気が動きにくい方。。。当然、おられます。病が頑固か、気の停滞を起こす要因があるか、養生を守っていないか、術者任せか、せっかちか、こちらの技術が乏しいか、間違っているか…また、大きく変化するには、それなりの時間を要する為か…まだまだ有りますが。。。
その理由を考えます。理由無くして、気が動かない事はあり得ないのです。
明確な理由が分からない場合、一番大事な事は、体表観察です。
ツボの状態には、ウソがありません。いくら、患者さんが迷っても、こちらが悩んでも、心動かさず、素直に体表を観察してツボや脈に尋ねてみること。これが師匠の教えです。
その上で、虚(何らかの弱り)が中心であれば、ある程度補われる迄、症状緩和は遅く、
実(何らかの過剰の邪)が中心ならば、気の動きは速く、症状緩和も速いのです。
さて、ある疾患、脾腎の虚が今は中心、ここをしっかり補いながら、疾患のストレスと性格を鑑み、ほんの少し実を叩く…そんな治療に切り替えます。
全ての臨床は、決めてこそ、結果は現前と出ると信じます。たとえ、気が動かない理由が複雑であったとしても、優柔不断では何事も進みません。
この真剣勝負こそ、日々、勉強になるのです。こうして、私、段々、男らしくなっています…
先日、昔々お世話になった方からお手紙が届きました。お手紙を頂戴したのは初めてです。
この方は、私の後輩のお父さんで、人柄の良さ、慕われ度合いは半端ない人格者です。
受け取った、そのお手紙の字体…いつもと違います。
早速、全ての予定を変更し、お会いしに飛んで行きました。10年以上ぶりでしょうか。
大病をされ、死の淵から生還されたばかりでした。それも、今回だけでなく、何度も死を乗り越えておられました。
なのに、話される勢いのある声、記憶力、お顔の色つや…驚きました。何時間話されたでしょう。それはそれは楽しそうに。
人生途上、何が起こるか分かりません。だから、鍛えられもし、楽しくもあるのですが、
何があっても、一貫してる人は、最終的には、本当に天が祝福し守るんだと、改めて目の覚める思いがしました。
私の心に、何か大切なものを教えて下さるために届いたようなお手紙…
この出会い、不思議な再会、どう感謝していいか分かりません。どうかどうかお元気で。
先日も、ある患者さんの「迷い」をお聞きしました。かなり深刻な内容です。
色んな方の意見を聞くほどに、余計に迷ってしまうパターンでした。
私も、色々迷ったりしますが…と言うと、え?先生も迷うんですか?と驚きの声。。。
そんなに決断力があるように見えるのでしょうか。それは、錯覚です。
迷いますよ。でも、ある程度迷って、結論が出ない場合は、ほっておきます。すると、突然、決断する時がやってくるんです。とお答えしました。
迷っているうちは、無理に決めようとしない事も大切です。
数日前、本当に、突然、決断した事がありました。仕事の件ですが。
この決断してからの速さ、我ながら驚きます。それも、今まで考えていた事の執着も無く、具体的な構想も無く、決断だけが走って行きます。
慎重な方からすれば、危なっかしいと思われるでしょうが、ピタッとハマるか、ハマらないかが、私にとっては重要なのです。ハマった…時です。
小さな事も、大きな事も、失敗も、成功も、自分が決めた事の連続が今の自分です。
限りなく楽観的に進みましょう。
二年ぶりに来院された患者さん…妊娠八ヶ月でした。
二子目のお子さんですが、成長しておらず、数日後の検査でも同じなら入院…ということでした。
赤ちゃん動いてる?と聞くと、それが、動いてないんです。少しトンってするくらいで…と言われます。
脈、舌、ツボ、色々体表観察して、お腹を触りながら、「お利口さんだね~大きくなるんだよ」と声をかけました。
しばらく手を当ててると、あれ、動いてます。「この子、動いてるよ」「本当、このグニュグニュした動き、一回も無かったのに。。」と驚かれてます。
それにしても、手を当てただけで…こんなに反応してくれる赤ちゃん。
その後、金の古代鍼を数秒かざして、そのまま休んでもらいました。その間、ずっと動いていたらしく、その上、八ヶ月にしては確かに小さく、ダランとしていたお腹も、締まった感じになりました。
赤ちゃんは、ちゃんとこっちの話、全部聞いてるから、「お利口だね~」って毎日、撫でてあげてねと、お伝えしました。心配ばかりされて余裕が無かったのでしょう。
もう少し早く来て欲しかったですが、入院しても、きっと元気に産まれてくると、信じます。
この子、生命力がとっても強いですから、大丈夫ですよ。
よく師匠が、私達に、「何故、鍼がこんなに効くか分かるか。
鍼も確かにすごい、でも、術者にパワーが漲っていてこそなんだ」と言われます。
今年の夏は、酷暑に湿気が加算され、今、体グタグタの人、多いでしょう。
特に、この夏で、胃腸を弱らせてしまった人は、みなぎる生命力どころではありません。
そんな方は、目に力が無いから直ぐ分かります。
目を見れば、弱り具合の予測がつきますし、ツボにもハッキリ出ます。よって治療戦略も変えていきます。
こんな方は、食べたら眠くなる、夜遅くまで起きれない、気力が突然無くなる、横になりたくなる、手足が怠くなる等々、訴えられます。
これを東洋医学では、気虚と表現します。気が虚す…みなぎる生命力の真反対です。
私は、有難い事に、この気虚が殆どありません。師匠の鍼と、その漲る生命力のお陰です。
俺はね、皆から嫌がられるほど元気なんだと、私の肩をバシバシ叩かれながら、大笑される師匠の声、聞こえてきました。