患者さんの春度合い(笑)を診るのが楽しいです。
春度合いとは、春になると、脈はいつもより硬く強い脈(弦)になり、
肝に関する太衝や肝俞等のツボが、張って熱を持ち(実熱)、
腹部の脇辺りが詰まり(肝之相火)、
顔の鼻の中央部が白く抜けてきます。酷ければ顔面全体、真っ白青です。
春は草木が一気に成長する時ですので、五臓でいえば、肝の気が上へと上る時。
何か異常にイライラしたり、興奮します。
結果、過食になります(^^;;
その度合いは人それぞれ。
春度合いに従って、鍼の時間や場所、色々とバリエーションを変えていきます。
春度合いを緩めるには、心も体も縛り付けないで、発散しつつ、ゆったりですよ~
「腎の精が心(しん)に入って赤く変化し、血になる」と古典にあります。
年齢を重ねると、必然的にこの腎精が不足していきますので、血も不足していきます。
血が精を養えず、精もまた血を化生出来ないという悪循環になる事を、東洋医学では、「精不化血」と言います。
精と血は、相互に補いあってるという事ですね。
この精血の大元となるのは、脾胃(胃腸)です。なので、胃腸が弱い人は、益々精血不足となります。
精と血の不足は、様々な症状を生みます。
特に、今、問題となってる認知症、精血不足が、大いに関わってます。
よって、認知症の予防のひとつは、大元の脾胃(胃腸)を傷めない事。
悩み過ぎず、食べ過ぎず(特に甘い物)、寝不足せず、が大切ですね。
100歳になった患者さんに、「元気の秘訣は何ですか?」と伺うと、「クヨクヨしない事!」と即答されました。
その方、今、105歳です!
今日は「聞診」の中の「音」について。
特に、患者さんの「声」、診察上大切にしてます。
東洋医学は、バランス第一。声からもその方のバランスを診ます。
話の内容より、音声という事で。
尖ったもの、力無きもの、性急なもの、平坦なもの、震えてるもの、粘ってるもの。。虚実の参考にもなります。
私もそれに合わせて、無意識にバランスをとってます。丁度落ち着く音階に??
ともかく、声は内面の現れ、心の声が、体を通って、音となって外界に波動します。
患者さんの心の声、言葉にならない声を感じつつ、
自分の声も客観的に見つめつつ、
日々、心を磨いていきたいですね。
立春は、二十四節気の第一番目。一年の始まりでもあります。
二十四節気は、地球を中心にした太陽の通り道の360度(1年)を24等分して、約15日ごとに分けたものです。
その15日を、さらに約5日づつに3等分し、1年間を72等分にしたのが、七十二侯です。
もともとは、農作物の目安として、中国で用いられたんですね。何千年も前に…智恵です。
今日は、二十四節気では「立春」、七十二侯では、2月4日から8日ごろは、第一侯「東風解凍(こちこおりをとく)」と言って、
東からの温かい風が吹いて、冬の間に張った氷を少しづつ融かしていく時期です。
其々に、その季節らしい名前を付けたんですね。素敵。
身も心も、新鮮な気分になり、何かに挑戦したくなる時ですが、
足が冷えてる所に、春の陽気で頭に血が上り、何かイライラ、其れに伴っての過食、頭の辺りがボ~っとする、目が廻る等…春の症状も満開に。
東洋医学って、何て自然と一体なのでしょう。誰もが納得できますね。ホント素敵。
東洋医学の診察、「望聞問切」の中の「聞診」は、音と共に、「臭い」も含まれてます。
この臭い、かなり治療の参考になります。
東洋医学では、肝は臊(油臭い)、心は焦、脾は香、肺は腥(なまぐさい)、腎は腐。と言われてますが、
ザックリ言えば、臭いがキツイのは、熱(湿熱)傾向という事はいえます。
師匠もよく、腎不全や糖尿病の患者さんの臭い分かるか!と問われますが、
確かに、患者さんからも様々な臭いがしてます。(私の鼻は犬鼻です(笑))
先日来られた患者さんも、口臭がキツかったですが、治療を終えると、臭いが消えてます。
普通は、湿熱は尿や便、汗等をしっかり排泄する事で消失しますが、
案外、緊張から熱がこもり、体液の湿が蒸され、臭いとなっていたのを、
鍼で緊張を緩め、気が巡った事で、臭いが消えたのでしょう。
犬鼻は聞診力、活用していきます。