調和の美。
素朴の美。
鍼灸専門誌『医道の日本』は、1938年創刊の月刊誌です。
この専門誌、戦前から続いてるなんて凄い事ですね。
今回、嬉しい事に先月9月の900号発刊記念特集に私の記事が、そして10月の80周年記念特集に師匠藤本蓮風先生の記事が掲載されました!
私は以前2回執筆依頼があり、1回目は5年前、作家の小川洋子さんが来院下さり、「小川洋子さんが語る「鍼の魅力」」というタイトルで小川さんのインタビューと共に、その時の治療過程が掲載されました。
2回目は、3年程前、患者さんの治療について師匠から指導を受け寛解に向かった記事でした。
今回、3回目「私の学び方 伝え方」というタイトルで、影響を受けた人物についての依頼を受け、
勿論師匠の蓮風先生の事を中心に書き、その人の凝縮の川柳を…という事で、「破天荒 不動の信念 鍼狂人」(笑)を文末に載せてもらいました。
それを受けて、10月号は蓮風先生が、「技の原点 学びの原点」とのタイトルのもと、半世紀にわたる鍼治療の原点を語って下さいました。
文末の質問「100年後の日本、世界の鍼灸界の動向」に対しての回答は、簡潔明瞭!ホント素晴らしい。
それにしても、一番感動したのは、師匠の座右の銘・支えの言葉でした。
それは、「慙愧と感謝」。心に深くタッチしました。
新穂高の山々
以前、大好きな画伯「東山魁夷氏」の事を少しブログに書きましたが、先日、京都国立近代美術館に生誕110年記念東山魁夷展に行ってきました。
一番始めに展示されていたのは、勿論、有名な『残照』でしたが、見た瞬間涙が出てきて…自分に驚きました。
多分画の魂に感応したのでしょう。
この『残照』は、東山魁夷が次々と肉親を失い画壇的にもドン底の状態にあった時、千葉県房総半島の鹿野山に登り見た光景だそうです。
そして氏は、「天地の存在はこの瞬間に私と同じ運命にあり、静かにお互いの存在を肯定し合いつつ無常の中に生きていると感じた」と言われています。
これは、東山魁夷にとっての「風景開眼」の絵と言われているそうです。
ひとつひとつの作品に釘付けになりながら拝見しました。感嘆感動…言葉では言い表せません。
他の画と圧倒的に違うのは、絵がどれも信じられない程に澄み切っているのです。本当に輝いていました。
何事も、同じものを見ても人により見え方感じ方が違います。一点の濁りも無い澄み渡った魂に映し出された画伯の絵は、自然と人間の完全な融合…美の究極に感じました。
こちらの魂にまで届く程のインパクトがありました。
一本の鍼もそうありたいと心から思いつつ、自省しながら感動の余韻に浸っています。
上高地の水はホント美しい。
心が洗われる美しさ。
先日関西の番組で、「ポリファーマシー」の事を取り上げてました。
ポリファーマシーとは、必要以上に多種類の薬を飲んで健康被害が出る事です。
薬の副作用で、手が勝手に動いて止まらなくなったり、無表情になったり、急に気を失ったり、原因不明の様々な症状が出るとの事…(怖っ)
ある患者さんは、薬の副作用を疑ったそうですが、自分は専門家でも無いので、医者に言いにくかったらしく。。。
主治医が変わった事で薬を見直し、10種類から4種類に減らしてもらい、手の震えや気絶は無くなったんですって!良かったぁ。
私の患者さんにも、20種類の薬を服用され、足が痛くて歩けなくなった人がいました。お医者さんに言って減薬してもらうと歩けるように。。特に精神疾患の患者さんに処方される薬の量は半端無いですね。ホントに問題です。
また降圧剤は患者さんから言わないと低くなってても処方されるので、ふらついて倒れる方が多いです。
番組では、念の為の薬の処方をしてる医者が多い事や、患者さん自身が睡眠薬等の依存になって要求するなど、減薬の難しさを取り上げてました。2種類の眠剤はふらつきで転倒危険が高いと言われてましたが、2種類以上服用されてる人は多いですね。
また、胃薬が原因で意識不明や認知度の低下、更には転倒骨折した人の薬の量を調べると、沢山飲んでる人が多いという結果に。
お薬手帳を一冊にして、パソコンで重複してる薬を調べて減薬してる所もあり、今後、日本も3種類以上は出さない等減薬の方向にドンドン向いて欲しいです。
薬の多用は自然治癒力を阻害しますし、国保もパンクしますので…してるかも。。。どうか宜しく。
75歳男性。昨年末に前立腺ガンと診断され手術。今年の7月~8月迄の2ヶ月間、毎日、通院にて放射線治療に通う。
放射線治療が終わった9月初め風邪を引き、食欲が無くなり、痰の絡んだ咳が止まらなくなる。発熱無し、夜は咳で全く眠れず、夜中トイレに10回以上いく。身体が異常にしんどいのに昼寝も出来ない状態。医者から抗生物質を処方されるも、全く効果なく、奥様から電話を受け往診に伺う。
少し問診と体表観察すると、上背部の特に右風門から心兪にかけてひどい虚。腰部から臀部の冷え。ただ足の肝経と腎経のツボをチェックすると、意外にも虚していないのに驚く。
身柱にお灸を7壮すえてから、天枢に、2番短鍼で20分置鍼。
鍼の後、咳が止まり、夜中10回のおトイレが5回になり食欲出てくる。数回出勤も出来るようになる。
夢の中 鍼する私が ハッキリと
一年振りに 電話あり by 実千代
40代女性。10年前からストレス過多。その後、台風が発生すると頭が上げられず数日寝たきりになる。更に人間関係のトラブルから、体が動かず涙ばかり出るようになり約2年間休職する。職場復帰したものの、自宅に帰るとぐったりして何も出来ない状態で来院。
その他、ふらつき、むくみ、寝付きが悪く、暑い時も無汗。頻尿、夜間尿。月経前は眠れない。
体表観察情報から、下半身の弱りと、心下部の停滞から、上下の気血の巡りが悪いための疲労感と考え、右「申脈穴」に置鍼。
鍼後、疲労感が増して心下部が詰まってきたものの、下痢をして後スッキリする。ふらつきと過剰な食欲も無くなり2診目の治療(申脈)以降、身体が軽くなる。その後、三陰交、後渓、神門の何れかの穴を使用。
現在14診目で、先日の大型台風時も動ける様になり、背中に汗もかける様になる。心下部の痞えが取れる事によって全身の気血が巡り出し、浮腫み等が徐々に改善。
「気が付けば 大型台風何のその
貴女の顔は大晴天」by 実千代