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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2007年5月28日(月)

Vol.13我が尊敬する病気の友へ

先日「病気上手の死に下手」という事について、「ただ病気にかからないように注意していれば、長生きできるというわけではない。また、長生きイコール幸福で充実した人生とはいえない」という記事がありました。

医療に携わる私にとってはいつも、病気になった原因を追究しその原因を心身両面から取り除こうと、そのことを一日中考え悩んでいる。
勿論それは当然のことです。
患者さんは自分の苦痛や不安を取り除いてくれることを欲してやってくるのだから。

しかし、病気になった=生き方が間違っていたのか、それを私は前面否定したい。たしかに生活に無理があってバランスを崩したことは事実なのだが・・・むしろ生き方は素晴らしい場合がある。

病気になったからこそ感じれる人への感謝、温かさ、反対に孤独や悲しみ。
いろんな裸の感情を経験し、人生の深みが増し人に多くの感動を与えている人達のなんと多いことか。

この言葉の中には、健康は幸福の一部だが全てではない。結局は健康であれ、病気であれその人にとって、一切否定することなく、充実の毎日に向かって前進しているか否か。ではないかと深い感慨をもって読んだ。

そしてむしろ、実は病気と闘っている姿そのものが最高に生きているという事なのかもしれない。

最後に、病気と闘っている友へ、
「私は心からあなたを尊敬し、その姿に学びたいです。」

そして常に自然治癒しようと闘っている健気な細胞たちへ
「鍼灸はあなたに大きな力を必ず与える事を約束します。」

患者さんに学びながら日々精進していくのみです。

2007年5月16日(水)

Vol.12元気の大本[腎]について」-その2

1、中医学での腎臓の考え方

中医でいう所の腎は精(エネルギーの大本)と志が蔵される(納まっている倉庫)といわれています。
したがって、エネルギーの大本である精をいかに消耗させずにいくかが腎を守る上で大切です。
また、精が消耗すると志(ひとつ事を成し遂げる忍耐力、持久力ともいうべき精神)が軟弱になります。
ここ近年いわゆる「切れる子」といわれるように突然人を傷つける人達が急増しています。腎が弱ると気が上に上がり制御できなくなる為なのです。
どうすれば精が消耗してしまうのかを考えながら、陣を守る方法を探っていきましょう。

2、腎精を守るために

①精は父母の精子、卵子そのものですので、房事過多(過剰なセックス)は腎を弱らせます。

②マイナス思考、くよくよ考えすぎることは腎精を消耗させます。何より心神の安定が腎を守ることになります。

③腎を補うのは脾胃です。つまり胃腸を守る事(過食しないとか、咀嚼するとか、適度な運動など)が腎を守ることになります。

④腎精は少し温かい水と追われているように、冷やし過ぎることは禁物です。(クーラーに入りすぎる、生物の過食など)

⑤足の裏には腎経のスタートのツボがあります。よく歩いたり、竹踏みをしたりして下半身を強化しましょう。

⑥中医の五行という考え方では腎と黒色は関係が深いですので黒い食品(黒豆、黒ゴマ、ひじきなど)を多く摂取しましょう。

⑦栗、山芋は腎精を補う優れた食品です。

⑧腎の弱い人は塩分を好みます。過度になると更に腎を傷めますので薄味を心がけましょう。

さあ、これからクーラーの季節、くれぐれも腎を弱らせないように冷やしすぎないでね!

2007年3月18日(日)

Vol.11元気の大元「腎」についてーその1

前回で少し触れたように、腰痛・白髪・健忘・尿失禁・耳鳴り(低音が多い)不妊症・冷え性・根気がない又は先天性の障害などは全て中医学では腎臓を含む腎の機能の衰えと捉えます。
誰もがおとずれる老化現象ですが、最近は若い人たちが上記のような症状を訴えられます。
なぜなのでしょう?一緒に中医の立場から腎がいかに大切かを考えて見ましょう。

①腎は精を貯蔵している。
両親から受け継いだ元気の大元ともいうべき精を貯蔵しているのが腎です。
この精は生殖や成長を促進し、次世代へ精を伝えていく大元となります。
したがって高年齢で出産した人はこの元気の大元である精の衰えにより未熟児や虚弱なお子さんを出産し易くなるといえます。
しかし最近は食べ物や環境汚染などの影響からか若い人、男性では精子の動きや数の減少、女性でも生殖機能の低下が多く不妊症の問題が深刻になってきています。

②腎の精は腎気(腎の気)と腎陽(腎の陽)を生み出す。
簡単に腎気と腎陽について知ってください。
腎気は主に固摂(こせつ)作用といって大切な腎の精をもれないようにしたり、膀胱と協力して尿などの開閉作用を正常に保ちます。

腎陽は身体の全ての陽気(温かさ)の根本(大元)になる火種ともいうべき大切なものです。

腎精はこの腎気と腎陽を作りますので、腎精が不足しても腎気と腎陽に影響を与え腎気、腎陽が不足しても腎精不足になり、相互に影響いあいます。
では、これらの不足は具体的にどのような病症を引き起こすか見ていきましょう。

・腎気不足
①腰がだるく痛いことがよくある。
②夜間尿がある。
③1日10回以上尿に行く。
④尿の勢いか切れが悪い。
⑤残尿感がよくある。
⑥ヘルニアになったことがある。

・腎陽不足
⑦手足が冷える。
⑧靴下を履かないと寝れない。
⑨冷えにより腰のだるさや頻尿が増す。
⑩下肢の浮腫がよくおこる。
⑪水様性の下痢をよくする。

・腎精不足
①先天性の異常がある。
②髪の毛がよく抜ける。
③白髪が年齢のわりに多いほう。
④難聴がある。
⑤健忘症と感じたことがある。
⑥骨折しやすい。
⑦不妊症
⑧精力の減退を感じる。

⑨手足のほてりがある。(布団から足を出す)
⑩夕方になると微熱がでる。
⑪寝汗をよくかく。
⑫不眠症。
⑬咽喉が乾燥する。
⑭尿の色が朝以外でも濃い黄色である。
⑮高血圧のほう。
⑯冷えのぼせするほう。
⑰顔面痙攣になったことがある。

腎気不足の①~⑥で3つ以上「はい」の人は腎気が弱っています。それに加え⑦~⑪で3つ以上「はい」の人は腎気不足が進んで腎陽不足まで発展している姿です。

腎精不足では①~⑧までに4つ以上「はい」の人は腎精の不足している人です。それに加え⑨~⑰の中で4つ以上「はい」の人は腎精不足が進行し、腎陰不足という重症な状態になっています。
次回はこれらを防ぐためのアドバイスをお知らせしていきます。

2007年3月9日(金)

Vol.10春の病症その2

ここでは春における養生法について知ってください。
古典の黄帝内経という本の「四気調神大論編第二」の中に春夏秋冬における養生法が書かれてあります。
春は早く起きなさいとか、ゆっくりと散歩しなさいとか、髪をゆるく結びなさい等など・・・

その1では様々な上焦(肩から上部)の病症は春の気候と重なって肝気の高ぶりにあるということが分かりました。
ですから上に昇る性質のある肝気を高ぶらせないことが大切です。

(肝気を高ぶらせないために)

・上に急速に伸びていくタケノコ等は益々気を高ぶらせます。それもタケノコの上部は要注意です。

・コーヒー、緑茶など覚醒作用のある飲み物も同様に気を上に昇らせます。

・油物、甘いもの、キムチなど辛いものの過食は身体を熱の方に傾けます。熱は上へ昇る性質がありますので特にかゆみ疾患
のある人は注意が必要です。緊張が続いたり(多忙過ぎても)イライラすると多くの人は甘いものを取りたくなります。それは甘いもので高ぶった肝気をゆるめる為です。緊張すれば緩和したいと身体が働きますので甘いもので緩めようとするのです。その中でもチョコレートを特に好む人はかなり肝気が高ぶっているとみていいでしょう。少しならいいのですが過食は脾胃に悪影響をあたえます。

・香りでも食べ物でも柑橘系(みかんなど)を好む人は肝気が高いです。このようなさっぱりとした匂いは理気作用といって滞っている気を通じさせめぐらせる作用があるので好むのです。

・肝の臓は伸び伸びを好みますので、身体につけるもの(下着やベルトなど)はきついものにせず、緩やかなものにしましょう。また、髪の毛もゴムできつく結んだりしないように。

(肝気の高ぶりは腎に影響する)

上に気が昇れば、相対的に下がおろそかになり逆三角形のように不安定な状態を作り出します。
つまり、気を下に下げて安定させることが大切になってきます。よく丹田に力を入れてなどいいますね。武道などでも皆この丹田、おへその下に重心をおくようにしますね。
下半身を丈夫にすれば気は下に降りて肝気は昇りにくくなります。下半身の中心は腎にあたります。
肝気が高ぶると相対的に腎が弱りますし、また腎が弱い人は肝気が高ぶりやすくなるともいえます。

中医でいう腎が弱いとは、西洋医学でいう腎臓自体の機能も指しますが、一言で言ったら老化現象です。
つまり、白髪、腰が痛い、骨がもろい、尿切れが悪い、尿が漏れる等などです。

(下半身である腎を弱らせないために)
・下半身を冷やさない。
・果物、生ものなどは身体を冷やしますので過食しない事。
・塩分をひかえる。
・過剰なセックスは禁物(腎精を漏らします。腎精は最も大切にしないといけない根本の元気です。
・よく歩く。(ゆっくり)
・バランスボールや複式呼吸、乗馬など下半身に重心を持ってくるような訓練をする。

肝気の高ぶりも腎の弱りも、遺伝(顔が似るように体質も似る)なども併せ人により程度の違いはありますが、ちょっと早い老化現象が出ていないか考えてみてください。
また腎の弱りは眼でみて顔と腰に出やすいです。
口の周りがほかと比べてうっすら黒ずんでいたり、腰の回りが黒ずんでいたり白く抜けていたりしていませんか?
腰痛の多い人は基本的に腎が弱いと見ていいでしょう。
全てはバランスです。偏りのない生活をお互い気をつけて肝心要の肝と腎を守っていきましょう。

2007年3月8日(木)

Vol.9春の病症その1

.春先における病症
「冬は必ず春となる」逞しき楽観主義が込められていて私はこの一文が大好きです。
冬の枯れ木は閑散としているようですが、この冬にこそ動植物は栄養を蓄え、春に備え準備を着々と進めています。
この栄養分こそが草木が見事に芽吹く条件の一つになります。
しかし、春先には花粉症、結膜炎、胃痛、イライラ、過食、めまい、眼瞼けいれん、突発性難聴、耳鳴り、のどに何か詰まった感じ、肩こり、脇が張ったり痛んだり等など様々な病症を引き起こします。
これらは、五臓六腑でいえば全て「肝の臓」が中心の病症です。花粉症などもいくら花粉が飛んでいるといっても平気な人もいます。花粉だけを退治しても自分自身の体質というその奥を見つめなければ、根治には到らず薬で抑える対処療法に終始してしまします。

・春は肝気が昇る
春は中医でいえば「肝」にあたります。「肝の臓」は縛られたり、抑圧されることを嫌い、春に草木が芽吹くように上へ上へ伸び広がっていくことを好みます。
つまり肝の気は上へあがる性質があるのです。
日頃から多忙で、緊張状態が続き、頭に血が昇っているような生活をしている人は、それが抑圧となり肝の気が常に上がっている状態です。
そこへ日本中の草木が春になり上へ上へ伸びていくので、ストレスなどで日頃から昇らせてる肝気が益々上へあがり身体の上のほうに症状がたくさん出るのです。
逆三角形のような状態でとても不安定になりめまいや耳鳴り(高音)などがでます。

・自分で知ろう肝気の高ぶり
花粉症のあなた、肩から上のほうに症状がたくさんあるあなた、鍼は勿論気を下げる最高の方法ですが、まずは自分がどれほど普段から肝気を高ぶらせているかを知ってください。
まずは多忙でリラックスする時間が少なくイライラすることが多いひとは間違いなく肝気は高ぶっています。
その他、顔面診と舌診から肝気の高ぶりを見てみましょう。
顔面診
・お風呂上りが一番わかりやすいです。鼻の中央辺りが白く抜 けた感じになっている。丁度Vの字を逆さにしたように。
・眼の回りが青白くなっている。
・どちらかというと赤ら顔。
舌診
・舌の先が赤くなっている。
・舌の両サイドの苔が剥げていて回りと比べて赤くなっている
・舌の先から両サイドに赤い点々がある。
・舌がかなり赤く乾燥している。

皆さんはどうでしたか?舌は唯一見れる内臓の一部です。
毎日舌を観察してみて下さい。
次回は、ではどうすれば肝気を高ぶらせてしまうのか、また、肝気を高ぶらせないために自分でできることをお伝えしたいと思います。お楽しみに。

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