神戸西区在住 43歳 女性
主訴:頚凝り、めまい、偏頭痛
初診日:平成23年8月下旬
(現病歴)
社会人になり運動不足になってから肩こりを感じ始めるようになる。
30歳頃、パソコン作業が増え更に肩こり悪化、偏頭痛もおこるようになる。
多忙な毎日で神経を使う日々が続いた去年の冬頃、頚が懲りすぎてめまい(フワフワした感じ)になる。その症状が一週間継続する。
その後、夏にも同症状が出現し、加えて息が吸いにくく炭酸水など飲んでスッキリさせていた。偏頭痛は、ストレス時や疲れたときや、生理前、排卵前、雨が降る前に、額あたりがズキズキ痛む。
今年の夏も同様の症状がおこり中々眠れない時があるため、紹介にて来院される。
(特記すべきその他の問診事項)
飲食:昼は外食、夜遅い食事が多い、油物で胃もたれするので野菜と魚中心の食事。間食は生理前のみ甘いものを欲する。
冷たい飲み物を好む。
二便:生理前に便秘するが普段は順調、尿は1日8回から10回。
(東洋医学負荷試験)
入浴時間:適温5分でスッキリ、長湯すると動悸がする。
運動後の主訴の変化:ゴルフ、ウォーキング、体操などをしスッキリするが主訴の変化は無し。
(主な体表観察)
舌診:紅色、舌先から舌辺にかけて紅点多数で剥けている、右に舌が傾いている、乾燥。
脈診:1息4至半、細・緊脈、両尺位弱、脈幅無し力有り。
原穴診:左)虚(太淵・神門・照海)実(衝陽・臨泣)
右)虚(太白・陽池)実(後渓)
腹診:右肝之相火実、胃土
(診断と治療方針)
ストレス過多により、上焦(上部)に気が偏りそれを長期にわたって継続
したため発症したものと考える。特に偏頭痛は、ストレス時や雨の前など
肝気が上がりやすい状況下で発症し、運動しても緩和されないことからて
いることからも長期の気の偏りが考えられる。酷いときは、息が吸いにく
いことは一種の小さなパニックで肝が高ぶりすぎるとしばしば起こる現
象なので、肝気の高ぶりをおさえる治療方針とする。
(治療配穴と効果判定)
1診目から9診目まで:後渓(左右どちらか)10分~25分の置鍼。
★5診目ごろから頚の凝りがかなりマシになり、偏頭痛の回数も減少して
くる。冷飲より温かいものを好むようになる。
(考察)
長年の頚肩こりや偏頭痛などが10回ほどの治療にてかなり良くなってきていることに鍼灸の効果を実感していただけたと思います。
しかし、年齢的に徐々に下半身の腎の臓などが弱ってきますので、神経ばかり使わずに、ゆっくり散歩するなど下半身を強化されると、肝気が簡単に上へ昇らなくなります。
40代50代で運動しているかどうかで、その後の健康状態や若さなど大きく差が出てきます。
一番働き盛りの年齢ですが、将来のために今を賢明に過ごされることを望みます。