40代 男性 神戸在住
【主訴】泄瀉(下痢)
【病歴】
・幼少期よりストレスにて腹痛になり、下痢する。
・職場のストレスにより症状増悪。通勤電車中、何度も下車する程の腹痛あり。
・現在は職場も変わり、食生活を見直し泄瀉が改善傾向になるが、残便感や胃重有。
・半年に一回位の頻度でストレス↑で水様便。普段は泥状便で臭いキツイ。
増悪因子:脂っこいもの、冷飲食、長時間労働、汗かいて腹部冷える、休日の出かける朝
緩解因子:手足首を温める、睡眠、
食生活の改善(動物性油脂を控える、晩酌を毎日から週一に減らす)
【既往歴】
・社会人になる頃には、泄瀉は日常的になる。行く先々でトイレの場所を探す。
・30代のストレスで、胃に重石のる感じ↑↑「バレット食道」と診断受ける(治癒済み)
【七情】
・イライラしやすい。ネガティブ思考。
【主な体表所見】
舌診:舌尖紅、白膩苔、乾燥、両舌辺めくれ
脈診:3至半、滑脈(中に緊)、力+、幅△、尺位(左)弱
腹部背候診:心下虚、右肝之相火、胃土(特に左)カチカチにつまり、
督脈上身柱~至陽にかけてと、左肝~脾兪にかけて細絡瘀血、
右肺兪~心兪は虚
左心兪~脾兪、右膈肝~脾兪は実
原穴診:左原穴に虚、右内関と左三陰交は虚中の実
【証】 実>虚 肝脾不和
【病因病理】
幼少期より、ストレスにて腹痛下痢になっていたことや、食べても太りにくいことから、素因として脾の虚があるところ、肝気の高ぶり(ストレス)が脾の虚を増長させたと考えます。成人以降も仕事によるストレス過多により肝気が脾を抑え腹痛下痢が悪化。
食事や飲酒を変えた事により、脾の負担が減り下痢はマシになったものの、肝気が胃(脾の裏側)を抑え胃重が発症したと思われます。
【治療と経過、考察】
初診時に公孫にお灸(お灸は時々)をすえてから、肝に関わるツボ(肝兪や督兪など)に瀉法を加える治療を継続していくと、下痢の症状は緩和していきました。
また、ストレスがかかり過ぎると胃重は出るもののかなり良好な状態になりました。
男性の腹痛下痢の患者さんは多く、男性の下痢や軟便傾向は男性ホルモンも関係していると言われる研究もあります。(女性は便秘傾向が多いです)
来院される殆どの下痢症状の患者さんは男性です。近年は、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、胃腸炎等々、本当に下痢の患者さんが急増しています。
食べるものも動物性より植物性に、ジャンクは避けるなどして免疫の70%を占める胃腸を守ったうえで、時間を見つけてリラックスタイムを持つことが必要ですね。
体と心は密接に繋がっています。体に出てるサインを見逃さず、鍼で全身の気血を巡らせていきましょう。