つ上でとても大切になります。どうか焦らず心身ともに安定を保っていってください。