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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2009年9月30日(水)

Vol.44気候と病

(目眩(めまい)急増)
10日ほど前から、目眩(めまい)、それに伴う嘔吐、耳閉感、耳鳴りなどで来院される患者さんが急増している。
東洋医学では、単にめまいといっても様々な理由が考えられている。
その中でも、回転性のいわゆるメニエール氏病といわれるものは、簡単に言えば、強烈なストレスで肝が高ぶって発症するが(気が上に上がる)、その前後に例えば右肩ばかり凝るなど左右のアンバランスを持っている人に起こりやすい。
また、ストレスによる肝気の高ぶりが、何らかの原因で弱っている胃腸に影響を与え発症したりもする。
とにかく、天井がぐるぐる回るあの怖さは経験した人にしか分からないだろう。

(気候と関係?)
なぜこの時に急増するのか。
これは、気候と密接に関係があると言わざるを得ない。
ひとりや二人で無いからだ。
今年は残暑も無く、このまま涼しくなるのかと思われるほど、気持ちのいい気候が続き、扇風機も片付けようと思っていたところ、丁度10日ほど前から、また蒸し暑くなりクーラーに逆戻り。しかし、其の暑さも日中のみ。朝晩は比較的涼しい毎日だ。
この様な、気候変動(寒い→急激な暑さ)は容易に肝気を上へ上へ昇らせてしまう。
したがって身体の上の部位の症状が出やすいのだ。
頭痛や肩こりもしかり。上の部位だ。

(湿気こそ元凶)
其の上、今回の暑さは湿気を伴っている
湿気こそ、脾胃を弱める元凶だ。
乾燥を好む脾胃は、ハワイなど乾燥地域に行くと、日本では胃がもたれてしまうお肉などがドンドン入ってしまう。
脾胃(ひい)=胃腸機能を指す。
脾胃を弱める原因は、湿気、過食、ストレスであることは現たる事実だ。
湿気は限りなく身体をだるくし、眠くて眠くて仕方なくさせる。
経験済みの人多いのでは?
また、このように湿気に熱(湿熱)を伴っていると、膿(うみ)疾患が多くなる。
実際、蓄膿症、麦粒腫(めばちこ)、身体の各所の膿、にきびまでもが悪化する。

気候と身体の変化は気っても切れない関係であることは、臨床家であれば一目瞭然感じることだ。

(兄デビュー)
私の兄もベテランの鍼灸師として開業している。その傍ら、こつこつと「気象と身体の関係」を研究し続けて何十年。
その努力には心から敬服する。
この度、日本発!世界初かも。10月の初旬に「内経(だいけい)気象学入門」との専門書が出版されることになった。
気象を考慮せずして病の原因、その変化、そして的確な治療方法は見出せないと言っていいほど大切な分野だ。

(新型インフルエンザ)
昨日も、新型インフルエンザに関するテレビを特集していた。生物学的に変化しにくいウイルスである事などは分かってきているらしいが、なぜ子供に多いのか、健康な人にも死者が出るのはなぜか、など分からないことが未だ多すぎるとのコメントだった。

私の鍼灸の師匠藤本蓮風氏は予てから、今回のインフルエンザは温熱病といって、暑さや湿気を好み、其の条件が整っている所に素早く入り込み、悪さをすると警告している。
湿熱の強い亜熱帯地域、陽気の強い子供、基礎疾患のない大人、この大人は、もしかすると野菜不足で身体に熱を溜めている大人など、非常にウイルスは喜んで食らいつく。
それは、温熱のウイルスなので温熱の人、湿熱の気候、湿熱の地域を好むからだ。
特に今回の症状は、ひどい肺炎をおこすとのこと。
肺の臓は、東洋医学では、陽気の強い蔵とされる。したがって、肺炎など起こしやすい。潤肺と言って、肺は潤っていることが非常に大事な臓なのだ。
全てが、理にかなっている。
誰も言っていないこの事実を教えてくださったのが、臨床家、藤本蓮風先生だ。
実際に、重症患者さんと日々真剣勝負で向き合っている臨床家の言葉ほど確かで輝きを放っているものはない。
兄の今回の出版も、先生が「気象学をやってみなさい」との一言から始まった。
師匠は、私にとっても兄にとっても感謝しても仕切れない存在だ。

兄の本の出版を誰よりも切望していた亡き母の嬉しそうな顔が浮かんでくる。

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