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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2012年8月29日(水)

Vol.100耳漏の患者さん

先日、いつも遠方から来てくださっている若い患者さんが、「先生、耳の中が膿んで医者から薬を5日間飲んでも治らなかったら切開して膿みを出しましょうって言われたんです・・・」と来院された。
薬は5日間それも毎日11錠も服用されていた。来られた時は、両耳閉、鼻声、微熱、起き上がったときの眩暈、肌荒れ等々何とも賑やかなもの。その上、薬のせいで食欲不振甚だしく舌を見ても弱りきっていた。

体表観察をすると、脈はビンビンと強く、右の背中の脾兪胃兪辺りが腫れ上がり、足の指の胃に関係するツボに酷い熱感がみられた。
彼女は、普段から湿熱体質だったため、初回は胃腸を立てながら熱をとる治療を試みた。

胃腸(脾胃)は東洋医学でも、「後天の元気」といい身体の中心的役割を果たす。胃腸が丈夫な人はいつ迄も若くよく食べれて生命力に満ちている。

薬、それも毎日11錠も出され胃がボロボロになった彼女は、精神的にも憂鬱になり、2回目の治療時、か細い声で「先生、治りますか?」と。
「必ず良くなるから大丈夫。薬でチョットやられちゃったからもう少しの我慢ね。」とお答えした。人によって治癒にかかる時間は違うことは当然の事。

東洋医学の治療院には、西洋医学の薬でも効果が無かったり、治りませんと医者から告げられた患者さんが多く来院される。
おまけに薬づけで大事な胃腸がボロボロになった方々が・・・・

余程、鍼灸に対する確信と見立て、覚悟が無ければ、この様な患者さんの不安の一言を払い除け、治癒の方向に向かわすことは出来ない。

師匠、藤本蓮風氏の著書『数倍生きる』の中に、「(略) 医療者はよほど高潔な心持ちが必要だ。大きく動かすのはその先生のエネルギーに基づく。(略)」とある。

この患者さん、4回の治療で完治した。ただただ、師匠に感謝し精進するのみ。

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