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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2010年7月31日(土)

子どもの便秘 []

西宮市在住 初診時 3歳 女の子
主訴:便秘

(病状、環境など)
お母さん37歳の時出産。ひとりっ子。
今年5月初旬ごろから便秘がひどくなり、4?5日おきに何とか出るものの硬い便が肛門で止まり、30分ほど苦しむ状態が続く。好き嫌いは無いが、食にはむらがあり普段から少食。来院されたのは6月下旬、6日間便通が無く、益々食が細くなっていくお子さんを心配され紹介にて治療院に来られる。
乳児期、夜泣きはしなかったが肝が高く神経質な性格。顏色は白黄色で赤みが無いが、家ではよく動いてあまりゴロゴロはしていないとのこと。

(治療方針)
肝脾不和証として治療をする。これは、元々肝が高い性格(神経過敏)によって脾の藏(胃と兄弟関係)を弱めたことにより食欲不振になり、脾の運化作用と肝の疏泄作用(全身の気をめぐらせる作用)が低下し便秘になったものと考えた。舌が赤い事やゴロゴロせずよく動ける事から、脾の臓の弱りより肝の疏泄作用の低下の方が優勢と考え、治療は古代鍼銀にて、百会、十井穴、背中の散鍼を中心に瀉法をし、古代鍼金で太白(右)を補う治療を施す。
これら古代鍼は、刺す鍼ではなく接触するだけの鍼で全く痛みはなく、当院では主に子ども用の鍼として使用している。治療時間も1分以内に終わり喜んで受けてもらえるのが特徴。

(治療経過)
鍼をした次の日には便通あり。その後、3日に1度治療に来ていただく中、6診目ごろには、排便時も苦しむことなく大き目の便がスッと出るようになる。
現在も2日に1回の排便があり、まったく苦しまずに綺麗な形の排便ができるようになった。胃腸が弱いと反応がある太白穴も初めは自汗していて(湿っていて)ツボの状態は弱っていたが、今はほぼ正常な状態に回復。
肝が高ぶっていたため、舌の先が赤くなっていたのも正常な範囲になり、肝が高いと反応が出やすい肝兪穴の持ち上がったツボもほぼ平旦になり、鍼灸治療の効果を体表観察からも察する事ができる。

(考察)
治療院に来られた時、表情も乏しく非常に緊張しているのが分かりました。
反面、人をじっくり観察できる大人っぽい面も同時に感じました。
このようなお子さんは、親の精神状態も敏感に感じ取り、我慢をしてしまう傾向にあります。子どもは、親が思っている以上に、小さくても親に気を使ったりしています。
お母さんには、「お母さん自身が忙しくバタバタされていませんか?」と問うと、確かに忙しいとのこと。
母親の精神状態は100%子どもの精神や体調に影響を与えるので、いつも何らかのアドバイスをさせて頂いています。小さいお子さんの便秘が最近増加傾向にありますが、便秘は緊張の現れです。精神的な緊張が影響するのです。子どもはお母さんの鏡です。お母さんのストレスや精神の緊張(多忙も含め)などを知っていくことは子どもを救っていく道につながると信じます。
このお母さんは非常に誠実な方で、子どもの体調にも真剣に悩んでおられました。
このように子どもの不調をいつかは治ると放置しないことは最も大事なことだと感じます。
そして、綺麗な子どもの身体に出来る限り薬を使用せず治癒していく鍼灸を知って欲しいと願います。