17歳 高2 女性
【主訴】左腕の脱力感
病歴:来院1週間前、授業中に急に両腕に力が入らなくなる。当日は早退し以降は学校休む。来院時は右腕は改善、左腕のみの脱力感。更に、左下肢外側に筋肉痛に似た違和感もあった。
発症の1ヶ月前に学校でプレッシャーがかかる事が起こり、その状況は現在も継続。内科・整形を受診するも問題なく心療内科を勧められた為、鍼灸治療を希望し来院。
【主な体表所見】
舌診:淡白舌
脈診:1息4至、滑弦脈、力あり、幅△
腹診:全体的にくすぐったく、腹部、背部共に触れられない
切診:実(厥陰兪、心兪、肝兪左等)、左原穴の多くが虚。
【その他の症状】
・幼少期は便秘で3~4日に1回刺激し硬めの排便。現在は普通便。
・小学校低学年頃まで毎年インフルエンザに罹患。
・中高校では、部活で特に腕を使う競技をしている。時々肉離れ(左大腿前面)右シンスプリント。
【診断と治療】瘀血<気滞による痿証
元々頑張り屋さんで緊張型便秘傾向のため、肝気実(気が停滞し易い)と思われます。このような人は、緊張することが続くと、気逆がおこり易く、上部に症状が出やすくなります。実際、高音耳鳴り、上半身多汗、歯ぎしり、肩こり等々、上部の気の停滞症状がみられます。
最近学校で急なプレッシャーが重なり、心神(東洋医学での精神)が不安定に。これが心血(心臓の血流)に影響し、動悸、寝つき悪く多夢などの症状が発症。
心血と肝血は連動してますので、血不足が更に気の停滞を引き起こし、その停滞が、普段からあるスポーツで使っている腕や大腿部に影響が及んだものと考えました。
気の停滞を取ることによって緩和されると思い、気を巡らせる特効穴、肝兪(8割使用)を中心に使用しました。
【経過】
一回目の治療により、舌の色褪せが改善し、腹部や背部の酷い拒按(くすぐったい感覚が酷く、触られる事を拒否)がましになり、酷い気の停滞が改善するのは速かったです。
3診目には腕に力が入るようになり、更に、起きた時、ぼーっとすること(頭に血流が行きにくい状態)が無くなったと言われてました。学校に行くのが不安でしたが現在は元気に学校に通われてます。