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2011年12月19日

Vol.81鍼と魂

「鍼は魂に響く」とは尊敬する師の言葉。
何という素晴らしい一言か。
今連載してくださっている産経関西の「蓮風の玉手箱」では、九州大学大学院医学研究院教授の外先生との対談が掲載されている。
素晴らしい内容、一言一言に重みを感じる。
ひとりでも多くの人に読んで頂きたい。

今月18日付けには、前立腺癌から骨転移した患者さんの激痛を取られた事が紹介されてた。
実は師の所に研修に行かせて頂いた時、お会いした患者さんだった。
たまたま、その患者さんとブースで2人になった時、彼は私に忘れられない一言を言ってくださった。
「鍼一本で痛みがなくなったんですよ。信じられますか。」と。あの時の声は今も耳から離れない。
歓喜と優しさが魂(心の深い部分)から出たとしか言いようのない一言だった。

師匠が鍼を通じて患者さんの魂の領域まで動かされたのだと感じた瞬間だった。

外先生は西洋医、麻酔・蘇生学分野の第一人者でいらっしゃる。そんな先生が、東洋医学の真髄を極めておられる我が師匠の言葉に唸っておられる。

御二人の対談に大いなる希望の光が見えて私の魂が震えた。

2011年12月09日

Vol.80医療者として

医療に携わる者が一番大切にしないといけない事は何か。
それは、相手の立場に立てるかどうかではないか。

今、癌末期の方の往診治療に行かせて頂いている。
9月から自宅に戻り現在に至るまで、見違える程お元気になられた。
真っ白だった髪と眉は黒くなり、顔色も良く、眼に光が出てきた。
「強い抗癌剤で一気に10年老けたんです」との奥様の言葉が「15年程若返りました」に変わった。

そんな中、訪問医は来る度に、病状をご夫婦に懇切丁寧に説明して帰る。病状をそのまま伝えるのが医者の仕事なのか!
医者の一言一言に生きる気力を失いかけるお二人。
容赦なく追い討ちをかける医者の言葉に怒りが湧いてくる。

私の鍼灸の師匠、藤本蓮風先生は今、ブログの中で「身体と心と魂」について書いて下さっている。
「心」、そしてもっと心の深い部分の「魂」の領域まで、身体はつながっている。
身体しか見ていない医者の何と増えたことか。
身体と心、魂はつながっているとはっきり自覚してこそ、患者さんの前に立つ資格があるのではないかと感じる。

2011年11月26日

Vol.79不思議な母の命日

人が亡くなった時、「心の中に生きている」とか、「魂は死んでない」「ずっと残った人を見守っている」など様々いわれる。
実際、その通り亡くなった人は、大事な人の中で本当に生き続けている事を実感する。

今日で母が亡くなってまる7年が経つ。鍼灸を愛し、実践し続けて50年。
母が亡くなった11月には、毎年毎年、不思議な事がたくさん起こり本当に驚いている。
そのひとつに、三回忌の11月、7回忌の11月と節目節目に一日71人の患者さんが来て下さる。
まる7年目の昨日も患者さんがピッタリ71人来院された。母が亡くなったのは丁度71歳。不思議な一致は偶然とは思えない。

また、母の下で11年間手伝っていた私は、言わなければ私達が親子ということに気づかないほど特に似ているわけでもなかった。
それが、母が亡くなり私が始めてからは一変した。
母を知る多くの人に、恐いほど私は和先生に似ていると驚かれる。
声、間のとり方、触り方、話し方、カーテンの開け方まで・・・・昨年も、遠方から母を知る男性が来て下さった。男性が寝ているブースに入ると、その方は目頭を押さえて嗚咽されていた。どうされましたか?と尋ねると、あなたの声が和先生と同じで、そこに生きておられるようで・・・と懐かしんで涙されていた。

母を知る懐かしい患者さんが揃って訪れるのは11月。待合室は母の話題で賑やかになる。本当に不思議な月。

何年経っても母のために沢山のお花が届いたり、懐かしんで来院されたり、反対に悲しすぎて今もここに近寄れなかったり、と母は亡くなっても最高に幸せ者だと毎年感じる。

ひとつだけ母の時と違う事は、私の代になってガンの患者さんが多く来院されるようになったという事。
ガンで亡くなった母が身をもって残してくれた7年前の思いは、私の中で一生消える事のない毎日だった。
昨日のことの様に私の命に刻まれてしまっている。

母はここに生きていると実感してならない。私にちゃんと大きな課題を残して。

ここ、私の命の中で生き続けている母・・・今度は本当にどこかで、また母に出会った時は褒めてもらえる様に今日からまた技術も精神も共に磨いていきたい。