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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2015年10月24日(土)

不安感 []

【主訴】不安感(漠たる不安感によりじっと出来ない)

(その他の症状)不眠、精神不安定(特に怒)、頚肩の凝り、逆上せ、目眩、頭頂部の重さ、耳鳴、腰から下の冷え等

【初診】平成26年7月上旬

【現病歴】
・結婚後の30代の時、家庭内で強烈なストレスが起こり過呼吸や声が1ヶ月出なくなったりした。ここから不眠になる。
(眠剤と精神安定剤服用継続中)また多忙時にギックリ腰によくなる。
・50代で閉経するとホットフラッシュ、頚肩凝り、腰部鈍痛が発症。
・約1年前~精神的ストレスや心配から解かれた後から漠たる不安感が発症し現在に至る。

[増悪因子]ストレス時や焦った時、特に春先、雨天前。
[緩解因子]薬・カイロプラクティック・鍼灸など、何やかや治療してると安心する。

【その他】
・出産4回
・外食多く早食い、間食多い。
・お孫さんの世話など日々多忙。

【各種弁証】
八網弁証:裏(表証所見なし)、虚(腎虚、心血不足)、実(肝鬱気滞)
臓腑経絡弁証:腎虚(腰痛、耳鳴、尿モレ、口渇、手足ほてり、照海、天井の反応)
心血虚(不眠、多夢、不安感、心兪、神門~霊道の反応、舌色褪せ)
肝鬱気滞:ため息、情緒不安定(易怒)、何かしてないと落ち着かない、肝之相火、右肝兪等の反応)
正邪弁証:正気虚(入浴後疲労感あり、排便後少気あり)<邪気実(脈力、脈幅あり、老舌、声有力)*心血虚は見られるものの、脈状が有力等により、その程度は軽いと考えるが慎重に判断する。

【弁証】
肝気上逆・腎虚証>心血虚

【病因病理】
30代からの七情不和(心配事)や多忙さから、常に肝気が欝血(気の流れが滞る事)し易い状態にあった上、4度の出産と年齢を重ねた事で、腎精が不足し更に肝気が上逆した状態になったと考えます。

腎精と陰血は互いに転化し合っていますので、腎精が不足すれば、血に変換する能力も減少します。また、長年の睡眠不足が重なり、陰血不足から不安感や多夢、驚きやすい等の心神不寧という状態に至ったと思われます。

「脾を補うには腎を補うにしかず。腎を補うに脾を補うにしかず」と言われているように、脾の臓である胃腸が腎の弱りをバックアップしてくれますが、

この患者さんは肝気の上逆を下げるために、過食に走り脾の臓に常に負担をかけています。すると、湿痰という病邪が中焦(胃腸)に停滞し眩暈等が発症しやすくなります。この患者さんの眩暈は、頭を動かしたり、体位を変えたときに起こりますので、湿痰の邪が肝気上逆とともに耳中に持ち上げられ停滞した事が原因だと推測しました。

【治療方針】
上記の正邪弁証を考え、下焦である腎を補い肝気を下げる治療方法をとる。(当初週3回来院)

1診目→照海整え灸31壮の後、百会20分(8番鍼)
2診目→照海灸16壮の後、百会20分(同上)
3診目→照海整え灸31壮の後、百会30分(同上)
4診目→後渓30分
5診目→後渓30分
6診目~15診目まで 照海。
17診目~申脈、滑肉門、承満、不容、梁門、太衝など適宜一穴を置鍼。(眩暈の時は主に腹部を取穴)

【考察】
当初、この患者さんは問診の時点で話しが止まらず、爆弾トーク状態でした。また、常に新しい健康法を見つけては、試していいですかと聞かれたり、友人等の発言にも翻弄されておられました。不安であるほどこの様な状態は激しくなっていました。

この様な患者さんが、今ではすっかり落ち着き不安感は解消され、安定剤や眠剤も15診目には廃薬されました。周囲の友人から変わったねと言われるほど落ち着かれパニック等も全くおこらなくなりました。

現在も治療継続中で2週間に1度ほどのペースで来て下さっています。

鍼の効果はどれほど長く患っていても、必ず緩和されていきます。大きくバランスを崩す前に日頃から常にバランスを取とっておくことが如何に大切な事か、また、それが大病を防ぐことになると感じます。

2015年7月15日(水)

パニック症候群、右背中~腰・股関節痛 []

【主訴】パニック症候群、右背中~腰・股関節痛 60代女性
【初診】平成24年10月中旬
【現病歴】
右腰背部痛は20代からあったが、50代後半から右腰背部と股関節に鈍く突っ張る痛みが出現。10m歩くと増悪し、少し休むとまた歩けるという間欠性跛行になる。

パニック症候群は、40歳時、子宮筋線症のため子宮を全摘してから発症し現在も継続。症状は恐怖感で呼吸困難、ジット出来ない、動悸、不眠等。デパスを服用しながら生活している。

[増悪因子]
(腰部痛)歩行時。
(パニック)ストレス時、ジットしていると、不眠、夜中。

[緩解因子]
(腰部痛)右腰を押さえながら歩く、座る等静止時。
(パニック)服藥。

【その他】
・結婚後から様々悩むことが長年続いたり、周囲から頼られることが多く、常に気が張った状態が続いている。
・大食で野菜嫌い、肉・油物が多かった。
・高血圧(40代から)降圧剤服用中。
夜間尿5回足元冷え易く足首浮腫む(60代から)。

【各種弁証】
八網弁証:
裏(表証所見なし)、虚:(腎虚)、実:(心肝気鬱)

臓腑経絡弁証: 
腎虚
腰痛、後屈で増悪、間欠性跛行、夜間尿、足冷え易く夜火照る。
脈右尺位弱、腎経の経穴虚(照海、太溪、腎兪から志室冷)、命門熱感。大巨。

心肝気鬱:
ストレスで不眠・動悸・手足冷・呼吸困難等のパニック、ため息、イライラしやすい、神経過敏、感情の起伏有。
顔面心肝部位色抜け、脈弦脈、舌尖紅刺、神道・筋縮・膈兪~肝兪・心兪から膈兪(左神門・後谿の反応、心下~脾募、右肝之相火実。

【弁証】腎虚証~膀胱経経気不利、心肝気鬱証

【チャート図】下記のチャート図をクリックすると拡大します。

【病因病理】
様々な七情不和が長びく事により、肝気の上逆が過多になると共に、瘀血が形成し易い状態にあったと思われます。

そこへ、出産、肥厚甘味の大食、継続した緊張により、益々気血の流れを停滞させ、40歳過ぎに高血圧や下肢に静脈瘤を形成したと考えます。

40代で子宮線筋症のため子宮摘出した後、パニック症候群を発症されますが、これは下焦の弱りにより心肝の気鬱が悪化し、恐怖感や動悸、不眠等が起こったものでしょう。

右背部から股関節にかけての痛みによる間歇性跛行も、3回の出産、更年期、子宮や卵巣の摘出等により、下焦が極度に弱っている所、若い時のスポーツや左顔面部の怪我等により左右差(左上強打)が右下の弱りに乗じて(腎經の表裏関係にあたる膀胱の経脈に影響し気血が不足し巡らなくなる。)発症したものと考えました。

【治療方針】
腎、膀胱の気血を補いつつ、心肝の気鬱を解く治療を行いました。

1診目~2診目:申脉
3診目~4診目:大巨(右)
5診目から7診目:後谿
8診目から11診目:照海
以後、臨泣、合谷、百会、外関、滑肉門、足竅陰等を使用し、駆瘀血や風寒邪侵入に注意しながら治療。現在84診目。

【治療結果】
4診目で足の酷い痛みは殆ど消失します。また、よく眠れるようになるものの、時々パニックが出るため、配穴を後谿に変更。長年のパニックは28診目を最後に現在まで全く出なくなり、服薬無しでも発症しません。背部から股関節の痛みは、無理をすると痛むため月2回のペースで来院してくださっています。

【考察】
初診時から鍼灸を信頼してくださり(師匠にも治療を受けておられた事もあり)、非常に治療がし易い状況にありました。

長年のパニックに関しては、比較的早く薬も一切使用しなくても起こらなくなりました。ストレスは現在も継続して抱えておられますが、パニックには至りません。これは、心肝気鬱の実が中心であって、体全体の気血の弱りは酷くなかったからでしょう。
しかし、既往歴や年齢的にも腎虚等の下焦の弱りは酷いため、下焦を中心とした治療を継続することで、下肢の痛みも緩和されていくと思います。

2015年6月26日(金)

目眩(めまい) []

【主訴】目眩(めまい)50代女性
【初診】平成27年2月中旬

【現病歴】
10年前1月末、閉経後にメニエール病発症。この頃心配事が多かった。
朝、起き上がり時に回転性目眩と嘔吐(吐くと少しすっきり)が出現。目眩止め内服により30分でおさまるが、1日中フワフワ感が続く。聴力低下、耳鳴り、耳閉感(両)伴う。点滴・内服により、メニエルは3か月で治まるも、その後、9年間、毎年1月末から3月~5月頃迄めまいの前兆(目振、頭全体のしめつけ感、視力低下、目の焦点合わず、嘔気、のぼせ)が発症。前兆出現時に目眩止めを内服することで目眩に至らず。
今年から内服頻度が増え、毎日10時、22時に内服するようになる。

[増悪因子]
1月末~5月頃まで、多忙後、心配や不安な事がある時。
パソコンで目を酷使。下肢冷え、過食(甘味)

[寛解因子]
薬内服

【その他】
・幼少期から現在まで軟便傾向。(ストレスや環境変化で下痢になる)
・幼少期から頻繁に扁桃腺炎で高熱を出す。
・小学生から貧血で立ちくらみよく起こす。(閉経まで)
・パソコン関係の仕事で目を酷使。
・冬に下肢冷え、逆上せやすい。
・梅核気、目やにが多い
・過食すると夜間に動悸がする。
・昨年秋から寝付きが悪く、睡眠薬内服。

【各種弁証】
八綱弁証:裏(表証所見なし)、虚(腎虚)、実(肝気上逆)

臓腑経絡弁証:
肝気上逆・腎虚(腎虚はアンダーライン)

精神的ストレスで悪化、春季に発症、目の充血、逆上せ。
耳鳴り、聴力低下、尿漏れ、腰痛。
(体表観察所見)
顔面診:肝白抜け、腎部位黒抜け。
脈診:弦脈、尺位虚、右関位枯弦脈。
舌診:暗紅褪せ、半嫩舌、舌尖紅、紅点右に偏り、舌辺剥け、舌下静脈怒張色褪せ、白膩苔。
原穴診:虚(左太白、左太衝、右陽池、右後谿、右外関、左公孫、左照海)、実(左内関)
背候診(左志室、京門虚、右肝兪、胆兪実、右厥陰兪~心兪虚、神道。
腹診:肝之相火右、胃土、右脾募、心下、左大巨

肝脾不和
湿痰:ストレスで軟便、主訴に嘔吐伴い過食で悪化、梅核気、目やに多い、過食で不眠や動悸。上記の体表観察所見で脾の穴の反応。

【弁証】肝気上逆、腎虚

【チャート図】 下記のチャート図をクリックすると拡大します。

【治療方針】
幼い頃からストレスがあると軟便になるなど、肝脾不和(ストレスが脾の臓に影響して下痢や腹痛などを起こす状態)傾向だったようです。
その後、2度の出産、流産の後、子宮内膜症を発症されます。小さい頃から扁桃腺炎で高熱を出す等、腎の臓の弱りに乗じて子宮等の下焦に症状が出たものと思われます。(下焦がよわれば肝気が高ぶり易くなります)
そこへ閉経を迎え益々腎精が弱り、耳鳴り、聴力低下、尿漏れ、腰痛などの腎虚症状が増悪していきます。
主訴の目眩(めまい)が、1月末から5月の時期に発症している事から、御本人にとって多忙な時期である事と、春の木気が盛んになる時期であることから、肝気が益々上逆し発症したものと思います。

【治療方法】
治療は、腎虚を補う事と肝気を下げる事を目的に、
初診から22診目まで:照海穴を使用(外関(12診目)陽池(5診目から7診目迄)以外は)
23診目から26診目まで:太衝穴使用。

【治療結果】
2診目から良く眠れるようになり、7診目ごろから毎日、朝晩服用していた目眩止めの薬を5日に1回の内服でも安心出来るようになる。一番発症しやすい2月から4月に治療されてますが、現在は全く薬は使用されてません。
9年間もの間、前駆症状が出たら内服薬で抑えていた症状がこのように短期間で良くなったことは、腎虚はあるものの肝気の高ぶりがより大きかったとも言えます。しかし、ベースには腎の弱りがあるので無理をすれば直ぐに肝気上逆を起こします。
現在も治療継続中です。ともかく鍼の効果をこのように体感していただき感謝致します。

2015年5月23日(土)

偏頭痛 []

【主訴】偏頭痛 20代女性
【初診】平成27年2月下旬

【現病歴】
19歳の時、大学受験当日に下腹部に殴打されるような生理痛(生理前日)が起こり、意識を失い受験出来ず。その後も2~3年に一度、同じく意識を失う程の生理痛が起こる。

2年前、生理痛コントロール目的でピルを服用。その後、経血量が減少し生理痛はマシになるが、主訴の偏頭痛が発症。現在も生理痛の鎮痛剤は手放せない。

10~14日に1回、朝起床時に頚部や肩のつまりと共に頭頂のやや左後ろがズキズキし、頭全体に広がる。2~3回の嘔吐(胃が空になるまで吐く)を伴うが、嘔吐によって緩解はしない。
今年、部署異動後は、規則正しい生活、運動量増加に伴い、頭痛頻度は減少するとともに嘔吐はしなくなったが、頭全体が重くズキズキし考えがまとまらなくなる。
頭痛薬は効果が感じられない。

発症以前から、夜勤による睡眠不足や暑い職場で発汗過多であった。
仕事は人間関係も問題なく楽しい。寧ろ、昔から勉強好きで、男性の中でバリバリ仕事をするタイプ。

[増悪因子]朝>夕方、睡眠不足、多忙、運動不足、飲酒過多等。
[寛解因子]ストレス発散(運動系)。

【その他】
・環境変化、多忙時に便秘する。
・手足がよく冷える。
・腰痛(重だるい)温飲好む。

【各種弁証】
八綱弁証:裏(表証所見なし)・実(肝気上逆・血瘀)・虚(心血虚)

臓腑経絡弁証:
肝の臓:主訴や生理痛が運動で軽減、緊張や環境変化で便秘、脈滑弦・幅力共に有り、肝色ぬけ、肝相火邪、肝兪~胆兪(右)の虚、右太衝虚。
心の臓:睡眠不足で主訴悪化、緊張で脇や手掌に発汗、意識消失、心下邪、神道圧痛、神門~霊道の虚。

その他の弁証:
気逆:頭痛が酷いと嘔吐、舌尖紅絳、紅刺多数、黄苔乾燥。
瘀血:舌所見(暗紅舌、左舌辺瘀班)、刺痛、少腹急結。

【治療方針】
ピルによる生理痛軽減後に頭痛が発症したことから、気滯の位置が頭部(上部)に移行したのではと思われます。運動等により軽減することから気滯>血瘀と考えます。

患者さんは、先天的に心臓の位置に傾き等があり、高校生まで時々胸が締め付けられるという症状があったようです。何か緊張する事があると子宮の激しい収縮があり、意識を失うほどになる等、心の臓の変調から心神(精神)への影響が考えられます。

心神(心の臓の主)と肝魂(肝の臓の主)は陰陽関係にあり、心の臓と肝の臓も相互に補い合いながら精神の安定を保っていますが、心と肝の臓にとって、重要な栄養物質は血です。この心の臓と肝の臓に変調をきたせば血不足になり、血も滞り易く瘀血を生じ、更に心神が不安定になるという悪循環を生じます。

更に、夜勤による過度な睡眠不足や職場での発汗過多が、陰血不足を助長させ、肝気の昂りが酷くなり頭痛が発症したものと思われます。

【証】肝気上逆≫心血虚

【配穴】
1診目~7診目迄:後渓(虚中の実側)、風寒時は外関に取穴。
8診目~12診目迄:太衝(虚側)。9診目のみ申脉。

【治療効果と考察】
鍼灸治療後、頭痛は多少のストレスが罹っても起こらなくなり、生理痛も忘れるほど改善されました。2年前からの偏頭痛がこのように短期間で良くなり、鍼の効果を実感して頂き嬉しい限りです。

このように身体を調える事により、身体と密接に繋がっている心神(精神)にも波動し、突然の意識不明等はおこらなくなります。

現代は異常なストレス社会です。過緊張による心身不調が後を絶ちません。過緊張は、気血を停滞させたり、減少させたりして身体に痛み等の不調を発生させます。そうなると、心のゆとりも無くなります。
鍼で、人の幸せを喜べる、悲しみに同苦できる、本来の人間らしい感覚を取り戻していきたいです。

2015年5月13日(水)

ヘパーデン結節 []

主訴:ヘパーデン結節 50代女性
初診日:平成25年9月下旬

ヘパーデン結節について
第1関節(DIP)の変形、突出、疼痛があり、X線写真で関節の隙間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨棘(こつきょく)があれば、へバーデン結節と診断できます。
西洋医学では原因不明の疾患とされています。

【現病歴】
5年前~右小指DIP関節に、痛み(ジンジン)腫れ・熱感・骨変形が出現。
1年前~左小指DIP関節と示指DIP関節も上記同様に出現。
現在は、両小指DIP関節(右>左)が一番痛く、触れると痛いため、5ヶ月間仕事でピアノが弾けない状態に。他のDIP関節にも骨変形はあるが痛みなく、リウマチ反応なし。治療方法がない為、経過観察中。

増悪因子:朝・ピアノ発表会前(準備で忙しく、練習で指を酷使する為)

緩解因子:指を使わない・入浴・テーピングすると少しだけマシ。

【その他の症状】
◆小学高学年~肩こり→頭痛から嘔吐あり、嘔吐後頭痛不変だが、疲れて眠ると治まる。1子目出産後~ほぼ毎日頭痛出現。睡眠不足が現在も続いている。若い頃から昼寝が出来ない。

◆47歳頃~更年期症状(ホットフラッシュ)目眩、左五十肩やギックリ腰、頚部の凝り感。

◆51歳頃~毎日多夢(悩みの夢ばかり)、寝付き悪く眠剤使用するも、口渇と夜間尿で約4回目覚める。頭痛頻度UP。

【各種弁証】
八網・臓腑経絡弁証:裏(表証なし)・実(肝鬱気滞:肩こり、頭痛、便秘)・熱(肝鬱化火:主訴部位の熱感、口渇、口内炎、逆上せ、尿濃黄色)・虚(腎虚:夜間尿、寝汗、ホットフラッシュ、腰痛)

【治療方針】
元来、かなり几帳面の上、多忙で常に気が上昇し、頭痛や嘔吐を繰り返している所に、寝汗、ホットフラッシュ等々の更年期症状と共に、睡眠不足から、上下のバランスを益々崩し、腎と関わりの深い骨、それも手(上焦部位)に症状が出現したものと考えました。

骨の変形までおこしたものは難治ですが、更年期症状や頭痛嘔吐等の随伴症状を改善し、夜しっかり眠れるようになることが先ずは先決です。

【証】
腎虚≧肝鬱化火

【配穴と効果】
初診~:申脉か照海、風寒が入れば外関に取穴。
31診目頃~:百会を間に入れる。
41診目頃~:百会+照海に取穴。
80診目頃~:手の刺絡+照海に取穴。

【治療結果と考察】
頭痛による嘔吐は、鍼治療を開始してから殆んど無くなりました。30診目ごろから導入剤無しで眠れるようになりますが、仕事等のストレスがかかるとまた不眠になります。それでも、目が覚めても直ぐ眠れるようになってきました。夜中の酷い寝汗も無くなり、指は使用すると痛みますが、使えるようになり、今年の大きな発表会では周りが驚くほど、指が動いて成功されたようです。

この患者さんは、性格上、ゆっくり出来ず常に多忙さに追われているので、良くなっては崩しを繰り返しておられますが、根気良く現在も治療に通って下さっています。

時々ですがお昼寝もできるようになり、治療中も寝息が聞こえるようになってきました。心身がようやく緩んできた証拠です。今しっかり治療をされる事が大きな病気を防ぐ事になりますし、自分自身を客観的に見つめられるようにもなると思います。本当の心身安定です。

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