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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2022年10月12日(水)

「口腔アレルギー(唇の周囲)」 []

24歳 女性 未婚 2022.4月来院

 

【主訴】口腔アレルギー(唇の周囲)

 

【病歴】一昨年の夏マスク生活の中、口の周りが痒くなり始める。皮膚科にて弱ステロイド性の軟膏を処方され塗布時のみマシになる。

その後、別の皮膚科にて「口腔アレルギー」と診断。果物・米・小麦・ピーナツ等に陽性反応あり。フェキソフェナジンを処方され一ヶ月服用でマシになるも、薬終了後全身に蕁麻疹が出現。

今年の春、仕事が多忙で疲れが溜まり、唇周囲の赤み(口腔アレルギー)が常に出ている状態 になる。薬の服用は嫌なので来院される。

 

【その他】

・0歳時に突発性血小板減少性紫斑病と診断(現在経過観察のみ)

・小児~小学生頃まで頻繁に喘息症状があり、高校2年以降症状は治まる。

・中学生頃から食後に肘膝窩の痒み出現。大学受験時は蕁麻疹が酷かった。

・よく中耳炎や外耳炎、外耳道炎になっていた。

・仕事はシフト制かつ日勤夜勤様々で、生活リズムがバラバラで疲れる。

・趣味:ライブ鑑賞

 

【主な体表所見】

舌診:舌尖紅、暗紅舌、薄白苔

脈診:緊脈、力(+)、幅△

腹診:(表)胃土、左脾募、右肝之相火邪

切診:(虚)左神門、照海、申脈、右肺兪、心兪、両膀胱兪。(実)肝兪、右下腿陽明経絡上。

 

【気血津液弁証】

肝鬱気滞:生理前にイライラ、ストレスにより増悪、肩こり、緊張により便秘。

血虚:立ちくらみ、目の乾燥、夜勤明け増悪、経血色淡く3日目以降少量。

 

【臓腑弁証】

肝:上記の肝鬱気滞、血虚参照。

腎:生理痛(腰痛)、扁桃腺腫れやすい、腎のツボの反応、顔面気色診にて主訴部位が腎。

 

【診断と治療】

(証)肝鬱気滞>腎虚・血虚 *若さもあり虚(腎虚・血虚)を補うより、

邪実を巡らせる方法で治療。

 

(治療)1診目~6診目迄 肝兪

7診目~8診目迄 三陰交

9診目~12診目迄 肝兪

13診目~胃兪か、胆兪の1穴を使用

 

(効果)1診目から効果が出て湿疹も痒みもマシになる。夜勤明けはいつも酷いが3診目で酷くならず、4診目以降から痒みも湿疹もかなり良くなる。ただ、夜勤中に眠れない日の翌日は悪化。

7診目は夜勤明けと生理が重なったため穴を三陰交に変更。

9診目以降は、口の周りのアレルギーは緩解する。

 

【考察】

幼少期の喘息、皮膚の痒み、また、紫斑病(血管にアレルギー炎症が起こり血管が脆くなって出血、紫斑が出来る)等々、アレルギー体質のところ、多忙で不規則な生活が続いたために口の周りにアレルギー反応が発症したと考えます。

 

なぜ口の周りに発症したのかは、ひとつはマスクの着用によって気血の巡りが悪くなったため、もう一つは、胃腸の弱りも多少あるものの、口の周囲は顔面気色診では、腎の蔵が関与します。生理時の腰痛や扁桃腺が脹れやすいこと、中耳炎や外耳炎等、耳に関する疾患によくかかる事、腎のツボの反応等から腎の弱りを考えます。

更に、仕事による夜勤等不規則な生活も腎を傷めます、血の不足も招きます。また、コロナで好きなライブに行けなかったことで、肝鬱(肝の気が停滞)し発散できずに悪化したものと思われます。

 

肺は皮毛と呼吸器と関係してるため、皮膚にアレルギーが出たり、反対に喘息が出たりします。このような方は、乾布摩擦や、山登り、水泳等、皮膚又は呼吸器を鍛えると共に、ストレスを上手に発散していくとアレルギーは治っていきます。

 

 

2014年5月10日(土)

アトピー性皮膚炎 []

主訴:アトピー性皮膚炎15歳 女性
初診日:平成26年3月初旬

(現病歴)生後4ヶ月で全身にアトピーが発症する。赤味も痒みも酷くステロイドを使用。漢方薬(不明)で皮膚は改善し、幼稚園頃には漢方薬を止めて、ダンスや水泳などのスポーツで若干の痒みが出る程度に治まる。

中学生時、塾等で多忙になり運動をやめた頃から、アトピー再発。顔から酷くなり全身に広がっていく。ステロイド剤で改善するも使用を中止すると悪化。この繰り返しで学校も休みがちになる。病院を点々とし、様々な薬を処方されるが、顔の火照りと共に両頬に黄色い肌汁が出るようになる。薬の効果も実感できず自己中断し、自宅から出れない状態が続く。(下記写真添付)

その他の症状:小さい頃から便秘、痒みのため不眠冷え逆上せする、無汗(特にアトピー悪化してから)、口内炎が出来やすい、食べても太らない、手足厥冷等。

増悪因子:生理前、冬(1月から3月)、就寝時。緩解因子:生理後。

(治療方針)

問診と多面的体表観察より、
ご両親(特に母親)の体質類似から、幼児期からアトピーを発症。多感な中学生時、様々な原因(ストレス、肥厚甘味の食事、運動不足、無汗、便秘、乾燥季節等々)により、邪熱を身体に溜め、その邪熱が行き場所を失い、弱い皮膚に停滞しアトピーが発症悪化したものと考える。顔面両頬の痂様のアトピーは、湿熱邪によるものとして治療。熱と湿の比重から清熱中心の治療方針とする。

(配穴と効果)

1診目~4診目迄:百会穴(上焦の邪熱を除去)
5診目~12診目迄:後谿穴(心神安定と清熱)
13診目~17診目迄:申脉穴(心神安定と補腎)
18診目~22診目迄:百会と照海穴(清熱と陰液を補う)
23診目~36診目迄:申脉穴(心神安定と補腎)

◆初回は、ダイレクトに百会で心神を安定させながら上焦の邪 熱を除去。腹部全体が緊張状態(特に臍周辺の硬結顕著)に あったが、4回の同治療でかなり緩み、毎日便通 がつくようになる。

◆5診目から、百会より優しく効かせる為、後谿穴にツボを変 更。顔面の赤味が徐々に引いてくる

◆13診目から、後谿の反応が無くなったと共に、膿状の滲出液 が緩和されてきたため、腎(申脉は膀胱経の裏)を意識しな がら内風を治める為申脉穴に変更。身体全体の痒みで眠れな かったが眠れるようになる。腹診の右梁 門から天枢にかけての邪が薄らぐ。

◆18診目から、受験へのプレッシャー等を考え、百会穴で心神
を安定させながら陰液を補う治療。両頬も綺麗になる。背部督脈上の圧痛取れる。

◆23診目から、再び申脉穴に。乾燥時期のため内風を治める目的で使用。手足が暖かくなる。

(考察)

約2ヶ月、毎日のように来院してくださった事に感謝しています。(現在も継続中)
上記の配穴により着実に陰陽のバランスがとれ、晴れて高校に合格通学できるようになりました。日に日に笑顔が増え、鍼を大信頼してくれているのを感じながら治療できた事が早期の治癒に繋がったと思います。ステロイド等も一切使用していません。素敵な笑顔、表情の変化がここでは見ていただけない事が残念なほどです。

学校など人の多いところや乾燥した場所にいくと逆上せがきつくなりますが、発汗できる季節になれば緩和してくるでしょう。

彼女のアトピー性皮膚炎を通して、鍼の効果の素晴らしさを教えてもらっています。

酷いアトピーで長年苦しんでおられる方の希望になれば嬉しいです。


平成26年3月初診時


同年4月下旬

2013年7月17日(水)

アトピー性皮膚炎(子):潰瘍性大腸炎(親) []

川西市在住 10ヶ月 男の子 
主訴:アトピー性皮膚炎
初診日:平成25年1月末

(子どもの現病歴)
生後3ヶ月から頚、頭(側頭から後頭部)、両脇部に湿疹が出現し、次第に顔、足、背中、お腹と全身に広がっていく。
発症当時は、ジクジクした滲出液を伴うものだったが、現在は乾燥しカサカサしている。
年末にステロイドを塗るも変化しなかったため、今年になり、強めのステロイド剤を使用する。緩解したもののそのステロイドを中止すると再発する。
自分で掻いて酷いときは出血する。便は1~2日に1回、軟便。二便共に臭いはきつい。

32歳 女性
主訴:潰瘍性大腸炎
初診日:平成25年2月末

(母親の現病歴)
昨年2月(妊娠6ヶ月頃)から、1日3回便通があり毎回、血便が出ていた。排便後はスッキリしていたものの貧血症状有り。妊娠中のため検査もできず様子を見ることに。
妊娠中、チョコレートや生クリーム等の甘いものや、油物を多く摂取していた。
現在も油物を摂ると血便がでる。夏は冷飲や炭酸を飲み悪化。泥状便に白い粘液混じりの血便になってくる。
8月末、無事出産したものの、次の日から腹痛直後に同上の便が何度もあり、貧血のため顔面蒼白に。9月から本格的に検査。潰瘍性大腸炎と診断される。
薬を(1日9錠)を1ヶ月服用し、軟便になる。生クリーム、ラーメン、カレー等の油物を食べたときだけ同上の血便が出る。
既往歴は、小さい頃から、アレルギー性鼻炎、10代顎関節症、20代子宮内膜症。出産してから風邪を引きやすくなったが、風邪を引いても病状の変化はなし。

(診断と治療法)
お子さんは、ご両親の体質、妊娠中の母体の精神状態や飲食物の影響を大きく受けます。母乳中は尚のことです。母親が陽に傾き易い物の摂取過多により、アレルギー体質の親の影響も受け、アトピーが発症したものと考えました。
時々、疳の高い声を発してますので、清熱(熱をとる)し、肝気を下げるように、古代銀鍼で治療を施しました。

お母さんは、問診と体表観察からその原因を考えてみました。脾腎の弱りが、ツボの状態から推察できます。3度目のご出産ということ、胃腸に負担のかかる飲食物の摂取過多、多忙等々が主な原因ではないかと思われます。脾腎は元気を産む大元ですので、他臓に影響を及ぼします。
ツボの状態は、特に右の肺兪中心に心兪の虚(弱り)が大きく、これが、上焦の肺と表裏関係にある下焦の大腸に影響が及んだのではないかと考えました。

(治療結果)
お子さんは、便通が良くなり、治療をする度に顔の赤味が取れていきました。便通と痒みは関係が深く、お通じをつけてあげると、疳の虫も治まり、疳の虫が治まると痒みや赤味も取れていきます。(写真添付)
お子さんとお母さんは心身共に一体不二です。この例も、お母さんが大腸の病、お子さんが皮膚の病です。皮膚は肺と関係が深いですので、肺と大腸は上記の通り表裏関係にあります。

お母さんには、「特にこのお子さんとは色んな面で関係が深いと思いますので、お母さんが良くなればお子さんも良くなりますし、またその反対も考えられますね」とお伝えしました。

その通り、お互いに改善されていきました。お母さんも便通時の腹痛も無くなりました。今では、ご紹介下さった義理のご両親、アトピーの子のお兄ちゃんも来てくださり、ご家族3世代でお体を診させていただいています。
鍼を信頼してくださり心から感謝致します。


初診時


15診目


初診時


15診目


初診時


15診目

2013年3月11日(月)

脱髪 []

西宮市在住 4歳 女の子
主訴:脱髪
初診日:平成25年1月18日

(現病歴)
昨年の12月18日から4日間40℃の発熱があり、気管支炎や結膜炎、副鼻腔炎も併発し入院する。血液検査は異常なし。入院して2日目の朝、髪の毛が10数本抜けていることに気づく。
その後、抜け毛は見られなかったが、今年のお正月の朝、束になって脱髪していた。(数えると120本程)皮膚科にて検査するも異常なし。
その後、ドンドン髪が薄くなってきているように感じる。特に頭頂部が目立つ。別の病院にて「びまん性脱毛症」と診断される。薬を数回使用するも抜け毛が治まらずホームページにて当院を知り来院される。

(既往歴)
・1歳時に風邪から40℃の高熱。その後、突発性発疹が全身にできる。
・2歳~昼寝をほとんどしなくなる。寝付きは20分後、寝ているとき半眼になっている。
・3歳から幼稚園に通うが、年に2回夜1-2時に38℃の発熱がある。時期は不明。翌朝には汗をかいて解熱している。

(七情)
しっかりしていて幼稚園では自分で何でもする。「早く大人になりたい」と言う。
パパが仕事で多忙のため中々会えず、幼稚園の先生に「うち、休みの日にパパいないの・・・」とよく言っているとの事。
ママは子育てに3歳ごろまでイライラしていたので、ママの目を気にしていた。

(診断と治療)
脱髪にも虚と実があります。大きく分けて突然に抜け落ちるのは実で、徐々に抜けていくのは虚に属します。お子さんの脱髪は実がほとんどです。(子どもは陽体ですので実熱に傾き易い)彼女のように、発熱後に髪が突然抜け落ちるのは、「内風(ないふう)」が原因ではないかと思われます。
火がおこれば陽炎(かげろう)のように上部に風がおきますが、熱のためにそれが身体の中でおきる事を内風といいます。
この内風のために髪の毛が抜け落ちる事があります。1歳の頃からよく発熱されていることからも、熱を原因とした脱髪であることは明らかです。

治療は、刺す鍼を使用せずに、古代銀鍼を使用して、熱、特に上部の偏った熱をとり、内風(身体の中でおこった風)を抑える治療を試みました。

(治療結果)
熱感のある百会、手の十井穴、背部右の肝と胆を中心に散鍼を行いました。

便通が毎日良くなり、6診目ごろには殆んど脱毛は無くなり順調に回復しました。
腹部やお臍周辺の緊張も10診目を過ぎた頃から無くなってきました。

(考察)
この子は、本当に大人っぽい4歳で、大人以上に感受性が強いと感じました。
このようなお子さんは、我慢強くワガママを言いません。
大好きなパパと中々会えないことも我慢し、ママも子育てに大変なんだと察して我慢し、発散が少なく体の中に熱を溜め込みやすくなっていったのだと思います。便秘なども身体に熱を溜め込む原因のひとつとなります。

お母さんがこのように治療に連れてきて下さって親子ともに救われたのではないでしょうか。親子の絆は黙っていても通じ合うものです。今後、お母さんも彼女も上手に発散しながら(いろんな方法がありますので自分に合った発散法で)気を巡らし、変な熱を溜め込まなければ、熱を出すことも少なくなりますし大きな病気をすることも無くなります。

今も鍼灸治療に来てくださっていますが、鍼灸治療こそ気の滞りを通じさせていくのに適しています。彼女の我慢強さ、感受性の強さが今後も益々いい方向に活かされますように願っています。

2012年7月23日(月)

アトピー性皮膚炎 []

京都市在住 4ヶ月 男子
主訴:アトピー性皮膚炎
初診日:平成24年4月

(主訴について)
生後2ヵ月半頃から顔全体が赤く変化し始め、最初に両頬、頚や体幹、足に赤みと痒みが広がる。肌汁も出る。非ステロイド系の軟膏も亜鉛軟膏も脇以外は効果無し。

(経歴)
今まで1日2回~3回出ていた便が、生後40日目以降には1回になる。母親はお餅やチョコが好きでよく食していた。
3ヶ月半~小児科で母乳を止めるように言われミルクにする。(母乳もあまり出なかった)
アトピーが出始めてから便の色が黄色から緑色に変わる。臭いの変化は無し。ステロイドを朝夕1週間全身に塗りその後綺麗になったので夕方のみにした。痒くて引っ掻くため手にミトンを常時着用している状態。

(その他の所見)
・室内を湿熱にしたり、入浴時間を長くすると悪化する。その反対は緩和する。
・足が冷で頭が熱感。

(診断と治療方針)
便の色の変化と臭いは身体の中の湿熱によるためで、それゆえ粘っとした黄色い肌汁が出たりする。
便の回数も減ったため更に内に湿熱が篭った状態になり悪化したものと思われる。
頭が熱くて足が冷えている状態も寒熱が上下逆転しているためで、顔や手に酷くアトピーが出る事に合致している。
乳児なので鍼は刺さず、古代鍼の接触針にて、上部の湿熱を取るような治療とする。

また、ツボの状態から脾胃の弱りもアトピーに影響していると考え、脾胃のツボを補いながら肝の昂りを抑えるような治療方針とする。

(治療配穴)
百会に銀の古代鍼にて接触、右太白を金の古代鍼にて補う。背候部の肝脾中心に散鍼を施す。

(治療効果)
治療初めは一進一退だったのが、9診目頃から顕著に効果が現れ、便通も1日2回出る等、湿熱が徐々に取れてくる。現在18診目。アトピーの影は全くなく真っ白の肌になり落ち着いている。(下記写真参照)ステロイドは完全に使用無し。

(考察)
手に痛々しくミトンを巻かれていたのが嘘のようです。最高に綺麗なお肌になりました。お母さんも共に治療をされ心身共にたくましくなっていかれてるのを感じます。

また、遠方なのでご主人が毎回送ってくださり、治療中も待っていて下さり心から感謝しています。ご家族の協力あっての回復だと思います。

今の肌を見たら本当に綺麗なのですが、それだけでなく、赤ちゃんなのに何か風格さえ感じられる程です。
夜もぐっすり寝てくれているようで落ち着いてます。

私に向けてくれる笑顔は、鍼大好きって言ってくれているようでこちらの心が緩んで元気になってきます。
ご家族共に信頼をしてくださり感謝しています。


治療前


治療後