春のような紅葉
舌診は、鍼灸治療の陰陽診断にかなり有効で、舌は唯一見える内臓の一部とも言われています。
ある男性患者さん、先月辺りから舌に真っ黒な苔が生えてきました。
黒苔と言えば、熱の極みか、寒の極みと言われてますが、陽体質の癌の末期の方には、殆どこの黒い苔が見られます。熱の極みです。
医療関係の方ですが、自分の舌は見たことがないと…多分、この黒い苔は、出たり消えたりしてたのでは無いでしょうか。癌ではありません。
ここ数ヶ月、かなりお仕事で御心労が重なり、熱を冷ます陰分が不足してきたのでしょう。陰が不足すれば熱化する一方です。
元々、白厚膩苔(白い苔が厚くベッタリ付いている状態)の方です。
「苔の白厚膩苔に黄黒苔があるのは、湿が熱をおさえてる処に急性熱が加わり黄黒粘苔となる。」師匠の名著『舌診アトラス』にある通りです。
連続した強烈なストレスが、ある時点から急性熱を生んだのでしょう。
陰分を照海穴で補うこと数回。徐々に黒い苔は消えてきました。先日は、百会穴で熱をとる様に治療しました。
様々な方法がありますが、1番オーソドックスな治療で調えました。
何かあれば、直ぐ飛んできて下さる患者さんがどんどん増えてきました。
かかりつけ医としての鍼灸治療院…一番嬉しいです。
特に、最近、この気温変化について行けず、体調を崩される方が多く忙しいです。
先日も患者さんが、顔が歪む程、右の頬を腫らして来院されました。
発熱、頬の痛みと腫れ…油断出来ないです。
体表観察してみて、これは鍼で治せると思い、朝と晩の2回治療に来て頂きました。
陽明経の邪熱を足の上巨虚でさばき、照海穴で陰分を補う様に置鍼しました。
一診目で痛みが取れ、腫れも引いてきました。鍼は本当に効果があります。
こんな鍼にいつも感謝してます。
そして、酷い症状にも関わらず、信じて来て下さる患者さんには、もっと感謝します。
毎週火曜日、師匠の元に勉強に行かせて頂いています。もう何年経つでしょう。
本当に貴重な時間です。益々。
昨日も。短いお講義でしたが、師匠の発する気に触れ感動しました。
鍼一本で、なぜ難病が治るのか。実際の症例を引いての深い深いお話しでした。
「単に肉体を治す鍼では、難病は治せない。」
「魂を呼び覚ます鍼。」
生命の本来の有り様を体得された、師匠の歓喜…伝わってきました。文字では表現出来ない。
限りなく純粋な世界。
思い出しただけで胸が熱くなります。
何十年かかっても目指したいです。
西宮の紅葉はまだ綺麗です
鍼灸師にとって掌(たなごころ)は命です。
柔らかい手で、力み無く、素直な心で、ツボに触れる訓練が必要です。
私も、初めは、熱い湯呑み茶碗をひょいと持ち上げて、師匠から「熱いコップを平気で持てるような手ではイカン!」と怒られた事があります。
いつの間にか、指先も掌も敏感になりました。患者さんの身体に日々、触れさせて頂いてるお陰です。
検査機は無機質です。手で傷んでる所を、傷んでるツボに触れてあげる事の大切さを益々感じます。
臨床に入ると、冷たかった手が温かくなります。これも、訓練の賜物でしょう。
心にまで染み通っていく掌をこれからも作っていきたいです。
平和ですね。
2歳の男の子が便秘です。
4日~6日に一回の排便らしく、レントゲンでは、便がたくさん貯留してるため、浣腸するも出ない…
内服の便秘薬を使うと、泥状便が翌日に出てそれっきり…との事で来院されました。
大阪で小児鍼を2ヶ月受けられたようですが、効果が無かったようです。何故だろう?
可愛いお顔を覗くと、眉間辺りが気になります。ちょっと神経質ですね。
このお顔がスッキリしたら治ります。
刺さない小児鍼を使って、2回目で「キバってくれる回数増えました~」とお母さん。
4回目から、「たくさん出るようになりました!」と大喜びです。
お母さんには、排便日記を付けるのやめましょうとアドバイスしました。
お母さんの神経質は、子どもに映ります。
お子さんの顔に眉間のシワは無くなりました。