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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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2009年7月31日(金)

Vol.43縁深き中国

(広州中医薬大学と北辰会)
明日から鍼灸の師匠が中国は広州へ出発される。
目的は、我が北辰会と提携を結んでいる広州中医薬大学の鄧鉄涛(とうてっとう)終身教授が、中国政府より「国医大師」の称号を受けられ、そのお祝いに向かわれるためだ。

何事も「縁を結ぶ時」とは偶然が重なり不思議な時の一致があるもの。
いや、この偶然は必然だと後になれば分かることが多い。

2007年北辰会の中国語の杉本先生から「中医の100年」というドキュメンタリー番組のビデオを見せていただいた。
その中で、2003年のSARS事件が取り上げられていた。
西洋医学の医者たちが苦戦する中、中医師の鄧鉄涛先生が「中医学のチャンス到来!」と高らかに宣言され、中医(中国医学)で見事に世界パンデミックを防ぐ一役を果たされた。
ご高齢でありながら、中医に対する情熱と確信漲る若々しいご尊顔の鄧鉄涛先生の存在を感動を持って知った。

数日後、師匠の蓮風先生が、鄧鉄涛先生の書物を開かれていた時、その本の中に、偶然にもご自分の名前を発見された。
蓮風先生は、舌診学の書籍を出版されるなど、多くの臨床経験の中からその法則性を見出し、舌診学を発展させたスペシャリストだ。
鄧鉄涛先生は蓮風先生の舌診学の素晴らしさに着目され書籍の中で紹介されたのだ。

こうして中国語の先生を仲介に、交流の話はすごいスピードで進み、2007年9月24日学術交流を結ぶに至った。
2年前、私も広州中医薬大学に行かせて頂き、交流模様を感動と期待を持って拝見させていただいた。

(国医大師)
中国語の杉本雅子教授によれば「国医大師」選出とは、2006年10月の中国共産党第16期中央委員会第6回全体会議で出された方針「中医薬事業発展の支援」から始まった中医振興策の一環として設定されたらしい。

「国医大師」の主な条件は、①臨床経験55年以上で、②人品高尚で皆に讃えられ尊敬されており、③強い責任感と使命感を持って中医薬の発展に際立った貢献をし、④卓越した学術成果を収めており、学術経験を惜しまず後継の人に伝授している人物などなど・・・
とにかく人格技術共に大いに素晴らしいことが求められる。
広大な中国でなんと今回初、選出された人物はたったの30人。

(中西医結合病院)
実は中国では中医(鍼灸や漢方薬)中心治療ではないか、とのイメージを持っておられる方が多いと思うが、現実には西洋医学に傾いている傾向がある。
よって、多くの優れた中医の医者達が、後継の若者にその秘伝とも言うべき技術を教えることなく終わってしまうという危機にあるのが中国の現状だ。

私が7年ほど前、中国の「中西結合病院」と名づけられている病院に見学に行ったときのこと。
文字通り「中西結合病院」とは中医師と西洋医師が同じ病院内で治療を行うというものだが・・・・
現実は同じ病院内というだけで、お互いが話し合って協力してしているかというと大いに疑問だ。
西洋医学と東洋医学では、医療の考え方の土俵が全く違うので、当然のことながら、どっちがいいという単純な論争ではなかなか前に進まない。

人間の内面まで見つめようとする優しい目と、人間の本来持っている驚異的な治癒の素晴らしさに対する尊敬の心。
(勿論病の根治が出来ることは当然のこととして)
このふたつを兼ね備えた医者こそが、今、最も患者さんにとって重要な要素であることは、すでに患者さん自身が一番感じているところだと実感する。

偶然ではない北辰会と中国との交流は、鍼灸の世界を益々見直さざるを得ない時代に入っていく助走だと信じたい。
今回の訪中、一行の無事故と、更なる充実した人間交流の場となるように心から祈りたい。

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