「日々の心いろいろ」より
先日の日曜日は北辰会の夏季研修会でした。準備されてきた先生方に心から敬意を払います。本当に有難う御座いました。
毎年、参加してますが、今年は恐れながら上級コースで勉強させて頂きました。
同じ会派の仲間との勉強会は、自分の未熟さを知り、新たな気付きがあり、触発を受け、次のステップに向上する為のジャンプ台になります。
この世界もこれで良しなんて事は一生ありません。死ぬまで勉強してより向上したいです。
ひとえに患者さんの為、そして、鍼の素晴らしさを証明する為です。
研修会では師匠の息子さんの新風先生が講師でした。初めて間近で鍼の技を見たような…
初めて体表を触って頂いたような…それ程新鮮でした。実際に被験者になる事が最高の生きた勉強になります。
触り方、押圧の加減、診ている場所、治療ポイント等々、治療のバリエーションが大きく広がりました。
また、新風先生の気の動かし方には正直驚かされました。本当に素晴らしかったです。
こちらの心が動くとそれを使える患者さんか来られます。不思議ですが自然な事です。
厳しくも楽しい世界に合掌します。
「日々の心いろいろ」より(夕霧)
ALS(筋萎縮性側索硬化症)で寝たきり(植物状態)になった患者さんの往診にコツコツ行かせて頂いてます。
初めは、こちらの言葉が届いているのか家族も分からない程でしたが、今では、戦争時の手紙の朗読等をラジオで聞くと、涙を流されたり、
私の言葉に反応し、お口が動いたり、はっきりしてきました。
この患者さんは、お元気な時は、殆ど睡眠をとっていなかったと奥様が言われる程で、
寝つきは悪く、寝たと思ったら目が覚め、目が覚めたら本を読み、休日も家でゴロゴロしているのを見た事が無かったそうです。
生き物は皆、睡眠をとります。何故かと言えば、寝ている間に活動時の疲れを取って、次の日に備える為では無いでしょうか。
東洋医学的に言えば、夜という陰の時間に寝る事で身体に陰を蓄えて、お昼の陽気(興奮)を冷ます為にも大切です。
その睡眠に支障が出ると、陰が減少し、陽に傾きます。陽は活動的ですので元気に感じますが、陰が充実しててこそ、陽は伸びやかに発揮されます。
この患者さんも、長く陰不足になったために、陽過多になり、陰陽のバランスを大きく崩されました。
そのうち、陰が枯渇し陽だけが暴走してしまいます。難病の始まりです。
寝る事が如何に大切か、心して見直すべきです。
「日々の心いろいろ」より
東洋医学は何と言ってもバランスの良さを重視します。
それは、そもそも人というのは元々完成されていると考えるからです。大宇宙に対して人は小宇宙です。
宇宙の運行は、誰の操作にもよらず為され、調和そのものです。
この調和、バランスが乱れている事にいつまでも気付かずにいれば、全体のバランスが乱れ病となります。
何か身体にサインが出れば、あ、バランスが何処か乱れてるんだと思う事です。
勿論、東洋医学では、身体の全体のバランスを診ますが、バランスは全てに通じます。
食事、性格、生活、服装、娯楽…何事も中道を行くというのは簡単な様で本当に難しいものですが、
身体や心に出た何らかのサインを見逃さずに見直す事は、事前に病を防ぐ事になります。
自分のバランスの乱れを知り、バランスを調えて生きましょう。
豚シャブサラダ
日本を代表する料理人が、和食についてこんなコメントをされてました。
「その季節の食材を素直に使う事。和食には名前が無い。ナスのお浸し等、調理方法に名前をつけるだけ。
簡単で美味しい家庭料理がいい。食材が美味しいから如何に不味くしないかですね。」
素朴ですがとても納得。本当に良い言葉です。
私は上手下手は別にして作る事も食べる事も大好きです。
写真の豚シャブサラダ。豚を70度のお湯で茹でると固くならず柔らかいんです。(水で冷まさないでね)
こんな風に、チョットしたコツを知る事に興味津々で料理番組はよく見てメモします。
このチョットしたコツを知ってるのと知らないのとでは料理の味にかなりの差が出ます。
鍼もチョット似た所がありますね。
写真の豚シャブは私作。玉ねぎ、レタス、ワカメ、絹ごし豆腐、そして70度で茹でた豚を玉ねぎドレッシングで和えたものです。ビタミン豊富、この季節にとってもいい健康食です。
そして、隣のグリーンのは吉田先生が作られた、先日頂いた大量のシソで作ったジェノベーゼです。最高に美味しい!流石です。
料理は心とセンスと不断の研究。鍼と同じです。
「日々の心いろいろ」より
患者さんの症状に対して、様々な角度から「弁証」という事をしていきます。
過去から近未来まで、病の流れを考えながら、今の病態を明らかにし治療していく方法です。
北辰会方式はそれらを捉える為に、体表を多面的に観察していきますが、
臓腑で言えば、肝の臓も脾の臓も心の臓も関わっていて、どの様に弁証し、どの様に治療していくか混乱…という事も多々あります。
そんな時は、先ず、臓腑は全て繋がっていて別々に出来ないという東洋医学の基本に返って、冷静さを保ち(笑)、
その上で、ツボの状態から、トップに病んでる所は何処か、そして、そこは何故トップに病んでるのか、
他の臓腑との関わりはどうか等を考えていきます。
繋がってるのですから、何処かが病むと、全体のバランスが乱れ、様々な臓腑に影響があるのは当然です。
そして、治療してみてどの程度、どの臓腑経絡のツボが修復するかを診ていきます。
体表は本当に正直です。だから私も治療ができるというもので。。
どこまでも、患者さんの身体から学ぶという姿勢を忘れず、治療に取り組んでいきたいです。