「日々の心いろいろ」より
先日、あべのハルカスで開催されている葛飾北斎展に行って来ました。
夕方に行かないと大混雑すると言われ、かなり遅めに行きましたが、笑いが出る程の混み方。明日で終わるのでこの土日は人しか見れないかも(笑)
ひとつひとつの作品に本当に圧倒されました。特に亡くなる直前に完成した作品「雪中虎図」は釘付けでした。
力強さとしなやかさ、ユーモアと真剣さが見事に調和…虎ですが龍が天に力強く昇っていってるようでした。一歩一歩。。。正に北斎自身ですね。横に、「画狂老人 齢九十歳」との署名がありました。
有名な言葉に「70歳以前に描かれたものは取るに足らない、80歳になれば更に進化し、90歳になればその奥義を極め、100歳になれば神の域に達する」とあります。
自称画狂老人しか言えない言葉ですね。
もうひとつ大好きな作品に芥子の花があります。作品に込められた思いは分からなくても見る側の心底を揺さぶりますね。
私の師匠も自称「鍼狂人」を名乗っておられますが、迫力といい繊細さといい何か共通するものを感じます。
狂人に出逢えて本当に幸せです。生涯報恩感謝の道を歩みます。
M先生からの真心のお花に癒されてます。感謝。
子供達も様々な症状で来院されますが、中に「夜驚症」の女の子がいます。
夜驚症(やきょうしょう)は、3歳~7歳の子どもに発症することが多い睡眠障害の一つで、睡眠時驚愕症とも呼ばれるようです。
この子も夜中1時頃突然起き出して絶叫し、立ったり座ったり泣いたりを約10分間毎日繰り返してるようです。朝は全く覚えてないらしい。
夜中静かなので、闇を破る叫びなんて生命力満タンですね(笑)
原因は、日中のストレス、恐怖体験、不安、刺激過多、緊張などと言われていますが、
日中の緊張やストレスを夜中に発散してるのでしょう。
この子は、刺さない鍼の中でも古代鍼という先の鋭利な鍼は怖がって使用できません。
先が一番太くて丸い鍼を使っています。それも、クレヨンって呼んでます(笑)形がクレヨンそっくりなので。。
初めはこのクレヨンでも大変な騒ぎでしたから、本当に敏感な証拠ですね。
過敏な人は年齢関係なくある面鍼の効果は抜群です。今ではすっかり起こらなくなりました。
自宅の窓から。神々しい夕日。
あっという間に11月です。11月と言えば母の命日月。先日も久々に夢を見ました。
起きた時、あれ?死んで居ないんだと、暫く確認しないと(笑)分からない程リアルな夢でした。
夢といえばユングですが、ユングはお母さんが亡くなった時、遠い所に行ってて電報で死を聞いて引き返したそうです。
そして電車の中で、ものすごく悲しくなっていると、結婚式のにぎわいのダンスの音楽とか、そういう楽しげな音が心の底から聞こえてきたそうです。
この事を通して、河合隼雄先生は、「結局死というのは結婚なんですね。死というのはこの世から離れてあちらへ結合に行くわけだから、言うならばこの世界の根底との最後の結合であり得るわけです。」と言われてます。
ユングも、「死というものには非常に残忍で悲しい面と、非常にめでたい面が共存してる」とお母さんの死を通して言ってます。
そして、「死後の生命という事を考えないような現世の生き方は完結しない」とユングは警鐘を鳴らしています。
私も母の度々出てくる夢を通して、死しても尚、生命は繋がっている事を強く感じますし、今、自分が現世で存在している事の意味を考えさせられます。
感謝の気持ちでこの11月を大切に生きます。
「日々の心いろいろ」より(レンゲショウマ)
私の母はよく「背中にその人の人生が現れてるわよ」と言ってました。
確かに。。患者さんの背中を見て泣きそうになるが時あります。
私は、もう一つ挙げるとしたら、最近特に「手」からその人を感じます。
同じ5本の手ですが、本当に様々。繊細な手、曲がった手、柔らかい手、ゴツゴツした手…その表情は触らないと分かりませんが。
先日も、お顔を見ても、お話をしてもそれ程分かりませんでしたが、手を触ったら、何て繊細な人なんでしょうと驚いた人がいます。 男性です。
体はガッチリしてるのに。。こんな手の人最近多いです。
ここ10年くらいでしょうか、男性の手が余りにも綺麗~と感じる時があります。正に白魚の手。
でも、白魚の手は繊細過ぎて精神的に辛くなる人が多いですね。良くなってくると手が微妙に変わってきます。
綺麗な中にも芯ができますね。
「日々の心いろいろ」より(スイレン)
数年前、師匠から譲り受けたALSの患者さんが、先日誤嚥性肺炎を起こして大変な状況に。
酸素値も40%代が続き酷いチアノーゼ。台風の真っ只中、深夜にもうダメかと親戚中を呼ばれたそうです。
この患者さんは、数年前、痰が詰まり救急車で運ばれるも中々受け入れてもらえず、病院に辿り着くまで23分。呼吸が出来ない状態のまま。。。
医者から脳死してないのは奇跡中の奇跡。信じられないと言われました。
そのまま人工呼吸器と胃瘻をされました。
あれから3年程経ちます。奥さんから懇願され鍼治療を続けています。
誤嚥性肺炎の翌日往診に行くと、患者さんが真っ直ぐ私の目を見つめています。
私が、「頑張ったですね。頑張って下さらなかったら今日会えませんでしたね。会えて良かった!」と言うと、涙を浮かべられました。
喋れなくても全く体も動かない状態でも、全て聞こえ、考える力はしっかりされています。
目を動かして、お口もほんの少し動かして一生懸命話しかけて下さっていました。
私達の会話は成立してます。声は聞こえなくても話してる感覚がちゃんとあるから不思議です。
何度も生死の境を彷徨っても、生きておられるのは、患者さんに、生きたい!との強い強い意志があるからだと私は思っています。
「生き抜いて奇跡を起こしましょうよ!」と言うと、「そうだ!」と力強く言われる声が聞こえてきます。
誰よりも御自身と闘っておられる患者さんに畏敬の念でいっぱいです。