あけましておめでとうございます。
皆さんは普段どのような夢を見ますか?
特に1月2日の朝に覚えている夢を初夢といいますが、素敵な初夢見られましたか?
東洋医学を学ぶ私達も診断のひとつとして、夢をよく見るかどうか、またどのような夢を見るのかを重視します。
西洋医学のほうでも不眠の人は夢が多いとのデータもあるようです。
古代中国医学が実際に体系づけられるようになった、春秋戦国時代の末期(前320~250)に出来上がったと推定される原典の書「黄帝内経」の中の「淫邪発夢編第43条」に夢に関して書かれてありますのでご紹介します。
(実証の人)
邪気(生体のアンバランスを引き起こすもの)が有余の場合
人体の上部の方に気が盛ん(上がっている)時は空を飛ぶ夢。下部に盛んな時は墜落する夢を見る。
肝気が盛ん→怒る夢。
肺気が盛ん→びくびく恐れたり泣き叫んだり、ふわっと飛び上がるような夢。
心気が盛ん→夢の中でよく笑ったり、恐れたりする夢。
脾気が盛ん→歌い楽しむ、或いは身が重くて身動きできない。
腎気が盛ん→腰と脊が離れてくっつかない夢。
(虚証の人)
正気が不足(気・血・精などが不足している状態)の人。
心気が不足→山林に煙火(のろし)を見る。
肺気が不足→飛び上がったり金属で造った奇物(珍しい物)夢
肝気が不足→山林や樹木の夢。
脾気が不足→丘陵、大きな沢、壊れた家屋、風雨の夢。
腎気が不足→深い水辺にたたずんで下を覗き込んだり、水中にもぐる夢。
膀胱→夢の中でぶらぶら散歩。
胃 →物を食べたり飲んだりする夢。
大腸→田んぼや野原の夢。
小腸→都市などの市街地の夢。
胆 →他人と喧嘩したり口論したりして自分も怪我する夢。
陰器→男女の房事の夢。
項 →首を切られる夢。
脛 →走ることできず、前にも後ろにも行けない。
股間→礼拝する夢。
膀胱直腸→小便、大便の夢。
以上ですが、東洋医学では例えば肝といっても肝臓そのものと共にその機能を幅広く指しますので西洋医学での肝臓の概念とは異なります。
上記に似た夢を見たとき五臓六腑のいずれかが何らかの信号を発していると考えていいですが、あくまでも参考です。
ただ、こられる患者さんを参考にさせて頂ければ、肝胆に異常がある人は確かに怒る夢を見られている人が多いですし、精神的にかなり病んでいる人は、追いかけられたりなど怖い夢を見る方が多いです。また、脾胃を痛めている人は金縛りにあったりされています。
私自身も、あまり夢を見るほうではありませんが、かなり思い当たることが多い事に驚きます。
夢を見てもすぐ忘れてしますのが普通ですので、同じような変な夢を見たり、いつまでもはっきり覚えていたりする人は、精神的にリラックスできよう何らかの形で、緊張をほぐす事をお勧めします。
睡眠は静で陰、覚醒は動で陽。つまり陽気から陰気への転化が睡眠、陰気から陽気への転化が覚醒、ということが「その1」で分かりましたか?
このような「陰陽の気」が自然に規律をもって転換する事が安眠であり、これが乱れると不眠となります。
ではなぜ陰陽が乱れるのか、ここには精神情緒の問題が大きく関わってきます。
五臓と精神作用との関係は下記のようになります。
精神状態 五臓 精神作用
怒り過ぎれば肝を傷る・・・肝・・・魂
喜び過ぎれば心を傷る・・・心・・・神
思い過ぎれば脾を傷る・・・脾・・・思(思慮)
憂い過ぎれば肺を傷る・・・肺・・・魄(本能・感覚)
恐れ過ぎれば腎を傷る・・・腎・・・志
このようにそれぞれの五臓が精神作用を分担しています。
その中でもこれら全てを統括しているのが「心神」であるといわれています。
東洋医学は精神状態と五臓六腑は深くつながっていると捉えます。
五臓が病めば精神が乱れ、また、反対に精神が乱れれば五臓が病みます。
したがって、精神作用の中心である心神が乱れれば不眠があらわれるのです。
東洋医学では不眠といっても様々なタイプに分類されます。簡単にいくつかを紹介します。
1、肝鬱血虚(かんうつけっきょ)型
肝気が高ぶると眠れなくなり多夢になる。夢をみて驚いたり、ため息が多い、脇が脹って痛む、イライラしやすい、緊張しやすい、咽喉の閉塞感、爪に縦筋が多い、コムラ返りになる、など伴いやすい。
2、心脾両虚(しんぴりょうきょ)型
よく夢を見て目が覚めやすく一旦目覚めると寝つきが悪くなる、動悸、息切れ、顔色白い、精神疲労、驚きやすいなど伴う。
3、胃気不和(いきふわ)型
過食により胃の気が安定しない。ゲップが出たり腹脹など伴う。
4、心腎不交(しんじんふこう)型
心火と腎水が交わらず不眠になる、手足が火照る、頬が赤い、口が渇く、ひどくなると胸がモヤモヤする 健忘、腰がだるくなるなどの症状を伴う。
以上のように心・肝・脾(胃)・腎を病んでいる人は不眠になり易いのですが、これらは、精神状態から五臓を病むことにより出現しますので、心神の安定が何より大切となります。
鍼灸治療は不眠にも大いに効果をあげますが、ここで日常できるアドバイスを紹介しましょう。
1.過食を避けること。
2.ラジオ体操やウオーキングなどで身体の緊張をほぐす。
3.信頼できる人に悩みを聞いてもらうこと。
4.腰湯、足湯などで気を下に下げること。
5.気が上に上がるようなカフェイン類、唐辛子などスパイシなものはひかえる事。
6.腎が弱い人は塩分、生ものを控えて、山芋、黒い食物(黒ゴマ、黒豆など)を多くとる。
熟睡感があるということが健康を保つ上でとても大切になります。どうか焦らず心身ともに安定を保っていってください。
先月の新聞に「国内では大人の5人に1人が不眠を訴え、60歳以上ではほぼ3人に1人に増加」とありました。
患者さんの訴えでも、1時間2時間たっても寝付かれない、時間は充分に寝ているのに寝た気がしない、小さな物音で目が覚める、一度目覚めたら眠れなくなる、変な時間に目が覚める、睡眠薬無しでは眠れない・・・などなど様々です。
東洋医学では不眠をどの様にとらえているのか、またその解決法を考えていきたいと思います。
①なぜ人は眠るの?
・簡単な陰陽論
陰陽とは中国古代に現われた哲学上の言葉です。森羅万象のあらゆる物は、陰陽という一対の対立概念に全て属すという考え方です。
分かりやすく言えば、人間を男女に分ければ、男が陽、女が陰。
自然界の天地を分ければ、天は陽、地は陰。暑は陽、寒は陰。昼は陽、夜は陰。
位置では、上は陽、下が陰。表が陽、裏が陰。
性質では動が陽、静が陰。といった具合です。
このように一切の事物、状態には対立する2つの側面が必ず存在します。
相対的に静止し隠れるという傾向にある要素は陰に属し、反対に相対的に活動的で顕在的な要素は全て陽に属するという原則がありあります。少し難しいかも知れませんが陰陽論は東洋医学にとってとても重要な考え方です。
・陰陽から睡眠を考えると。
先ほどの陰陽論では昼が陽、夜が陰でした。時間で言えば陽気が充満している時間は昼の12時。陰気が充満している時間は夜中の0時となります。
昼の12時から夜中にむかって、少しずつ陰気が増していき、夜中0時に陰気が満杯になり、また正午から陰気がだんだん少なくなっていき、つまり陽気が増していき昼12時に陽気が満杯になる。この繰り返しです。
人はこのように、陰気が充満している時に眠気が来るのが正常なのです。
例えば夜中話に夢中になったり、アクション映画を見たりして興奮すると陽気が高ぶって寝つきが悪くなるという経験があると思います。
また、朝起きにくい人は陽気が少ない=寒がりの人が多いともいえます。
睡眠を研究している小林教授は「睡眠は体温と深く関係している。健康な人は朝方になると体温が上がり始め目が覚める。夕方に体温が最高点に達すると、今度は下がり始め次第に眠くなる。」といわれています。
したがって、寝る時間に陽気を高ぶらせないこと、普段から陰気を蓄えておくことが大事になるのですが、ではどうすればいいのでしょうか、考えていきましょう。
今年、強力な感染力を持つ「G2ー4型」のノロウイルスが全国で猛威を振るっています。
11月13日から19日迄だけで約5万人、12月に入ってからの1週間では約6万6千人が発熱、嘔吐、下痢などの胃腸症状を訴え、過去最悪のペースで広がっているとのこと。
まだまだ増加し続け、12月末には最もピークになるらしい。
原因として東洋医学の観点から簡単にいえば、秋冬は乾燥の時期であるにもかかわらず今年は湿気が多く、また温暖化の影響からか平年より気温が数度高く12月に入ってからも暖かいことから、ウイルスが非常に繁殖し易い、「湿熱」という条件下にあるといえます。
人体の面から言えば、今年は夏が暑かったため、発汗が多く「気虚」(元気不足)となっているところに、飲食過多などで脾胃(一般には胃腸)を痛め、胃腸症状を発症するこのウイルスに感染しやすくなっているのです。
したがって、平素から湿熱体質で、脾胃を弱らせている人がたやすくウイルスに感染してしまいます。
その上、子供や老人、病気の人などは抵抗力が弱っているので、非常に症状がきつく治りにくいといえます。
下記に予防法を紹介します。
1、手洗いうがいの励行。
2、脾胃を傷けることを避ける(暴飲暴食、寝不足、強烈な ストレス、運動不足)
3、魚介類などの生ものを食さない。
4、梅肉エキスを毎日、少しづつなめる。
5、乾燥している時は、部屋を保湿する。
以上のことを守れば、強力なウイルスであっても感染をかなり避けることができます。特に梅肉エキスは身体の熱(体温とは関係ない)を取りますので感染しにくくなるのです。
ぜひお試しください。
風邪は「万病の元」「百病の長」といわれ、様々な病を引き起こす元となり、死に至る時さえあります。
しかし鍼灸は、まさにこの風邪を見事に治癒させることが出来るのです。
西暦196~204年にかけて、張仲景(ちょうちゅうけい)という人が「傷寒論」という書を著しました。彼が生きた後漢末は伝染病などが流行し、多くの人命が失われた時代でした。張仲景の一家も、もとは200人以上の大家族だったのが、10年足らずで3分の2が死亡し、そのうち70パーセントが傷寒(風邪)による病死だったとされています。
そこで著わされたのがこの「傷寒論」だったのです。
内容は省きますが、1年以上通ってくださっている私の患者さんも、風邪を引いたら医者には行かず、飛んできて下さるようになりました。鍼がどれ程風邪に有効か、身をもって感じておられるからでしょう。
ここでは、風邪を引かないための予防法をご紹介します。
当たり前のことですが、実行している人は風邪を引きませんので、もう一度見直していきましょう。
1、外出後は手洗い、うがいを必ずすること。
(うがい は咽喉の奥まで塩水か番茶などで)
2、睡眠を充分にとること。
3、身体を冷やさないようにすること。特に首の後ろと足元。
4、風邪は絶対引かないと決めること。
5、温かい所から寒い所に出るときは、気合いを入れる。
6、室内を乾燥させない。
規則正しい生活をすることは当然の事として、以上のことなどを守れば、風邪はかなり避けることができます。
自分に抵抗力があれば、人が風邪を引いても罹患することはありません。もし風邪を引いて熱が出た時は、解熱剤にすぐ頼らず、にんじんジュースを何度も飲んでください。西洋にんじんを沢山買いこんで、すりおろしてガーゼで絞ってください。りんごを混ぜると飲み易くなります。面倒ですが、手ですりおろしたジュースは効果抜群です。胃腸にも良いですし、高熱が出なくなります。
この冬、一度も風邪を引かなかったと言えるよう気をつけていきましょう。