もういくつ寝ると、お正月。
今年も残すところ数日となりました。
私は実千代鍼灸院に来てからのこの7ヶ月、臨床の現場で多くのことを学ばせていただきました。
技術、知識はもちろんのこと、一番の学びは「患者さんに向かう心」でした。
頭で考えるのではなく、素直な心の大切さ。
簡単なようで難しい。
来年はひつじ年。
ひつじはのんびりしたイメージがありますが、実は記憶力が抜群によく、ヒトやヒツジ仲間の表情から精神状態を察知するとか。
そういえば、とても優しい目をしています。
来年も自分の殻をもっともっと破り、成長していきたいと思います。
副島香織
疳虫、夜泣き、アトピーで治療を受けている2才の女の子。
夕方になると「鍼に行く~」と自ら訴え、治療にやってきます。
先日は、「今日は鍼灸院お休みだよ」
とのお母さんの言葉にも耳を貸さず、鍼灸院に鍵がかかっていることを確認、さらには近くのビルから鍼灸院に明かりがついていないことを確認して、ようやく納得。
お母さん、ご苦労様です。
まだ言葉はそれほど話しませんが、鍼を受けている時は、まるで「気持ちええで~」と聞こえてきそうな表情です。
初診時に比べ表情がずいぶん柔らかくなりました。
夜泣きや疳虫。
湧き上がる様々な感情に戸惑い、どうしていいのかもわからず、泣き叫んだり、物を投げたり…
鍼をすることで、おだやかな気持ちになれること、ちゃんと分かってるんですね。
周囲も大変ですが、一番苦しかったのは当の本人かもしれません。
副島香織
言葉によって元気になる
言葉によって安心する
言葉によって慰められる
反対に
言葉によって悲しくなる
言葉によって怒りがふつふつ湧いてくる
さりげない言葉で人の心は揺れ動きます。
鍼の技術はもちろんのこと、ここ実千代鍼灸院では、先生と患者さんの言葉のやりとりから学ぶことはとても多いです。
話をただ聞く時も、励ますときも、叱咤激励するときも、絶妙なタイミングで絶妙な言葉かけ。
時には明るく、時には静かに、時にはユーモアも交えながら。
この言葉による気の交流があってこそ生かされてくる鍼の力。
自分の思いをただ伝えるのではなく、患者さんのことを思って湧いてくる言葉だからこそ、相手の心を掴むのでしょう。
格好つけるのでも、偉くみせようとするのでもなく、ただ心を無にして、素直に相手の心を感じ取る。
鍼の技術と共に、自分の心も磨いていきたいと思います。
副島香織
「お母さんの看護師さん」
実千代先生がそう呼ぶ方がいらっしゃいます。
患者さんは脳疾患を患って以降、ご自分で話したり、体を思うように動かしたりできません。
娘さんがご自宅で介護をされています。
この娘さんが「看護師さん」
お母様の少しの変化も見逃しません。顔色、目の動き、痰の性状、手足の冷え、食事の食べ方…挙げればきりがありません。
異常事態が発生すれば、すぐに連絡が入ります。
ご自宅での対応を先生から教えてもらい、次に診療に来られた時には、お元気な顔に…ということもよくあること。
嚥下がスムーズに行えないお母さんに、美味しくかつ食べやすいお食事を工夫して作り、ゆっくり食べさせてあげる、車椅子からベッドへの移動もお手のもの。
こんな有能な看護師を持つお母様はなんて幸せなんでしょうか。
自宅での介護は、周囲からはわからないような大変なことがたくさんあるはずです。
けれど、いつも笑顔で、ユーモアたっぷりにお母様の様子を話す娘さん。
そのような方々に優しい社会であってほしいと、切に願います。
と同時に、私も鍼灸師としていつかそのような方々の助けになりたいと思います。
副島香織
目標を同じくする仲間は心をひとつにすることが大切です。
自分のプライドや私欲、思惑は捨てて、相手が何を思い、どうしようとしてるのかを考えて。
家族、友人、組織、治療者と患者さん。
心をひとつにすることで想像以上の力が生まれるはずです。
1+1+1=3
算数ではこの答えが正解ですが
人間同志は5にも10にも
団結力が大きければ100にも万にだってできると思います。
人間にはそれだけの強さと優しさと智慧があると信じています。
私たちスタッフも実千代先生と心をひとつにして、患者さんと向き合っていきたいと思います。
副島香織