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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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院長のブログ 実千代院長の最新ブログ

2012年12月5日(水)

Vol.113治りにくい風邪

最近、本当に沢山の患者さんが風邪を引いたんですと来られる。
以前、師匠から「風邪で来院してもらってこそ一人前だぞ」と言われた事があった。治せたら一人前と思い直しながらも、鍼灸で風邪が治る事を信じて来てくださり嬉しい限り。

一言で風邪と言っても、本当に色んな症状があるもの。最近多いのは、発熱、咳が止まらない人、喉が痛い人、突然声が出なくなる人、下痢や嘔吐の人。鼻水が止まらない人等々バリエーションは様々。色んな症状があるということは、ひとりひとりの体質や今の身体の状況が違うからで、当然治療方法も違ってくる。

ともかく来院される患者さんが口を揃えて言われることは、「先生、風邪ひいてるのに食欲全く落ちないんですよす~」と。専門的な話はさておいて、簡単に言えば風邪が入って食欲があるというのは、まだ風邪が浅い段階にあるということで治りやすいはず。なのに?

そこで、私がそのような患者さんの略全員に言う言葉は、「この風邪、今お肉や食べ過ぎしたら益々治りませんよ~」という事。
実際、患者さんでもある友人が、この風邪治らないのは栄養失調だから!(?)と言ってお肉のフルコースを食した。案の定、酷い咳が止まらず悪化し寝込む羽目に。

今私の所に来られている患者さんを診察すれば、その多くは身体の中に熱を溜め込んでいる人で、寒気は初めだけ、体熱いといわれ、喉を診ても真っ赤っか。
このような熱性に偏った風邪に、肉、油、チーズ、チョコ、お餅、ニンニクなどを頑張って食べていると、風邪は治りにくくなるのに・・・・これは常識と思っていたのはこちらだけだったようで。

最近読んだ、東洋医学のバイブル『黄帝内経』の「熱論篇」に、黄帝さんの中々熱病が治らないのは何故ですか?との質問に、岐伯さんが、熱が少し下がってきたときに、肉類などの消化の悪いものを食べれば余熱が残り再発します。だから多食と肉類は禁じるように、と言われている。何千年も前に。現代の食生活を黄帝と岐伯が知ればどう思うかと…
治りにくい原因は食以外にも勿論あるものの、熱性疾患の場合の多食と肉食は良くないことは明白。

現代は、運動不足、多食、ストレス過多の三拍子。どうしても身体が熱に偏りやすい。
そんな私、実はイタリアン、中華、メキシカン、イタリアンとハード外食4日連続となってしまい、現在扁桃腺が腫れて鼻水タラタラ…分かってないのは自分だったと猛省。

2012年12月3日(月)

Vol.112人間観察

今年流行った「メンタリズム」がちょっと目に留まった。きっかけは、メンタリストとして一躍、時の人となったDaiGoさんのボール当てやスプーン曲げのトリックの種明かしを見て。
彼は、人間観察の名人なんだと感心してしまった。人間はそう簡単に嘘はつけないものと、その人の癖や仕草など冷静に観察し嘘をもバッチリ見抜いてしまう。その方法が中々論理的で面白かった。

我々の仕事においても、患者さんが入って来られた時の様子、例えば表情、声の調子、服装、歩き方、女性ならお化粧の仕方なども自然と観察している。更にカルテに書かれた字体や筆圧までも。このように、問診に入る前段階でも、その方の表面から、その時の心の状態等を知る為にも、情報を得て診断に役立てている。

人を観察するというより、人を見てしまうというか…もっと正確に表現すれば、自然と人を感じてしまうのかもしれない。とカッコ良さげに言っても、患者さん側も、こちらをそれこそしっかり観察している事は間違いない。寧ろ患者さんの方が冷静で的確だったりする。

鍼灸の師匠からも常々、その人が入って来た瞬間から診察は始まっているんだ。また、時には人を遠くから見ると違う何かを発見できる等々人の見方なども教えていただく。師匠は鍼と人間観察の名人で、鍼をする前に相手の事をかなり理解されてしまう。何十万人と患者さんを診察されているとその中にある法則の様なものを感じられるのだろう。しかし、それ以上に、人間に対して優しい眼を持っておられるからこそ相手が見えるのだと思える。

メンタリストと言わないまでも、仕事において成功をしている方の多くは、この人間観察が非常に得意なのかもしれない。
人間観察より人間理解という方が適切かも。人間理解が優れている人はきっと相手の一言に、その人の奥にある思いの多くを感じていけるのだろう。相手を思うからこそ、その人をより感じて解決策(勿論、患者さんであれば鍼灸で)を真剣に考える。心と身体は繋がってるのだから尚の事。

しかし、DaiGoさんのような仕事になってしまうと、彼自身の心が疲れるのでは…人間を追求し過ぎたらどうなるの?心理学者とて余程自分を守るための何かが必要ではないかと思う。自分も人間だから。

人間をより理解する方がいい場合と、あまり分からないからいい場合とがあるような。自分にとっても人にとっても。
それを職業としている人は別としても、人間って沢山分からない所があるから神秘的で、新しい発見にまた人間の深さや尊さを感じれるのかもしれない。

2012年11月30日(金)

Vol.111動かない「気」

悲観主義の人は、できてない1に囚われる。楽観主義の人は、できた1に喜べる。あなたはどちらでしょう?
どちらが良いという問題では無いものの、心身の緊張度合いは歴然。
「喜び」の気持ちは気を巡らせ、「囚われ」の気持ちは気を滞らせてしまう。日々の心の有り様が、いかに気の流れに影響して心身のバランスを崩してしまうかを目の当たりにしている。

悲観主義の人は、どちらかと言うと完璧主義の人が多いように感じる。
自分に厳しすぎるのかもしれない。
頑張っても頑張っても「自分はまだ努力が足りない」と自分に満足できず自分を責めていく。
努力もしてドンドン向上しているのに、自分の考えている目標達成まで気が置けない。気もたまには、休ませてあげて欲しいほど。

先日、ある患者さんの「気」が中々動かないので、少し質問してみた。
「いつも何か考えてるでしょう?」と。「はい。いつも常に考えてます」
やっぱり。何かに囚われている為、気の動きが悪いはず。
「どうしてそんなに自分を休めてあげないの?」と問うと、自営の両親の元で育った彼女は、「働き者の両親なので、休むとサボってると思ってしまうんです」と言われる。今でも、ゴロンとしてると親から「何サボってるの?」と言われるらしい。
なるほど、腑に落ちた。いわゆる休んだらダメとの強迫観念が彼女の気を滞らせている原因だった。これは本当によくある事。

長年の心の囚われ。「のんびりした男性とお付き合いした方がいいかもよ」と冗談で言ってみた。「え?多分、その人に何サボってるの!!って攻めてしまいます(笑)」と。働き者のご両親を心から尊敬されているのだと感じた。
確かによく働く人を尊敬するのは当然・・・でもこの「当然」と言われているものに落とし穴もある。高じれば、色んな角度から見れなくなるという落とし穴。心柔軟にしてこそ許せることも多いのでは・・・

何処かで気を置いて、気を抜いていけば、鍼が驚くほど効くのにと思いつつも、彼女にはゆっくり焦らず気を巡らせていってあげたい。
必ず鍼で気は動くから。鍼灸は気を動かす名人なのだから。大丈夫。

2012年11月28日(水)

Vol.110歩く=精神の安定=無病

日頃から患者さんに、歩きましょうねと、「ゆっくり散歩」を勧めている関係上、仕事が終わってからの遅い時間でも歩く習慣が身についてしまった。自分がしてない事は言えませんし。

元々歩くだけでは面白く無いと思っていただけに、こんなに続いている自分に驚いている。長く自転車にも乗らないので私の自転車、今自然パンクしているほど。

歩く事は師匠がほぼ全員の患者さんに勧められている健康法で、ゆっくり歩く事で気の流れが良くなり、下半身も鍛えられるというもの。

以前見たドキュメンタリー番組で、ニューヨークのある大学で「歩く」をテーマに実験をしていた。
結論は、歩くと様々な悲観的な感情や雑念が除去され、いいアイディアが浮かぶというものだった。

ある医者も、「歩くことで全身の筋肉の7割を使い、心肺機能を強化し、血圧を安定させ、脳を活性化させます。」と言われている。

「憲政の神様」と謳われた尾崎行雄氏も「人生はよく歩いたものの勝ちだ」と言われよく歩かれていたとのこと。幼少から病弱だった彼が95歳まで衆議院議員を務め日本記録を打ち立てたのも歩く健康法が習慣になっていたからかもしれない。

今患者さんの中に、頭だけで考えて心がついていけてない方が結構おられる。寒くなってきて身体に熱が篭るせいかイライラしたり、ざわざわしたりと、精神のバランスを崩しておられる方が目立っている。精神のバランスが崩れると体調に不調が現れる。歩く事を本当に実行して欲しいもの。

実は私も何かと忙しく、ここ10日間ほど全く歩いていなかった。珍しいこと。すると、右の肩甲骨辺りがズキズキと痛んできた。スタッフに触れてもらうとすごい熱感らしかった。

早速、冷たい風の中、1時間程夜道を歩いてきた。右の肩甲骨の痛みはすっかり消えていた。こうして寒い中歩くと風邪も殆ど引かなくなる。鍼の効果も数倍になる。
何よりこんなに気持ちのいい爽快な気分を味わって欲しいもの。

2012年11月26日(月)

Vol.109いぶし銀のお店

昨日、お肉食べたい!との友人の誘いに、ステーキハウスに連行された(笑)。実はここ、ずっと前から気になっていたものの扉が硬く入りづらい感じのお店だった。入ってみるとお客さんは誰も居ない…ゴールデンタイムに何故?中は重厚感溢れる中にもスッキリした雰囲気のお店だった。

真っ先に目に入ったのは、素晴らしく綺麗な鉄板。
マスターに、ここは何年になるのですか?とお聞きすると、もう40年になりますと。え?40年でこの綺麗な鉄板?と驚いた。「鉄板綺麗ですね」とお伝えした。
そして、もう一つ綺麗なのはマスターのお顔。
まさにできる料理人の風貌だった。70は過ぎておられるとの事。綺麗な鉄板とお顔。興味が湧いてきた。

で、メニューはコースひとつだけ。これのみ?軽い気持ちで入っただけにちょっと驚いた。それを察知してか、何かしら緊張感が漂っている。奥様らしき方も笑いが全く無い。つまり愛想無し。私のジーパン姿がいけなかったのか。それにしてもこの緊張感…面白い!と心の中で更に興味が湧いてきた。

苦手な生肉からコースはスタート。美味しい!キャベツ、大根、ナスなどの焼き野菜も野菜の味が何とも感動的。赤ワインのグラスに口を付けると、思わず「このワインオイシイ~」と言う私に初めて笑顔になった奥様が、オーストラリアのです。と応えてくださった。
ここから私達がどれ程意気投合したか、話は広がって多岐に渡った。はじめのギャップが大き過ぎて笑えた。

マスターが、今作っているガーリックライス皆さんから好評なんですよと出してくださった。確かに塩味も薄くて最高だった。こうなったら私の興味は尽きなくなる。
「毎回こんなに美味しく作れるのは何故ですか?」と問うてみた。皆さん、そのお鍋がいいの?とか火加減がいいねとか言われるんですが・・・と奥様。
マスターは「ずっと、どうすれば美味しくなるか考えて炒めてます」と言われた。40年間ずっと、こうして同じものを毎日何万回真心で作っておられる。心に滲みた。

ひとつひとつの拘りが最高!大満足でお店を出た。
友人が、拘ってる店だから私達がどの様なお客さんか見られていたのでは?という。ともかくプロを感じた。
私とて、院には拘りがある。それは、まだまだ未熟ではあるものの、これが私の治療ですという信念を持ってる故決して曲げられない。

ここのお店は、マスターが新鮮な心で最高を常に目指しておられるのを感じた。保守や停滞が無い。魅力的ないぶし銀のお店と感じた。「いぶし銀」とは一見すると華やかさに欠けて見えるが、実際はとても実力や味わい(魅力)がある人の比喩らしい。大切な人を是非連れて行きたいと思えるお店がこんな近くにあって嬉しくなった。

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