奈良の師匠の元に研修に行かせて頂き、今月で丁度10年になりました。
無我夢中で鍼を求めた、あっという間の10年でした。
どれほど、鍼の素晴らしさを教えて頂いたことでしょうか。
師匠は人間をありのまま感じる事の出来る、本当に卓越した臨床家です。
不可能を可能にするんだと、患者さんを救うため、今も変わらず鍼を追求し続けておられます。
この師匠の鍼を現実にみて、受けて、師匠の鍼を愛する情熱を浴びる事が、どれ程大切な事か計り知れません。
今日も研修で、大切な事をたくさん教えていただきました。少しづつ、その意味の大きさを感じることが、出来るようになってきました。
でも、まだたった10年です。いよいよ、これからが本番と思っています。
先日、4才の頃から鍼をしている男の子が、高校に進学するに当たって、「先生、将来鍼灸師になりたいです」と太い声で言ってくれました。
三世代ご家族で鍼を受けて下さっています。
毎日、こうして鍼の素晴らしさを実感してくださる人を作る喜びは、本当に、たまらなく嬉しいものです。
只々、師匠に感謝致します。
声にはホントに不思議な力があります。同じ言葉を発しても、発する人によって響き方が全く違うのですから。
響き方というのは、いい意味で、こちらの心の深い所まで染み込むという事です。
「言(ことば)と云うは心の思いを響かせて声を顕すを云うなり」という名言があります。
言葉の内容そのものも勿論大切ですが、その言葉を発する心の深さが、何より声の響きとなって届きます。
実は鍼も同じです。声も鍼も、人の心身に真正直に響き、働きかけます。
今日、意識無く、殆ど植物状態になっている方のお見舞いに行ってきました。
顔を近づけて、「来ましたよ。頑張って居られますね。」と、声をかけると、明らかに反応がありました。「私の声聞こえてますね」と更に声をかけると、また、反応が。。。
これが不思議と、入院前の対話と全く同じ感覚なのです。話し過ぎて少しお疲れの様子…眠い時の感じも同じ。多分、違和感無く普段通りに話しかけたから?かも知れません。
人の不可思議で深遠な生命を、愛し、信じる自分の心を磨いていくことの大切さ…痛感する毎日です。
「毎朝、手が強張って痛みがあったのに、鍼をしてもらった次の日は痛くない!」とは、久々に治療に来た私の友の言葉です。
友は真正直ですので、どんな事もストレートに表現してきます。
そんな友の鍼の効果は頗る嬉しいものです。
毎日の手のこわばり…小さな事の様ですが、ほっておくと大変です。大きな病の引き金にもなります。
来院される多くの難病患者さんの極初期症状に、手のこわばり、頻繁なこむら返り、バネ指などに加え、便秘や下痢の繰り返し、頻繁に出来る口内炎などが重なるパターンがよく見られます。
また、今は難病でなくても、特に脾胃や腎に関係するツボの状態が極端に弱っていれば、将来、大きな病に罹患する可能性が大です。
身体の内の状態は、必ず外に見える形となって現れます。
この東洋医学の「以表知裏(表をもって裏を知る)」という考え方に元ずいて、
鍼治療で、かなり沢山の難病を阻止してるという自負を持っています。
実は、ここに鍼の真の素晴らしさが有ると感じます。
「誠実、実直の人」と言えばここで働いて下さっている松本先生を1番にあげたいです。
彼は、来月3月末に退職され、次は新しい所で院長としての任をまかされる事になっています。いよいよ本領発揮ですね。こんな嬉しい事はありません。
思えば、3年間、驚く事に彼は一度も「え?」、とか「出来ません」とか言ったことが無く、とにかく分からない事は自分で調べて努力する人です。これはあたり前と言えばそうかも知れませんが、私はいつもその誠実さには感心していました。
本音を言えば、少しくらい反抗してくれても面白いのになと、思うほどの実直さです。
彼を3年間見てきて、手の感覚の良さや東洋医学を面白いと思える感性がとっても優れてると感じます。これからが本当に楽しみです。東洋医学が好き、鍼灸が好きであってこそ伸びゆく第1条件ですからね~
次は、阪神沿線の武庫川駅の近くで先生として出発されますので、阪神沿線の方は是非、行ってみてください。鍼を持った時の別の顔がみられますよ。
3年間本当に有難うございました!ご苦労様でした。感謝しかありません。
鍼は重症である程、その効力を発揮します。と言ってどれだけの方が信じるでしょうか。
生体が大きくバランスを崩して、立ち直る自力がない時、そのバランスの崩れを鍼で助けてあげると、生体が喜んで、自力を出してくれます。
患者さんのツボを手で触れて、そのバランス状態を確認していきます。
長く患ったもの、弱りの程度が酷いものは、当然、それなりの時間はかかりますが、健気に立ち直ってきます。
先日も、働き詰めで、心身共に疲労された男性患者さんが、今迄、眠剤を2錠服用しても、入眠まで2時間以上かかっていたのが、1錠で1時間で眠れるようになったと言われてました。ご本人にとっては、大変な喜びようでした。
それに伴って、ひどく傷ついていたツボが確実に復活してきました。
たとえ不治の病と言われた疾患でも、必ず、長く生を受けられ、治癒も不可能ではありません。
患者さんのツボを通して、ひとつひとつの細胞が、生きよう、復活しようとしてる事実を、日々、目の当たりにします。
「人間は完成品なんだ」との師匠の言葉、益々輝いて迫ってくるようです。