先日、ある患者さんから「先生のお陰です」と電話があった。この言葉は私にとっては「鍼はすごいです」に聞こえるから何より嬉しい。
この患者さん、酷い椎間板ヘルニアで来院され、良くなられたので二年以上前に治療を一旦終了されたある小学校の音楽の先生。
当時、画像を拝見した。本当に大きなヘルニアで、立って指揮を振ることすら困難な状態だった。医者からは手術しか方法はないと言われながらも、遠方から鍼を信じて通ってくださり、立って指揮が振れるように回復。
手術もせず、鍼治療で飛び出していたヘルニア自体が組織に吸収され無くなってしまった。
患者さんから、このように鍼の凄さを教えて頂く事は数しれず、感謝するのはこちらの方なのに…この患者さんの律儀さは並ではない。驚くばかりの大誠実の方。
先日は、日本管楽コンテストで最優秀賞をとられた事を感謝されてのお電話だった。
二年間、治療に来られてないのに、毎回毎回、こちらが恐縮する程、コンテスト度ごとにお電話を下さる。
一日でも休むと余計に疲れるので、マグロの様ですと笑われるほど、子ども達のために生き抜いておられる先生。
朝練のために、早朝から100人近い 子ども達の点呼をとられ、駅から一緒に学校に行かれる日常。
遅刻、欠席者が殆どいないというから驚く。
子ども達は何て幸せなのか。
患者さんがお電話の向こうで、頭を下げられてる御姿が見えるよう。私より少し歳上の男性にも関わらず…恐縮するばかり。
私心なく大目的に生きておられる方は限りなく謙虚だと感じる。
益々のご活躍とご健康を心からお祈り申しあげ、私自身成長して恩返しする事を誓う。
ー真心の数々ー
先日、鍼灸院スタッフ、友人、家族がお誕生日会を開いてくれました!手作りのご馳走、一生懸命選んでくれたんだろうな~って感じるプレゼント、そしてショートコントの披露まで。お腹の底から笑わせて貰いました!
ひとつひとつに真心が込もっていて感動してしまいました。真心…言うのは簡単ですが、中々行動に表すのは難しかったりするものです。改めて皆んなの真心が深く心に染みました。
ーショートコントー
何と言っても大爆笑になったのは、「実千代先生のよくする行動シリーズ」コント。いつも本当に静かなスタッフ達が、私の日頃の行動の特徴をかなり的確に把握していて…本当に笑ってしまいました!
朝の出勤時の私、子供が来た時の私、至福の時、仕草、よく言う言葉、最も印象深い行動等々…スタッフは冷静に私を見てるんだと今更ながら怖くなりました。自分を知るためにもたまにコントして欲しいです。
ー責任ある顔ー
若い時と違って年齢を重ねる度に、よく言われるように40を超えたら自分の顔は自分で責任を持たなくちゃと痛切に感じます。この言葉は、第16代アメリカ大統領リンカーンの言葉。実際、ある人が推薦した男性をリンカーンは「顔が悪い」と採用しなかったといいますから。勿論、顔の造りの良し悪しではありません。男女ともに40、50、になって人相が悪いのは内面を磨いてきてない証拠だとの厳しい言葉です。怖いほど心が如実に顔に現れてしまうそんな年齢に突入しました!
ー美しい顔ー
最近「大人のディスコパーティー」とやらが神戸で開催。懐かしの曲に盛り上がって踊ってきました!
そこに、有名なアパレル関係の創業者が来られていたのです。何と、91歳!音楽ガンガンのあの場所に悠然と。創業は1947年と言いますから65年。さすがに踊るのは遠慮されてましたが、そのお顔の美しい事。柔和で艶があって吸い込まれるようでした。色々お話しさせて頂きましたが、91歳でも女性をウットリさせる風格のある美しいお顔の殿方でした。
ー陰陽のスパークー
師匠、藤本蓮風先生の著書『鍼の力』(緑書房出版)の中に、江戸時代の思想家、安藤昌益が男女と書いてヒトとルビをふっている事を紹介されて、「生まれて死ぬまで「男」「女」であること、これが大事なんです。年とってお化粧したらマンダラになる場合がありますが、それでもお化粧しましょう。男性は女性からカッコイイと思われるほど、カッコつけましょう。このような陰陽のスパークこそが、人間を健康にするんです。」とありました。ユニットに富んだ先生らしい表現に納得し笑っちゃいました。お誕生日の決意は、マンダラになっても化粧します!です(笑)
昨夜は本当に素敵な夜だった。
素晴らしい出逢いに心から感謝したい。
それは、大阪のど真ん中にあるのに、別世界の空間…日本料理店との出会いだった。
私の心が今求めているものに出会ってその興奮が冷めない程。
音も無く微かなお香が優しく香るたった8席のお店。
なんていう安らぎの気が流れてるのかと…
秋の旬の食材を活かした優しい味付けの数々。心が尽くされた器。特に、江戸時代のもので鶴の文様の入った光沢のある深緑の器をこの日、私へのお祝いにと初めて使って下さった。
今まで食したことの無い、室町時代の蘇という美味なるチーズ。
どれを口にしても想像を超える生きた味い、心豊かになる美味しさ。
その上、出されるタイミングと、その量の加減の絶妙さは、素晴らしく感心するばかり。
一流には、一流という空間に心から人を感動させる気が流れているもの。
その気はひとことで言えば「優しさ」なのかもしれない。
真の優しさは当然薄っぺらさなど微塵も無いもの。
むしろ鍛え抜かれた厳しさを感じる。
欠けるものが無い見事なる調和ーこれが真の優しさだと教えられる。
日本料理店に行って、その優しい気に感応して涙が出そうになるなんて初めての事。
たまにそっと見せて下さる店長のお顔を拝見して腑に落ちた。誠実さがお顔と態度に溢れ出ている方。この方の鍛え抜かれた内面が、全てを生み出しているのだと…
何年かかっても一流になりたいと、心から思わせて頂いた日。
私をここに連れてきて下さった西本さん、友人に心から感謝して…
益々一流に触れて心を磨いていきたい。
先日、大阪の北新地に久しぶりに。ここは、東京の銀座と並ぶ大阪で最大級の高級飲食店街と言われている所。数メートルの間にどれほど沢山のラーメン店(お酒の締め?)があった事でしょう。笑いが出るほど。
百貨店のデパ地下といい、テレビや雑誌といい、兎に角、空前の飽食時代、日本。こんな状況の中で、患者さんには食べ過ぎないでね、とかなんとか言って食事指導をするのだから余程意思の硬い人でも難しい。
私とて例外でなく、食べることも作ることも大好き。食には結構こだわりがある。
世界では、人口の約80%が飢えと貧困で苦しんでいるというのに。
東洋医学でも「医食同源」といって食は医療と同等、非常に重要なことは周知の通り。最近読んだ本の中に、「イギリスのバド博士はその著書「二十世紀の疾病・低血糖症」の中で、白砂糖が人格破壊をもたらす最大の要因であると警告している。」とあり、「アメリカの少年院入所者八千人の食事から菓子や炭酸飲料を除き、新鮮な野菜・果物・全粒粉パンを与えたら、暴力や看守への反抗等がほぼ半減した。」等々述べられていた。(「マワリテメクル小宇宙」岡部賢二著より)
今は、自分で作らなくても「出来合い」が並ぶ時代。季節感もなく夏野菜が一年中売られている憂うべき状況。
私は7年ほど前から、月1回兵庫県の豊岡市という自然あふれる所へ往診に行かせて頂いている。診療所となっている御宅で、畑で作った無農薬のお野菜の数々を毎回沢山いただく。今では私の第二の故郷のような所。
そこで出される野菜達、大きさといい味といいツヤといい都会では見れない程、生命力に満ち溢れている。逞しい野菜たちこそエネルギーを産む元。
母が、田舎育ちなのが幸いして私は洋食より和食派。それもズイキや今では黒豆、自然薯、ムカゴなどをみるとワクワクしてしまう。
これらの野菜はいくら食しても胃もたれなどおこらないのだから、日本人の身体に調和しているのだと感じる。
この秋を根菜類を中心に、胃腸に優しく胃腸に喜んでもらえるような健食で実多き日々を過ごしたい。心身共に冬を悠々と乗り越えるためにも。
今日10月5日は、師匠、藤本蓮風先生の69歳お誕生日。
様々な人から先生の年齢を問われ、お答えすると(男性なのでお許しを)ほぼ全員が「まだお若いのですね!」と言われる。
実際、年齢の感覚は昔とは随分変わり、その上、師匠はいつも全てに「熱い!」ので周りには若い人たちが沢山集まってくる。若い人より若っ!と感じる場面は多々見られるほど。
臨床歴まもなく50年!昭和54年に鍼灸学術団体「北辰会」を設立され後進の道を現在も切り開き続けて下さっている先駆者の師匠。
二十冊になんなんとする著書も出版され、中でも今年8月に出版された『体表観察学ー日本鍼灸の叡智ー』は、特別な意味を持つ書籍と感じている。
叡智とは、深く物事の道理に通じる才知とある。
それは、長年の臨床経験に基づいた真実の結晶故に、永遠に光彩を放ち続けていく叡智と確信している。
著書の正に初め第1章の1に、「手当の論」とあった。
少し抜粋させて頂くと、「“触れる”事により、患者は安堵する。いわゆる手当ての論であり、スキンシップである。元来我々がもっている気一元の生命に対して直接触れるという事であり、いわば、気一元の個性化を協同的に還元する作業ともいえる。」とあった。(東洋思想を勉強してない人には少々難しいかも)
この壮大でダイナミックな生命観!生命の根底では全てが繋がっているという宇宙観があってこそ、体(生命)に触れる事の真の重要性に気付く。
この一言を思いながら、患者さんのお身体を診させて頂いている。
更に、「還元作業」の四文字には謙虚にならざるを得ない。
著書を開くと、九州大学医学研究院 麻酔・蘇生学ご専門の外 須美夫先生の推薦文と、中国の国医大師であられる広州中医薬大学終身教授の鄧鉄涛先生、南方医科大学中医薬学院教授の靳士英先生より直筆で頂かれた推薦文がこの本の重みに重厚感を添えている。
この『体表観察学』を1人でも多くの医療関係者に手にして頂きたいと切望する。そして、感謝と感動を持って縁(えにし)深き患者さんのお身体に触れさせて頂きたい。
師匠の益々のご健康とご活躍を祈りつつ。この日に感謝して。