赤ちゃんの顔は、何時間見てても飽きないように、亡くなった人の顔もその様な感覚になる事があります。
共通点は、邪気が微塵も無い、まさしく「無邪気」だからでしょうか。不思議です。
先日、友人でもあり、患者さんでもある方の、お母様が亡くなられ、ご尊顔を拝見しに行きました。
白布をとってお顔を見た瞬間、涙が溢れました。悲しみの涙というより、感動といった方がいいかも。
私達は、ある面、人の「気」を感じ、その気を動かす仕事です。特に「邪気」の有無は重要です。
邪気が全く無いと言うのは、赤ちゃんと、天命を全うして悔い無く亡くなった方、だけなのかも知れませんね。
私もずっと見ていたいって言われるような顔でこの世を去りたいものですが、さて、どうなるか。。。まだまだ死ねませんね。
食道癌から肺がん転移の男性患者さん。化学療法はこれ以上出来ないと、自宅にて経過観察とのこと。よくある酷い話です。
退院後、弱りきって車椅子で来院されました。
両足が象の足ほどむくみ、歩行困難でしたが、
治療する度にむくみが減少し、真っ白だった顔色に赤味がさしてきました。
沈んでいた肺経のツボも反応し、咳も和らぎ眠れるように。
師匠の教え、多面的観察が本当に役立っています。
いくら化学療法で痛めつけられていても、ガンが広がっていても、身体は蘇生しようと必死です。
その蘇生力は、驚くほどです。鍼をどうやって無下にするのですか。尊敬すべき鍼です。
父の、手術も放射線も抗がん剤も、何もしないでね、との要望に応えて、
兄とほぼ毎日、鍼灸治療をして身体を整えています。
両手に鍼灸師…父は、「気持ちいいなぁ、こんな優しい治療有難い」と本当に幸せな顔です。
ガン患者さんの中には、ガンをトコトン叩く治療を望まない。と言われる方、これからも増えていくでしょう。
環境、年齢など、様々な要素が絡んでいますが、選択肢の中に、三大療法無し。これも普通になっていくのも有りですね。
ますます、多様化、変化の激しい時代。様々な選択肢と、万全な体制が望まれます。
毎日の診療は、「(調子は)どうですか?」から始まります。
患者さんから、「グタグタです。」「いい感じです。」「先生~最悪~」などなど、表情と共に様々な表現。患者さんを感じる事、日々楽しみです。
この何気ない会話から、気の交流が生まれます。
どうですか?と、相手の状態を伺う、心配する、心からの一言、大切です。
大変な時の、この声かけ、医療に関わらず、心に染み入ります。
心こそ通じる、心こそ大切…反対に、心の無い医療は、何をやっても無意味ですね。
最近、また癌の患者さんが増えてきました。偶然とは思えない皆さん。
私も、母を癌で亡くし、今父も闘病中です。ガンとは真正面から向き合うべき…という事。
先日来られた方は、余程の信念を持っておられるのでしょう。
一切の化学療法はしたくないと、服薬もされてません。
父も同じ。来週から在宅です。
年齢的にも、体力的にも、自分の身体の状態は、その人にしか分かりません。
こちらは、最善を尽くすのみです。
患者さんの心の声を、しっかり聞いて受けとめてあげる事…医療の原点ですね。