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2012年12月11日

Vol.115奔放な豚の病?

日曜のお昼頃、患者さんからお電話があった。
様々症状を話され、わたし脳梗塞かも…と不安げな声。脳梗塞では無いと思いますが、カッとならないように、足元を冷やさないようにとお伝えした。が、その日の夜ご主人からお電話があり、妻が倒れて動けなくなっているとのこと。やはりカッと怒った直後だったらしい。東洋医学でいうところの奔豚(ほんとん)証かなと思ったが、急に血圧が高くなって切れる事も考えられる。直ぐ救急車を呼ぶことと、来る迄の応急処置等をお伝えした。
でも何度電話しても救急車を呼ばれてない。何故?何回目かで本人が途切れ途切れの小さな声で電話口に。聞き取りにくかったのでご主人に代わって下さいとお伝えした。その時のご主人を呼ぶ大きな声に、完全にホントンだとホントに確信し少し安心した。

最近このような患者さんが非常に多い。
奔豚証は、東洋医学では、少腹部から胸や咽喉に向かって、気が発作的に突き上げるもので、一種のヒステリー症状の事。原因は簡単に言うと、土台である腎の臓が弱って下半身が不安定な所、イライラし過ぎて怒りの火(肝火)が上って倒れるというもの。

感情の爆発は急激に気を上に引き上げ卒倒してしまう場合が多い。特に血圧が高くなり易い中年以降や寒い時は注意が必要。ご本人にも、「これは奔放な豚って書いて奔豚(ホントン)と言います。ヒステリー症状のひとつなんですよ」とお伝えした。笑顏で帰って行かれ先ず一安心。

この医療に携わっていていつも考える事は、患者さんの情動の問題。また、こちらも患者さんの感情とどの様に向かい合うかということ。
育ちも環境も年齢も違い、当然、性格も考え方も全く違う。こちらが何やかやと言ったところで湧いてくるのが感情というもの。が、その鬱積された感情が様々な身体の不調和を生み出す根源だから厄介者。

その患者さんは次の日来院され、長年の様々なご苦労をお話ししてくださった。かなり複雑で込み入っていたが、ただ私は話を聞くだけ。すると、話されながら、ご自分でドンドン気持ちの整理をされ、最後は解決法まで語られた。全て分かっておられるのだと感心した。こうして自分で気づく事が何より必要ではないか。
そして大切なのは、辛い気持ちを心から理解してあげる事。自分の事を本当に分かってくれる人が1人いれば皆救われるのだから。

問題によっては、比較的直ぐに解決できるものと、長くかかるものとある。この患者さんの問題は長くかかるようにみえて、早く解決するのではと感じた。解決というのはその問題に、ご本人が振り回されなくなるという意味。私にできることは、しっかり鍼をして気のバランスを整えていく事と、患者さんにとって、ずっと変わらない理解者でいるという事だと感じている。

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