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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2008年4月16日(水)

Vol.11気の話

・気の存在

先日、久しぶりに東京で女性鍼灸師として活躍している親友と出合った。
私と彼女の共通点は多くあるが何と言っても「鍼灸が大好き」という純粋な気持ちだ。
出てくるのは鍼の話ばかり。時間を忘れて話し込んでしまう。
「気が合う」というのはこのことか。
「気」は目には見えないが現前と存在すると確信する。
例えは変かもしれないが、猫のしっぽを踏んだら「ふー!!」っと怒って猫の毛が逆立つ。
これは怒りによって「気」が上に揚がった状態だ。
私の友人も怒っている時ふと見ると腕の産毛が立っていた。東洋医学的には「肝気が揚がる」という。
反対に驚いて本当に腰が抜けてしまった人を目の前で見た事があるがこれは「気」が下がった状態。現代人は緊張や怒り等で肝気があがりっぱなしで、腎や腰といった下の方が弱い。つまり逆三角形型になっている人が多い。上に気が上がり不安定な状態だ。回転性のめまいや突発性難聴、高音の耳鳴りなども簡単に言えば緊張や怒りによって肝気が高ぶった為に起こるといえる。

話は反れたが日常語の中にも「気」のつく言葉が多く使われている。
元気、病気、やる気、気楽、気持ち、気合い、勇気、気長、無邪気、殺気、短気、陽気、陰気、気性、気苦労、気が抜ける、気が置けない、気を引く、気を使うなどなど・・・
東洋医学では「気」は生命活動のエネルギー源とされている。(気は気でも正気というが)
臓腑や器官の生命維持の根元でその機能活動の原動力といわれている。

・どこにでも有る気

気は有情のみでなく感情の無い非情にも感じる。ペンひとつとっても大事にしているものには何ともいえない温かさがある。
今の私の鍼灸院は、亡き母が30年間鍼灸治療をしてきた場所で、患者さんを想う母の気、楽になった事への感謝と喜びの気で充満しているようだ。
母と共に働いている時にはあまり感じなかったが、自分が携わるようになってから驚くほどそれらの気が流れているのを感じて、まるで母と一緒に鍼灸院にいている感覚にいつもなる。
患者さんが「ここに来ただけで癒される、気持ちが良くなる」といって下さる度に素晴らしい気を残してくれた母に感謝感謝の思いで合掌している。
どれ程母は鍼灸を愛していたか、今、日々鍼のすごさを患者さんから教えていただき感動している。

・驚愕の名人

奈良におられる私の鍼灸の師、藤本蓮風先生の治療所を先日も見学にいった。
少々黒ずんだ顔のお腹の膨らんだ患者さんがしんどそうに入ってこられた。
彼女は腹膜ガンの患者さんで尿が出にくく腹水でお腹が腫れているのだった。
私は先生の後ろについて見学させていただいた。
左手で患者さんの脈を診ながら、右手に鍼を持つ先生。一本一本が真剣勝負、いつも鍼を刺される姿を見ながら「これは効いている!!」と私が感じる程の誠の一本だ。
しかしこの患者さんには鍼は刺されなかった。というより刺さなくてよかった。
鍼を翳(かざ)した、その瞬間「お、脈が変化したぞ。刺さなくても気が動く時がある」といわれ、そこで治療は終了した。ほんの数秒の治療だった。
信じられないかもしれないが現実に鍼は本当にすごい!
その患者さんは直後「先生、おトイレに行ってきます!」と何ともうれしそうな顔で出て行かれた。
その足取りのなんと軽かったことか。

こんなに身近に本当の鍼のすごさを教えて下さる師の存在への恩返しは、「どんどん治して皆で不可能を可能にしような!」の師の言葉を実現することしかない。

2008年3月31日(月)

Vol.10身体から心へアプローチ

・心身のストレス

今日、管理職とは名ばかりで過酷な労働時間によって心身のバランスを大きく崩し、自殺や心筋梗塞んど寝たきりの病に犯される人が急増していることがテレビで報じられた。
我が院でも、精神的な事から身体に不調を訴え来院される多くの患者さんのお話を伺い考えさせられることが多い。
精神的な問題がどれ程、身体に影響を与えるかは計り知れない。

・主人在宅ストレス症候群
その極めつけともいうべきある主婦の方が来院された。
ご主人が退職して家にいるようになってから、体調が悪くなり最近ではご主人が後ろを通るだけで息苦しく、動悸を打ち意識を失って倒れてしまうというのだ。
今、問題になっている主人在宅ストレス症候群だ。
これは「主人在宅によってもたらされるストレスが主な原因となって主婦に発症する様々な疾患」と位置づけられている。
それまで潜在していた夫婦間の問題が主人の退職を機に顕在化するらしい。

・様々な症状
人によって精神から身体に影響を及ぼす様々な症状があるが、他にはうつ、高血圧、過換気症候群、眼瞼痙攣、めまい、頭痛、リュウマチ、不整脈、過敏性腸症候群、膠原病、アトピー、喘息などなどほとんどといっていいほどの疾患だ。心は元気で身体が不調というのはほとんどない。

・鍼の効果
先ほどの在宅症候群の患者さんには、上昇の熱をとり下半身を暖めるという治療方法を数回続けただけで今のところ一切意識を失うような症状は出ていない。
大変な喜びようだ。
あまりにもバランスを崩してしまったときは、心を何とかしようと思うより、身体を良くしていったほうが早く精神のバランスも取り戻せる。
患者さんから毎日毎日鍼灸のすごさを教えていただいている。

・こんな人注意よ~
自分をチェックしてみては?「はい」が多い人はどこかからだの不調が多いはず。
1、思っていることを口に出せない性格
2、人から気に入られたいと思う
3、遠慮がちで消極的なほう?
4、自分の考えを通すより妥協することが多い
5、他人の顔色や言うことが気になる
6、つらいときには我慢してしまう
7、他人の期待に沿うよう過剰な努力をしてしまうほう
8、自分の感情を抑えてしまうほう
9、劣等感が強いほう
10、現在「自分らしい自分」「本当の自分」から離れているように思う

どうでしょうか?これはエゴグラムの一部です。はいが10に近づけば近づく程「抑えすぎ」で様々な疾患にかかり易いです。0に近いほど「頑固」となり、中間がいいのでしょうが・・・

・ひとはかわいい
美空ひばりさんの歌の歌詞で「ひとは~かわいい~かわいいものですね~」というのを思い出すが、患者さんを診させていただくほど人は何て健気に人生を生きているのかといじらしくさえ思えてきてしまう。
そしてどのホームページも鍼灸の効果を上記の治療方法に載せていることのなんと少ないことか。
多くの人がこの鍼灸の素晴らしさに目覚めてほしい~と声を大にして言いたい。

2008年3月14日(金)

Vol.9骨がんの激痛

今日、鍼灸の師、藤本蓮風先生の下へ勉強にいき感動感謝の思いで帰宅した。
朝見せていただいた骨ガンの患者さんの画像写真。
骨盤をはじめ肋骨、背骨とほとんどの骨がガンに侵され広がっていた。
しばらくするとひとりの背の高い紳士がスタスタと歩いて来院して来られた。
骨ガンの患者さんだった。
治療が終わり靴下を履くのを手伝っていたとき、その紳士は私に問いかけた。
「あなたは死ぬほどの痛みを今まで味わったことがありますか?」と。
私は「いいえ。しかし母がガンでした。その時の痛みはたぶんその様なものだったと思います」と答えた。
紳士は「この痛みが鍼ですっかり無くなったんですよ」と。
その時の真剣な顔、輝く目、そして深い感動が込められた一言。これらは私の生命の奥に重く響いた。
この患者さんは同じ勉強会仲間のペインクリニック院長からの紹介だった。

師は「ガンでも治るものと治らないものがいる」
「心が開いているものは治るのだ」と語った。それはどれ程鍼灸師である先生を信じ身体を任せ、気を動かすことができるかなのかもしれない。
古典には「通じざれば痛む」とある。東洋医学では気の停滞が痛みを生む。気を通じさせることこそ痛みを軽減させることになると捉える。
そして「心を開き気を動かす」のは、患者さんと共に実は術者が大きな鍵をにぎる。
師は弟子たちに向かって「一切の邪念を抜いて患者さんに集中せよ!こちらに動揺があってはならない。故に確固たる信念を持たねばならない」と叫ばれた。また「集中したとしてもこちらに力みがあってはならない。患者さんを自然の法則にのせていく。鍼はその媒介物である」と。
治してやろうと思うこと自体、力みになる。人間を完全なものとして捉えているからこそ治ると確信できるこの東洋思想は本当に深く偉大だ。
師は最後に「謙虚であることが究極に大事。謙虚さは感謝から生まれるんだ」と。短くも非常に深い話だった。
西洋医学中心の考えではこの意味が理解できないかもしれない。しかし私には一言一言が心からうなずけた。

鍼への確信と情熱、そして自分自身の人間性の輝きこそ多くの苦しむ人々を救っていく究極なのだと受け止めた。

後で私も師の鍼を受けながら「この素晴らしい鍼に縁した人々は本当に幸せだな~」と思う間もなく深い眠りに入っていた。

2008年2月16日(土)

Vol.8過食を考える

今日、鍼灸師仲間の男性に少食になるコツを質問してみた。
彼はかなりの少食を実行。どんどん頭が冴えてくると言う。
患者さんには「過食に気をつけて」と言いつつも実は私、朝食をとりながら昼食の事を考え、昼食中に晩の事を考えるという程のグルメ。過食鍼灸師だ。
少食鍼灸師の答えは、今まで10分で食べていた夕食を30分かけて意識して噛むようにした。噛めば噛むほどお米などの本来の甘さが出てきて味わい深いと。
しかし、最近チョコなどを食べるようになってから少食のリズムが狂ってきたと言う。
チョコなど濃厚なものを口にすると味覚が狂ってくると言うのだ。この中に沢山のヒントをもらった。

(過食はなぜ起こる?)
簡単に言えば「過食は胃の熱が原因」と東洋医学では結論する。
では胃の熱はどうして起こるのか?1つは「ストレス」。コラムでも何度も紹介したように肝気が高ぶれば(ストレス、緊張、生理前など)尚更過食になってしまう。肝気を高ぶらせると身体の中で熱(内熱)となる。アトピーなど熱性疾患の人はイライラすると更に熱が増し痒みがひどくなる事でも説明できる。(痒み自体もイライラするが)
そしてもう1つは「肥厚甘味の食べ物」。患者さんとの問診でもストレスが大きい人は必ずと言っていいほど甘いものを好む。それも究極はチョコレートのようだ。
やはり甘いものは緊張をかなり緩めてくれる。
しかし、チョコやケーキといった甘いものはほとんどが砂糖と油。砂糖、油は熱性の食品。胃に入ればすぐ熱を持ってしまう。
つまり、イライラ(=内熱)すると甘いもの(=内熱)を好み更に過食(=内熱)になるという悪循環。どうにもとまらない~だ。

(過食と精神状態)
このように「イライラと過食は密接」とは誰もが経験しているのでは?
ではこれを逆手にとってか、逆発想で世界の記録を残している男性がいる。イチローだ。食生活を正して精神の安定を図るというのだ。
イチローは何十年もお昼ごはんに奥さんの手作り野菜カレーライスを同じ量だけ食べているという。イチローの生活の全てが野球である事を考えたら、これは自分自身の精神のブレを防ぐための逆発想と受け止めた。動じない自分を確立してこそ一流になれるというものだ。いくら美味しくても何年も同じものを食べられる?その野菜カレーに海老かつや卵がのっているなんて考えられないらしい。

それにしても腹6分や8分を続けるのはかなり困難。
少し前あるリュウマチ患者さんに一生懸命少食にするように勧めていたが一向に出来ないようで・・・・しかし、ふと振り返れば「少食にして」という私の言葉がより過食を誘発していることに気づいた。
このリュウマチ患者さんも肝気がかなり高ぶっている。私の言葉を真剣に受け止めようとすればするほど、それが出来なかった時、過食の自分を責めてストレスが増していく。
言わなくなったら過食が止まったらしく舌の状態が非常に良くなった。現代はストレス社会。人を見て食生活も誘導していかなければと教えられた。

(過食解消と少食のメリット)
では以上の事をまとめて「過食を防ぐ=身体を守る」を考えてみた。

過食解消のために~
1、良く噛む
2、肥厚甘味のものは出来るだけ少量に
3、生活に無理が無いか見直す
4、悲観的な考えを楽観的に転換
5、運動を忘れずに
6、時々体重計にのって体脂肪をチェック

少食のメリット
1、精神的に安定する(頭冴えて根気でるよ~)
2、身体が軽く動きやすい
3、若返る(見た目にも)
4、熱性の伝染性の疾患にかかりにくい
5、味覚が正常になり変なものを見分けられる
6、食費が半分で済む

過食になる度にここのコラムに戻ってきては?

2008年2月9日(土)

Vol.7春の気配

「めまい」

立春が過ぎてから「めまい」を訴える患者さんが急増した。
どこの病院に行っても異常なしといわれるのですが・・・と。
検査結果に異常が無くても様々な症状を訴えられる人の何と多いことか。
またその様な訴えに対して「自律神経ですよ」「診療内科に行くように」と訴える医者のなんと多いことか。
確かにめまいにも様々ある。本当に脳に腫瘍などの異常が発見される場合もあるが、我が院に来院される患者さんのめまいは大きく分けて二つあるように思う。
ひとつは、何か雲の上を歩いているようなフワフワした感じ。ほとんど立ちくらみ状態のものだ。
もうひとつは、メニエル氏病様のグルグルまたはグルッと回転するもの。
簡単に言えば、前者の雲の上は血虚(貧血傾向)の時に多く、回転性のものは「肝の高ぶり」に関係が深い。

「肝の高ぶりって?」

東洋医学の肝は五行では「木(もく)」を指す。
木は幹を中心にのびのびと空に向かって枝を広げている。(この事を「条達」という)
つまり肝の蔵は縛られることを嫌い、のびのびしている事を好む蔵といえる。
だから、自分の思うように事が進まなかったり、忙しくて自分の自由な時間が無かったりするとイライラする人がいるが、これは東洋医学的に見て肝が高ぶっている証拠。
縛られるのが大嫌いだからイライラするのだ。
生理前も分かりやすい。生理前になるとイライラする人が多い。そして過食になる。生理前は肝が高ぶるからそれを降ろそうとして過食になる。
その上この季節はまだ寒いと思っていても日差しは春を感じる。
小さなつぼみたちがすぐそこに来ている春を感じて今か今かと膨らんでいる。
そう、上へ上へと一斉に伸びようとしている季節だからややこしい。
人間の気も上へ上へと昇ってしまう。ましてや、春で無くても常に忙しい人、いらちの人はこの季節になればちょっとした事で肝に触る。ピリピリするのだ~。
だいたい肝が高ぶっているひとは顔を見ればすぐ分かる。鼻の中央辺りが白く抜けている。
ひどくなると目の周りが青白くなってくる。目も血走っていたりする。
このような人の近くにはあまり近寄らないほうが、いや、近寄る時は覚悟して。

「肝が高ぶればめまいが起こるの?」

そもそも回転するってなぜ?片方が弱いか片方が強くて重心が傾いて回転する。コマの原理だ。人間では、良く見れば左右のバランスを崩している人にめまいが良く見られる。
例えば、50肩のある人はどちらかの肩が悪い。つまり左右のバランスが悪いということだ。このような人で肝が高ぶっている人はかなりの確立でめまいが起こっている。
また50肩で無くても常にどちらかの肩をいつも凝らせている人も同じだ。
それは特に肩甲骨あたりにあるツボや腹部の肋骨弓辺りの左右差を見れば判明する。
また、舌の先が赤かったり、舌の両側が剥けていたり、舌に赤い点々が多い人も要注意だ。

「どうすればいいの?」

1、普段から肩こりを取っておくことが大事。
風邪は万病の元というが、私は肩こりも万病の元と言いた  い。上に気が昇っている証拠だからだ。
2、運動不足の過食は肩こりの大本。ウオーキングをしてスト  レス食いを避けたい。
3、腎の蔵を弱らせると余計に肝が高ぶる。更年期障害を見れ  ば良く分かる。50前後になれば大概「腎」が弱る。腎が弱  るとはいわゆる老化現象の始まり。下に位置する腎がしっ  かりしていれば肝の暴走を防ぐ。下(腎)が弱る事で余計  に肝が高ぶる。だから更年期ではホットフラッシュといっ  て顔にばかり汗をかいたり、肩が異常に凝ってきたりと肩  から上の症状が出てくる。腎は塩分控えめ、冷たいものを  控えることは基本。
肝はのびのびを好むと言ったように、自分にとってホット  することをしたり出かけたり、誰かにしゃべったりと工夫  してのびのび時間を持ってみては?

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