今、空が優しい
今年の秋冬は、眩暈(めまい)で来院される患者さん本当に多いです。
ふわふわした船酔い状態や、激しい回転性のものまで様々ですが、酷いと嘔吐を伴います。
色んな原因が考えられますが、患者さんの体表を観察させて頂くと、殆んどの方が「脾の臓」のツボが弱っています。
ひとつは、今年の夏の湿気が「脾の臓」(この臓は湿気に弱い)を傷め、そこへ人それぞれ、頭に血の昇る事が続いたせいでしょう。
脾の臓と肝の臓(ストレスが継続すると流れが滞ります)が、お互いに協力しあってバランスを保ってるだけに、
脾の臓が弱ると、肝の昂りを抑える事が困難になり、上部に様々症状が現れやすくなります。
この眩暈の多くは、この弱りが関係しています。鍼で瀉法を意識しすぎて良くならないのはこのためです。補う事で改善してます。
京都 哲学の道
患者さんから、「鍼で興奮を抑える事出来ますか?」と質問があり、
聞くと、「躁鬱病の父が暴言を吐いて大変、2週間後の結婚式に間に合わせて欲しい」との事。
はい、悪いのは暴言を吐く父…ね。
ご家族全員、治療経験ありですので、大丈夫ですよ~と引き受けました。
お父さんは5年ぶり。問診は私がしました。確かに興奮して、言いたい放題ですが、何とも正直なお父さん。
鍼を一本。
3診目で、「ココロと体は繋がってるんですね…鍼されると、何も考えられなくなります」と、仏さんみたいなお顔です。
結婚式は、無事に平和に終わりました。
今年の紅葉は最高です!
最近、緑内障の予防の為にと、レーザー治療をされた方が来院されました。
緑内障の予防レーザー…そんな治療あるんですね。チョット怖いなぁ。
その直後に、酷く体調を崩されてますが、医者は因果関係は無いと。。
医者から、失明すると言われた事がかなりのショックだったようです。ここに因果あり?
お医者さんとの信頼関係も無い状態で決裂。
悲しい事です。
地域医療の先駆者、早川一光先生の言葉に、
「医療というものを通じて人間と人間との心のつながりができあがっていくことが、本来の医療の目的ではないでしょうか」とありましたが、
西洋東洋問わず、医療人の基本にしていくべきと感じます。
患者さんのベランダから
今迄、癌末期患者さんの治療に携わったり、接してきましたが、
初診時に、「私、あと3ヶ月の命なんです!」と元気な声で溌剌と言われた方は初めてです。
医者の宣告から、今、倍の6ヶ月が過ぎました。癌は、子宮癌、悪性肉腫、肺癌との事。
ホスピスから自宅に戻り、往診に行かせて頂いてます。
腹水は酷い状態ですが、痛みは無く、相変わらず声は元気、酸素吸入機も必要無くなり、自分の事は自分でされてます。
それにしても、彼女の持っている生命力…恐るべしです。鍼の効果もその生命力のせいでしょう。
いつ死んでもいいように洋服着て寝るのよ~と、楽しそうに笑われます。
患者さんから、死に方、生き様、さまざま教えられています。
豊岡への往診も間もなく10年目を迎えます。
毎月一回ですが、診療所としてお借りしているNさんには感謝してもしきれません。
豊岡は、盆地で、夏は暑く冬は寒いという土地。ですから、いわゆるリュウマチ症状の人が多いです。
先週、片手が赤く腫れ上がり、激痛で動かせない患者さんが、来院されました。
何と言ってもたった月一回の治療です。
さて、どうしよう。
皮内鍼を2箇所に使ってみました。皮内鍼は、文字通り、皮膚の表面に1ミリ程の鍼を刺したまま置いておくものです。
勿論、腫れている場所には使いません。炎症箇所を触ると悪化します。
次の日、「今日は昨日の痛みと腫れがうそのように引き 食事のしたくも出来ました!」と連絡がありました。
先代が昔よく使っていましたが、今日は祥月命日。懐かしいですね。