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実千代鍼灸院 Michiyo Acupuncture Clinic

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症例

2012年2月8日(水)

喘息 []

尼崎市在住:10歳 男子
主訴:喘息
初診日:平成23年10月初旬

(現病歴)
生後3ヵ月の時アトピー発症。全身に広がりネバネバの肌汁が出て掻きむしり、出血してマシになるを繰り返す。特に春先が酷くステロイド剤にて緩解。5歳になりアトピーがましになると喘息が出るようになる。

ヒューヒューの喘鳴と黄色の痰、咳がひどくステロイド剤を吸入する。水泳をしている時はましだったが止めてから悪化。9歳の時、薬を止めて症状が悪化し仕方なくステロイド剤を点滴する。昨年の運動会後も悪化し点滴使用。アレルギー検査では、ハウスダスト、ダニ、犬猫に陽性反応。

(その他の情報)
・飲食:酸味を好む、嫌いなものは揚げ物やケーキ等。
・便通:正常。
・時々歯茎が腫れるときあり。
・手足が冷える。

(特記すべき体表観察)
顔面診:心と腎の部位が白く抜けている。
舌診:暗紅色でやや色が褪せている、白二苔。
脈診:滑枯脈、脈幅有り、脈力やや無し。
原穴診:左腕骨・太渓・照海虚、左合谷実。
腹診:心下邪、左肝之相火邪。
背候診:左心兪から脾兪まで実熱、右腎兪虚。

(診断と治療方針)
喘息とアトピーは裏表の関係にあり、上記のようにアトピーが引くと、今度は喘息に病が移行することは多々見られる。
これは、肝の臓と肺の臓の関係で、東洋医学の臓腑経絡詳解では、肝と肺の図は非常に似ており(肝は七葉、肺は八葉)両者の関係が深いことを表し、肺と肝は人体の気機調整(全身の気血を巡らせていく事)に大きく関与していると言われている。(臓腑経絡学説P41参照:藤本蓮風著)

肺の蔵は皮膚と密接のため喘息となり、肝の臓は伸び伸びしていることを好む臓なので、何かのストレスが過多になると肝の臓に異常な反応が生じる。

このお子さんも性格がデリケートな上、小さい頃からアトピーも発症していた関係から容易に肺の臓の気機が伸びず喘息を起こしやすい状況にあったものと思われる。ステロイド剤は副腎皮質ホルモンのため長く使用していると腎の臓へ影響がある。そのことが体表観察の上にも脈にも出ていたため、打鍼による治療とする。(打鍼は生体に非常に優しいため)

(治療)
初診時~3診目まで:火曳きの鍼、両脾募、右肝之相火。
4診目~10診目まで:外関穴を2番鍼にて置鍼10分を加える。

(治療効果)
今まで夜中ヒューヒューの喘鳴の次の日は喘息がきつかったが、治療してからはかなりましになる。4診目から殆ど喘息は出なくなる。少し出ているアトピーの痒さも殆どなくなる。12診目に弟のインフルエンザがうつるが喘息は起こらなかった。ステロイド剤も全く使用していない。

(考察)
たった十数回の治療で喘息が殆ど出なくなりアトピーも良くなっていかれました。本人の顔つきも本当に元気になり喜んでいます。

喘息は風邪が引き金で発症する場合が多いため、普段から乾布摩擦などで皮膚を鍛えることも大事です。

どのような病でも、身体から治していくと、多少のストレスがかかっても身体に影響することはなくなっていきます。

また、ご家庭で愛犬を飼われていた時、医者から飼うのを止めるようにとの事で相談を受けましたが、そのまま飼い続けられても喘息は発症しませんでした。
このように、薬でなく自分の自然治癒力を発揮する鍼灸治療は、病気を根治させる優れた治療だと確信します。

2012年2月4日(土)

アトピー性皮膚炎 []

篠山市在住 :生後 10 ヶ月
主訴:アトピー性皮膚炎
初診日:平成23年10月初旬

(現病歴)
生後 5ヶ月頃からアトピー発症。頚回り、顔面、肘、膝、左耳~お腹と胸、背中にも広がる。耳と首をよくかき、掻くと時々黄色い汁が出る。お母さんも大人になってからアトピー、お父さんは小児喘息。アトピーは、涼しいとマシになり、入浴後や夕方、朝がひどい。便は2日に一回でヨーグルトの様なツンとした臭いがする。

(診断と治療)
まだ授乳中なので、お母さんの食事の状態をチェック。油物が多くなり、最近アイスクリームを食べているとの事。
アトピーは皮膚炎というだけあって、ほとんどが熱疾患であり、上記の様な食事を摂取し授乳すれば、それが子どもの身体に邪熱を生じる事になる。また、黄色い汁が出ることから熱が湿と結び、湿熱の状態にあると思われる。診察した所、足が冷えて上部の熱の方が強く乾燥している事から熱を取る治療とする。

(治療)
初診時~5診目まで: 接触鍼の古代銀鍼にて、百会穴、行間穴と背候鍼(背中の熱感の強い所に接触鍼で散鍼をする)

6診目~12診目まで: 上記の行間の代わりに両方の少沢穴。

(治療効果)
一回目の治療で、黄汁は酷くなったが、赤味がマシになる。治療後、毎日便通がつく。
治療度に赤味は引いていく。顎の下や首の周りの痒みがしつこい。現在、16診目。殆ど綺麗な肌になる。(下記写真参照)

(考察)
本当に可愛い赤ちゃんで、誰にでも愛想がいいので、たくさんの人から可愛がられて(いじられて)お子さんも疳の虫が高くなる事は容易に想像できます。(実際、多くの人に接した後キーキーと高い声を出すこと有り)

両親ともアトピーと喘息という既往歴もあり、『肺の蔵』と『肝の蔵』のバランスが乱れ(アトピーと喘息は表裏)両親の体質を受けアトピーが発症したと思われますが、熱を取る治療でどんどん綺麗になりました。ステロイド剤を使用せず、全く痛みのない接触鍼だけの優しい治療は、北辰会代表の藤本蓮風先生が考案されたものです。これによって多くの方が救われています。


治療前


治療前


治療後


治療後

2011年12月23日(金)

小児ぜんそく []

西宮市在住 3歳女の子
主訴:喘息
初診日:平成23年1月末

(現病歴)
生後8ヶ月の頃、引越しやお母さんが働きに出るようになる等、子どもにとって環境が大きく変化する。その2ヶ月後おむつを外してから家以外で排便をしなくなり便秘になる。風邪も引きやすくなり(月1回)たまに扁桃腺を腫らし40°の高熱がでるようになる。

冬場、乾燥すると身体全体が痒くなり、喘息様の症状が冬より春に起こることが多くなる。2歳5ヶ月から本格的に喘息発作がおこるようになった。
1年間抗アレルギー剤を喘息が無いときも常時服用。また、気管支拡張剤も同時に使用している。

昨年の12月、鼻づまりが酷く耳鼻科にて原因不明のアレルギーといわれる。(好中球が多い)鼻水が出ると咳になり、その後、高熱で病院に行き、三種類の抗生物質を服用し解熱して症状はおさまった。
今年も同症状がおこったためホームページにて来院される。

(その他の問診事項)
・塩辛いものが好き。
・顔からの汗が多い。
・痰(黄色)が切れにくい。
・明け方4時ごろに調子が悪くなり今も母乳をほしがる。

(診断と治療)
元々敏感なお子さんなのでお母さんが働きに出たことにより、肝気がたかぶり便秘になったと思われます。(便秘は精神の緊張によって引き起こされる場合が多いため)

更に、便秘は身体に熱をこもらせてしまいます。冬乾燥時期に身体が痒くなるのも発汗しないため身体の熱を発散できず、熱が皮膚に停滞し痒くなったものと考えました。

お父さんも子供の頃、小児喘息を患うなど、「肺の臓」が弱い体質だったため、引越しの時のほこりや、風邪を引き金に喘息を発症するようになったと思われます。

咳が出ると、1時間も止まらないことからも肝気の上がりすぎによって起こる気逆咳(一旦出ると止まりにくい咳)と判断し、肝気の高ぶりを下げる治療方法とします。

(配穴場所)
子供のため、刺す鍼を用いず、接触鍼(古代鍼)にて治療を行う。

1診目~:百会(古代銀鍼にて6回接触)、背中の散鍼。時々、行間の接触鍼を入れ、熱がきついときは十井穴。痰が絡んでいる時は太白に古代金鍼にて補法を加える。

(治療結果)
7診目頃には、よく食べるようになり太ってきて、喘息も殆ど出なくなりました。14診目には医者から薬をやめましょうといわれる。
その後、風邪をひいても喘息はほんの少し出る程度で良くなってきました。
現在は喘息発作もなく風邪を引いても心配しなくなりホッとしていますとお母さんが言われます。

(考察)
毎回の治療に本当に喜んで来てくれます。鍼も刺すことなく接触鍼(古代鍼)なので赤ちゃんから敏感な先端恐怖症のような大人まで対応することができます。子供たちはたとえ発作が起こっても、「はりの先生につんつんしてもらう」といってこちらに親を連れてくるほど、小さくても効果を感じてくれています。

多くの喘息や病気で苦しむ子供たちにこの鍼の効果を体験させてあげたい気持ちでいっぱいです。
またお子さんが元気になれば、ご両親が何より元気になります。その反対も然りです。親子の関係の深さを感じています。

2011年12月19日(月)

副鼻腔炎 []

川西市在住 14歳 男子
主訴:慢性副鼻腔炎
初診日:平成23年10月下旬

(現病歴)
小学校1年の時から、毎年冬になると鼻水(黄色)と鼻閉が起こり耳鼻科で吸引と抗生物質を投与。今年は夏の終わりごろから鼻詰りが始まる。左右は移動する。

(既往歴)
1歳の頃40℃発熱し肺炎で5日間入院。発熱したとき右上腕に赤いしこりができ切除する。中学に入りクラブや通学に時間がかかるため帰宅時間が遅くなり8時半ごろ夕食をとるようになる。この頃から、油ものを食すると胃がムカムカするようになる。現在、食事は魚や野菜が中心。

(その他の問診事項)
・口の渇き有りで冷飲を一気に飲む。
・月に1,2回便秘する。
・汗が多く顏を中心にかく。
・黄色い痰が絡む。

(主な体表観察)
舌診:紅舌、白い苔が全体についている。
腹診:右肝相火の邪、左天枢の邪、心下から右脾募の邪。
原穴診:虚(左太淵、合谷、腕骨、照海、太衝、衝陽、右太白)虚中実(右合谷、太衝)
背候診:身柱から霊台の熱感、左心兪熱、右心兪から肝兪まで実。

(診断と治療方針)
鼻を中心とした湿熱傾向は副鼻腔炎の特徴です。熱は実際副鼻腔炎側を触れると熱感があり、黄色い膿みは熱が湿と結びついた状態です。
そのほか、上部(首から上)の熱傾向としては、口の渇き、黄色の痰、たまに便秘(便秘は身体に熱をこもらせます)、顏からの汗が多いことなどからも考えられます。

毎年、冬に蓄膿が悪化するのは腠理(毛穴)が寒くなると閉じて発汗しなくなるため、熱傾向の人は身体の中に熱を益々こもらせてしまうためです。

油物や甘いものなど摂取すると胃がムカムカするのは、それらの食べ物はやや弱ってる胃に熱をこもらせてしまったと思われます。胃と、両方の頬は陽明胃経という経絡でつながっていますので、頬を中心とした副鼻腔に炎症がおき症状が出たものと考えました。

熱をダイレクトに除去し、多忙で肝気の高ぶりを抑えるツボを選んで治療していきます。

(治療方針)
初診から4診目まで:神道穴に5番鍼にて置鍼。(10分から20分)
5診目:後溪(左)2番で20分
6診目:外関(右)2番で20分
★ 1診目の治療の次の日、鼻つまりが朝起きた時になくて楽になり、鼻水の濃度が薄くなる。4診目で鼻はほぼ良くなる。

(考察)
数回の治療で副鼻腔炎がよくなったばかりでなく、背中のブツブツ(これも湿熱です)も綺麗になってきました。
神道というツボで身体にこもった熱(特に肝の蔵の熱)を取ることが出来たばかりでなく、置鍼の間本当に気持ちよさそうに寝ている姿に、緊張が緩んでいるのだと感じます。

日々の緊張度合いは、脇腹の肝の相火という場所がこそばくて触診できないことからも感じられます。鍼をする前と、後では脇腹のくすぐったさが明らかに違います。

また、やや胃腸が弱いことから、ストレスをかけ過ぎると、胃に症状が出やすいので、普段からよく歩き、緊張と胃の調子を調えることをお勧めします。散歩は緊張をゆるめ、胃腸を活発に動かせますのでかなり有効です。

2011年11月9日(水)

頚凝り、めまい、偏頭痛 []

神戸西区在住 43歳 女性
主訴:頚凝り、めまい、偏頭痛
初診日:平成23年8月下旬

(現病歴)
社会人になり運動不足になってから肩こりを感じ始めるようになる。
30歳頃、パソコン作業が増え更に肩こり悪化、偏頭痛もおこるようになる。
多忙な毎日で神経を使う日々が続いた去年の冬頃、頚が懲りすぎてめまい(フワフワした感じ)になる。その症状が一週間継続する。
その後、夏にも同症状が出現し、加えて息が吸いにくく炭酸水など飲んでスッキリさせていた。偏頭痛は、ストレス時や疲れたときや、生理前、排卵前、雨が降る前に、額あたりがズキズキ痛む。
今年の夏も同様の症状がおこり中々眠れない時があるため、紹介にて来院される。

(特記すべきその他の問診事項)
飲食:昼は外食、夜遅い食事が多い、油物で胃もたれするので野菜と魚中心の食事。間食は生理前のみ甘いものを欲する。
冷たい飲み物を好む。
二便:生理前に便秘するが普段は順調、尿は1日8回から10回。

(東洋医学負荷試験)
入浴時間:適温5分でスッキリ、長湯すると動悸がする。
運動後の主訴の変化:ゴルフ、ウォーキング、体操などをしスッキリするが主訴の変化は無し。

(主な体表観察)
舌診:紅色、舌先から舌辺にかけて紅点多数で剥けている、右に舌が傾いている、乾燥。
脈診:1息4至半、細・緊脈、両尺位弱、脈幅無し力有り。
原穴診:左)虚(太淵・神門・照海)実(衝陽・臨泣)
右)虚(太白・陽池)実(後渓)
腹診:右肝之相火実、胃土

(診断と治療方針)

ストレス過多により、上焦(上部)に気が偏りそれを長期にわたって継続
したため発症したものと考える。特に偏頭痛は、ストレス時や雨の前など
肝気が上がりやすい状況下で発症し、運動しても緩和されないことからて
いることからも長期の気の偏りが考えられる。酷いときは、息が吸いにく
いことは一種の小さなパニックで肝が高ぶりすぎるとしばしば起こる現
象なので、肝気の高ぶりをおさえる治療方針とする。

(治療配穴と効果判定)

1診目から9診目まで:後渓(左右どちらか)10分~25分の置鍼。

★5診目ごろから頚の凝りがかなりマシになり、偏頭痛の回数も減少して
くる。冷飲より温かいものを好むようになる。

(考察)
長年の頚肩こりや偏頭痛などが10回ほどの治療にてかなり良くなってきていることに鍼灸の効果を実感していただけたと思います。

しかし、年齢的に徐々に下半身の腎の臓などが弱ってきますので、神経ばかり使わずに、ゆっくり散歩するなど下半身を強化されると、肝気が簡単に上へ昇らなくなります。

40代50代で運動しているかどうかで、その後の健康状態や若さなど大きく差が出てきます。
一番働き盛りの年齢ですが、将来のために今を賢明に過ごされることを望みます。

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