24歳 女性 未婚 2022.4月来院
【主訴】口腔アレルギー(唇の周囲)
【病歴】一昨年の夏マスク生活の中、口の周りが痒くなり始める。皮膚科にて弱ステロイド性の軟膏を処方され塗布時のみマシになる。
その後、別の皮膚科にて「口腔アレルギー」と診断。果物・米・小麦・ピーナツ等に陽性反応あり。フェキソフェナジンを処方され一ヶ月服用でマシになるも、薬終了後全身に蕁麻疹が出現。
今年の春、仕事が多忙で疲れが溜まり、唇周囲の赤み(口腔アレルギー)が常に出ている状態 になる。薬の服用は嫌なので来院される。
【その他】
・0歳時に突発性血小板減少性紫斑病と診断(現在経過観察のみ)
・小児~小学生頃まで頻繁に喘息症状があり、高校2年以降症状は治まる。
・中学生頃から食後に肘膝窩の痒み出現。大学受験時は蕁麻疹が酷かった。
・よく中耳炎や外耳炎、外耳道炎になっていた。
・仕事はシフト制かつ日勤夜勤様々で、生活リズムがバラバラで疲れる。
・趣味:ライブ鑑賞
【主な体表所見】
舌診:舌尖紅、暗紅舌、薄白苔
脈診:緊脈、力(+)、幅△
腹診:(表)胃土、左脾募、右肝之相火邪
切診:(虚)左神門、照海、申脈、右肺兪、心兪、両膀胱兪。(実)肝兪、右下腿陽明経絡上。
【気血津液弁証】
肝鬱気滞:生理前にイライラ、ストレスにより増悪、肩こり、緊張により便秘。
血虚:立ちくらみ、目の乾燥、夜勤明け増悪、経血色淡く3日目以降少量。
【臓腑弁証】
肝:上記の肝鬱気滞、血虚参照。
腎:生理痛(腰痛)、扁桃腺腫れやすい、腎のツボの反応、顔面気色診にて主訴部位が腎。
【診断と治療】
(証)肝鬱気滞>腎虚・血虚 *若さもあり虚(腎虚・血虚)を補うより、
邪実を巡らせる方法で治療。
(治療)1診目~6診目迄 肝兪
7診目~8診目迄 三陰交
9診目~12診目迄 肝兪
13診目~胃兪か、胆兪の1穴を使用
(効果)1診目から効果が出て湿疹も痒みもマシになる。夜勤明けはいつも酷いが3診目で酷くならず、4診目以降から痒みも湿疹もかなり良くなる。ただ、夜勤中に眠れない日の翌日は悪化。
7診目は夜勤明けと生理が重なったため穴を三陰交に変更。
9診目以降は、口の周りのアレルギーは緩解する。
【考察】
幼少期の喘息、皮膚の痒み、また、紫斑病(血管にアレルギー炎症が起こり血管が脆くなって出血、紫斑が出来る)等々、アレルギー体質のところ、多忙で不規則な生活が続いたために口の周りにアレルギー反応が発症したと考えます。
なぜ口の周りに発症したのかは、ひとつはマスクの着用によって気血の巡りが悪くなったため、もう一つは、胃腸の弱りも多少あるものの、口の周囲は顔面気色診では、腎の蔵が関与します。生理時の腰痛や扁桃腺が脹れやすいこと、中耳炎や外耳炎等、耳に関する疾患によくかかる事、腎のツボの反応等から腎の弱りを考えます。
更に、仕事による夜勤等不規則な生活も腎を傷めます、血の不足も招きます。また、コロナで好きなライブに行けなかったことで、肝鬱(肝の気が停滞)し発散できずに悪化したものと思われます。
肺は皮毛と呼吸器と関係してるため、皮膚にアレルギーが出たり、反対に喘息が出たりします。このような方は、乾布摩擦や、山登り、水泳等、皮膚又は呼吸器を鍛えると共に、ストレスを上手に発散していくとアレルギーは治っていきます。