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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2007年2月3日(土)

Vol.7「脾胃こそ健康の宝」その2

ここで「脾」と「胃」に分けてその病理を見ていきましょう。
はじめに「胃」についてです。「はい」の数をチェックして下さい。

・胃の辺りがよく痛む。
・食べるともたれる時がある。
・よく胸焼けする。
・ゲップがよく出る。
・しゃっくりがよく出る。
・過食すると吐き気がする時がある。
・食べるともたれる時がある。
・背中で胃の後ろ辺りが痛むときがある。
・便秘するほう。
・口臭がある。
・ガスがよく出る。
・普段から大食してしまう。
・食べるとよくお腹が張る。

はいの数が5つ以上ある人は胃にかなり負担がかかっています。
胃は食べたものを受け取り消化させ小腸に送り込みます。
また、胃の「気」の動きは食べたものを下に降ろす「下降」が主となります。これらに異常が出れば食べたものが下に降りず逆に上がってしまいゲップ、しゃっくり、嘔吐などが生じるのです。

次に「脾」について見てみましょう。同じく「はい」の数を数えて下さい。

・下痢し易い(軟便傾向)
・食欲がない時がある。
・食後に眠たくなる(昼以外でも)
・胃下垂(子宮脱、脱肛なども)になった事がある。
・むくみ易い。(特に足)
・雨天時、梅雨に調子が悪い。(身体が重いなど)
・立ちくらみする事がある。
・眼の下にくまがよくできる。
・顔にしみが多い。
・上瞼が落ちてくるような感じがする。
・すぐ横になりたがる。
・不正出血したときがある。

5つ以上「はい」があった人は脾の臓が弱っていると思ってください。
脾は食物の消化を更に進め消化された栄養物質の吸収と運化(栄養を全身に運ぶ)の役割を担います。
また、脾の「気」の運動は胃とは逆で「昇」が主で、上に持ち上げます。ですから、その作用が弱ると持ち上げることができず内臓下垂、眼瞼下垂などが生じるのです。
また、脾は血液を作る大元ですので脾が弱ると貧血状態になり易く立ちくらみなどが生じます。
脾は形は「脾臓」や「すい臓」、機能は「すい臓」と「小腸」など様々な説がありますが、明確には述べられていません。
しかし形はなくてもその機能は重要な役割を担っています。
まさに「脾」と「胃」は健康を保つ上で中心となるのです。
次回は脾胃を守る方法を考えていきましょう。

2007年1月14日(日)

Vol.6「脾胃こそ健康の宝」その1

・運動と飲食のバランス
年末・お正月とほとんどの方が身体を動かさず飲食過多になっているのではないでしょうか?
7日は七草粥を食して胃の疲れを取る習慣がありますが、昔は飲食も質素、乗り物なども便利でなく人々は皆よく身体を動かしていたことでしょう。その上七草粥の習慣を重んじ胃を守ってきました。
現代は運動と食べる量のバランスが悪すぎて皆糖尿病など多くの疾患を患っています。飲食した分歩いたり運動しただけでどれほど病気にならずにすむ事でしょうか。
さて、東洋医学では「胃」を「脾胃(ひい)」という概念でくくり五臓六腑の中で最も大切にしなければならない中心的な所として重要視しています。
いかに脾胃を守ることが大切か、またここから様々な疾患を発生させるという事を知ってください。

・脾胃と石臼の関係
近松門左衛門の弟といわれている岡本一抱という人が脾と胃の関係を石臼(いしうす)に例えて説明しています。
上側が「脾の臓」、下側が「胃の腑」、取っ手を「手足」、穴に入れる豆は「水穀」とします。
取っ手(手足)を動かすと脾の臓が動き、胃の腑に入った飲食物(栄養)を揉んで消化吸収できるように細かくくだいていきます。
つまり、胃の腑は飲食を受け取る「受納」という作用。
脾の臓はその飲食(栄養素)をくだき(それらを水穀の精微という)栄養を全身に運化(運ぶ)していきます。
何を運化するのかを分ければ、飲食物の運化と水湿の運化になります。
したがって胃の腑に受納したものを砕いて栄養素に変えていく脾の臓の働きを促進するためには手足を動かさなければならないのです。それが歩くなどの運動にあたります。

・脾胃の「気」の作用
脾の気は昇(昇ります)
胃の気は降(下降します)
脾の気は栄養と水液を吸収輸布し、心肺まで輸送するという運化作用があります。
胃の気は食物を消化させ下に送るという下降作用があります。
また、脾胃で作られた栄養素が血液となったものは血管内を廻り、血管外の水液は津液(しんえき)と呼ばれ全身を潤します。
さらに「脾胃の気」のことを「胃の気」と呼び最も大切な気として重要視します。胃の気は生命力そのものを指します。

・脾胃の喜と嫌
胃は潤(うるおい)を喜(この)み、燥(乾燥)を嫌います。
脾は燥(乾燥)を喜(この)み、潤(うるおい)を嫌います。
陰陽で分ければ、胃は陽、脾は陰ですので、胃は熱をもち易いので潤(うるおい)を好み、脾はもともと陰なので湿(陰)邪に弱いのです。
脾が弱い人は、雨天や梅雨の季節になると調子が悪くなり易く、下痢やむくみの症状が出やすくなります。
また、ストレスや過食などにより胃に熱を持つとますます過食になり便秘(コロコロなど)や口臭などが出てきます。
詳しい病理は次回をお楽しみにしてください。
東洋医学の言葉に慣れるまでは難しく感じると思いますが非常に理に適っていますので是非何度も読んでみてください。

2007年1月1日(月)

Vol.5夢について

あけましておめでとうございます。
皆さんは普段どのような夢を見ますか?
特に1月2日の朝に覚えている夢を初夢といいますが、素敵な初夢見られましたか?

東洋医学を学ぶ私達も診断のひとつとして、夢をよく見るかどうか、またどのような夢を見るのかを重視します。
西洋医学のほうでも不眠の人は夢が多いとのデータもあるようです。
古代中国医学が実際に体系づけられるようになった、春秋戦国時代の末期(前320~250)に出来上がったと推定される原典の書「黄帝内経」の中の「淫邪発夢編第43条」に夢に関して書かれてありますのでご紹介します。

(実証の人)
邪気(生体のアンバランスを引き起こすもの)が有余の場合
人体の上部の方に気が盛ん(上がっている)時は空を飛ぶ夢。下部に盛んな時は墜落する夢を見る。

肝気が盛ん→怒る夢。
肺気が盛ん→びくびく恐れたり泣き叫んだり、ふわっと飛び上がるような夢。
心気が盛ん→夢の中でよく笑ったり、恐れたりする夢。
脾気が盛ん→歌い楽しむ、或いは身が重くて身動きできない。
腎気が盛ん→腰と脊が離れてくっつかない夢。

(虚証の人)
正気が不足(気・血・精などが不足している状態)の人。
心気が不足→山林に煙火(のろし)を見る。
肺気が不足→飛び上がったり金属で造った奇物(珍しい物)夢
肝気が不足→山林や樹木の夢。
脾気が不足→丘陵、大きな沢、壊れた家屋、風雨の夢。
腎気が不足→深い水辺にたたずんで下を覗き込んだり、水中にもぐる夢。

膀胱→夢の中でぶらぶら散歩。
胃 →物を食べたり飲んだりする夢。
大腸→田んぼや野原の夢。
小腸→都市などの市街地の夢。
胆 →他人と喧嘩したり口論したりして自分も怪我する夢。
陰器→男女の房事の夢。
項 →首を切られる夢。
脛 →走ることできず、前にも後ろにも行けない。
股間→礼拝する夢。
膀胱直腸→小便、大便の夢。

以上ですが、東洋医学では例えば肝といっても肝臓そのものと共にその機能を幅広く指しますので西洋医学での肝臓の概念とは異なります。
上記に似た夢を見たとき五臓六腑のいずれかが何らかの信号を発していると考えていいですが、あくまでも参考です。
ただ、こられる患者さんを参考にさせて頂ければ、肝胆に異常がある人は確かに怒る夢を見られている人が多いですし、精神的にかなり病んでいる人は、追いかけられたりなど怖い夢を見る方が多いです。また、脾胃を痛めている人は金縛りにあったりされています。
私自身も、あまり夢を見るほうではありませんが、かなり思い当たることが多い事に驚きます。
夢を見てもすぐ忘れてしますのが普通ですので、同じような変な夢を見たり、いつまでもはっきり覚えていたりする人は、精神的にリラックスできよう何らかの形で、緊張をほぐす事をお勧めします。

2006年12月26日(火)

Vol.4不眠その2

睡眠は静で陰、覚醒は動で陽。つまり陽気から陰気への転化が睡眠、陰気から陽気への転化が覚醒、ということが「その1」で分かりましたか?
このような「陰陽の気」が自然に規律をもって転換する事が安眠であり、これが乱れると不眠となります。

ではなぜ陰陽が乱れるのか、ここには精神情緒の問題が大きく関わってきます。
五臓と精神作用との関係は下記のようになります。

精神状態       五臓  精神作用
怒り過ぎれば肝を傷る・・・肝・・・魂
喜び過ぎれば心を傷る・・・心・・・神
思い過ぎれば脾を傷る・・・脾・・・思(思慮)
憂い過ぎれば肺を傷る・・・肺・・・魄(本能・感覚)
恐れ過ぎれば腎を傷る・・・腎・・・志

このようにそれぞれの五臓が精神作用を分担しています。
その中でもこれら全てを統括しているのが「心神」であるといわれています。
東洋医学は精神状態と五臓六腑は深くつながっていると捉えます。
五臓が病めば精神が乱れ、また、反対に精神が乱れれば五臓が病みます。
したがって、精神作用の中心である心神が乱れれば不眠があらわれるのです。

東洋医学では不眠といっても様々なタイプに分類されます。簡単にいくつかを紹介します。

1、肝鬱血虚(かんうつけっきょ)型
肝気が高ぶると眠れなくなり多夢になる。夢をみて驚いたり、ため息が多い、脇が脹って痛む、イライラしやすい、緊張しやすい、咽喉の閉塞感、爪に縦筋が多い、コムラ返りになる、など伴いやすい。

2、心脾両虚(しんぴりょうきょ)型
よく夢を見て目が覚めやすく一旦目覚めると寝つきが悪くなる、動悸、息切れ、顔色白い、精神疲労、驚きやすいなど伴う。

3、胃気不和(いきふわ)型
過食により胃の気が安定しない。ゲップが出たり腹脹など伴う。

4、心腎不交(しんじんふこう)型
心火と腎水が交わらず不眠になる、手足が火照る、頬が赤い、口が渇く、ひどくなると胸がモヤモヤする 健忘、腰がだるくなるなどの症状を伴う。

以上のように心・肝・脾(胃)・腎を病んでいる人は不眠になり易いのですが、これらは、精神状態から五臓を病むことにより出現しますので、心神の安定が何より大切となります。

鍼灸治療は不眠にも大いに効果をあげますが、ここで日常できるアドバイスを紹介しましょう。

1.過食を避けること。
2.ラジオ体操やウオーキングなどで身体の緊張をほぐす。
3.信頼できる人に悩みを聞いてもらうこと。
4.腰湯、足湯などで気を下に下げること。
5.気が上に上がるようなカフェイン類、唐辛子などスパイシなものはひかえる事。
6.腎が弱い人は塩分、生ものを控えて、山芋、黒い食物(黒ゴマ、黒豆など)を多くとる。

熟睡感があるということが健康を保つ上でとても大切になります。どうか焦らず心身ともに安定を保っていってください。

2006年12月25日(月)

Vol.3不眠その1

先月の新聞に「国内では大人の5人に1人が不眠を訴え、60歳以上ではほぼ3人に1人に増加」とありました。
患者さんの訴えでも、1時間2時間たっても寝付かれない、時間は充分に寝ているのに寝た気がしない、小さな物音で目が覚める、一度目覚めたら眠れなくなる、変な時間に目が覚める、睡眠薬無しでは眠れない・・・などなど様々です。
東洋医学では不眠をどの様にとらえているのか、またその解決法を考えていきたいと思います。

①なぜ人は眠るの?

・簡単な陰陽論

陰陽とは中国古代に現われた哲学上の言葉です。森羅万象のあらゆる物は、陰陽という一対の対立概念に全て属すという考え方です。
分かりやすく言えば、人間を男女に分ければ、男が陽、女が陰。
自然界の天地を分ければ、天は陽、地は陰。暑は陽、寒は陰。昼は陽、夜は陰。
位置では、上は陽、下が陰。表が陽、裏が陰。
性質では動が陽、静が陰。といった具合です。
このように一切の事物、状態には対立する2つの側面が必ず存在します。
相対的に静止し隠れるという傾向にある要素は陰に属し、反対に相対的に活動的で顕在的な要素は全て陽に属するという原則がありあります。少し難しいかも知れませんが陰陽論は東洋医学にとってとても重要な考え方です。

・陰陽から睡眠を考えると。

先ほどの陰陽論では昼が陽、夜が陰でした。時間で言えば陽気が充満している時間は昼の12時。陰気が充満している時間は夜中の0時となります。
昼の12時から夜中にむかって、少しずつ陰気が増していき、夜中0時に陰気が満杯になり、また正午から陰気がだんだん少なくなっていき、つまり陽気が増していき昼12時に陽気が満杯になる。この繰り返しです。
人はこのように、陰気が充満している時に眠気が来るのが正常なのです。
例えば夜中話に夢中になったり、アクション映画を見たりして興奮すると陽気が高ぶって寝つきが悪くなるという経験があると思います。
また、朝起きにくい人は陽気が少ない=寒がりの人が多いともいえます。

睡眠を研究している小林教授は「睡眠は体温と深く関係している。健康な人は朝方になると体温が上がり始め目が覚める。夕方に体温が最高点に達すると、今度は下がり始め次第に眠くなる。」といわれています。
したがって、寝る時間に陽気を高ぶらせないこと、普段から陰気を蓄えておくことが大事になるのですが、ではどうすればいいのでしょうか、考えていきましょう。

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