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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2007年6月21日(木)

Vol.15うつ病を考える

(10人にひとりがうつ病?)

2002年に行われた厚生労働省の調査によると日本人が一生の間に“うつ病”にかかる割合は6.5パーセントと報告。
約15人にひとりが発症する可能性があるらしい。
現在は10人にひとりとも言われているとの事…
その症状は様々な形で表れるが、人に会いたくない、出かけたくない、喋りたくない、の「3ない」から始まり、睡眠障害があらわれたりする。
早稲田大学の加藤教授は「うつ病になる人は、小さい頃から非常にプレッシャーが強くて、他人が自分をどう見ているかを気にする家庭で育っているケースが多い」と指摘している。

(心の中の悲鳴)

私の鍼灸院にも「うつ病」と病名をつけて来られる患者さんから、精神的に不安定であったり、やる気が無くなっていたり、電車に乗れない、勝手に手が動いてしまう、眠れない等など、様々な心理的要因が強い症状の方が来られる。
うつ病でもそうでなくなくても、殆どの患者さんは精神的な面(過ストレス)から暴飲暴食になり、そこへ運動不足が重なり、様々な症状を訴えられているケースが多い。

あまり多くは聞かなくても、その方の背中の凝り方を見れば、皆どれ程必死の思いで日々頑張っておられるか、と心痛む想いでツボを触らせて頂いている。
時々、「よく頑張ってきたね」の一言に嗚咽される患者さんもおられるほどだ。
心の中の声を聞けば、皆同じように悲鳴をあげているのではと思う。

(アドバイスでなく同意)

同教授が語る「興味深い調査がある。原子力の炉心の溶解事故が起きたスリーマイル島で、事件後アンドリュー・ボームという心理学者が、島民のストレス調査を行った。その結果、家庭や隣人、地域などの人とのつながりが稀薄な人はストレスが強く、濃密な人の方がストレスは弱かった。家族、友達、あるいは愛犬かもしれないが、心の通じ合う者がいる人の方がストレスは少なかったのだ」と。

“人とのつながりが濃密”とは“お互いによく知っているがゆえに認め合える、許しあえる”ことだと感じる。
嫌な事、辛い想いを信頼できる誰かにひと言伝えるだけで、人間は救われるものだと実感する。何かアドバイスを求めているわけでもなく、ただ「そっかー大変やったね」「わかるわ」(大阪弁で)のひと言。
皆一生懸命生きている。一生懸命に見えなくても生きてる事は一生懸命でないと出来ない。
心の声を聞けば、どんな人も健気だなと感じるに違いない。
そして、「わかるわ」(大阪弁)と誰もが言ってあげられたら、沢山の身近な人を病気から守れる!

薬はこんな身近にあるのにと思うのは私一人ではないでしょう。

2007年6月7日(木)

Vol.14自然に学ぶ医療

先日朝早く、車で20分程の所にある植物園に行ってきた。
庭の手入れの人たち以外誰もいなくて、咲き乱れるバラたちの香りも、小鳥たちの囀りも、緑のシャワーも独り占め気分で大満足のひとときを過ごした。

しばらくベンチに座って耳を澄ましていると、木々達が話しかけてくるような爽やかなざわめきが聞こえてきた。
なんて心地いいのか、全身の力が緩んで、おへその下あたりから湧いて来るエネルギーのようなものを感じた。一瞬、自然と一体になった感覚だった。

ふと、病と闘う患者さんの事が浮かんできた。
「ここに連れて来てあげたい。どれ程身体の緊張がほぐれるか」と。

私達は患者さんのストレス(緊張)の度合いをお腹と背中で診断する。
鍼灸師だった母もよく「背中を見ればその人の人生がわかる」と言っていた。

健康を保つ上で大事な事は、緊張(ストレス)と弛緩(リラックス)のバランスだ。
現代の殆どの人は、緊張の連続なのかもしれないと身体を診て実感する。
背中のツボ(特に心~肝)とお腹(特にお臍周辺)が緊張している人の何と多いことか。
先日も某新聞に、年間の自殺者3万人を越すとあった。これらの方々の身体がどれ程緊張でカチカチになっているかを考えるとつらくなる。

患者さんに数本の鍼を施した後、お腹や背中の緊張が緩んだとき、私は心奥からうれしさと、喜びが湧いてくる。
それは東洋医学と自然は一体不二と感じれる、感動の瞬間なのかもしれない。

自然に触れることは、健康の原点に帰れる事を実感した一日となった。

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