症例

2013年01月07日(月)

動悸 [循環器系]

大阪市在住 26歳女性
主訴:動悸
初診日:平成24年7月上旬

(現病歴)

小学生の頃から、緊張したり、運動したりすると動悸し脈拍が通常の2倍(150―160)になるため、深呼吸しておさまるのを待つ。(2分〜5分程)

今まで検査をしても異常は無かったが、昨年の検査にて「発作性上室性頻拍」「心室期外収縮」と診断され、脈を調える薬を朝夕一錠ずつ服用するも変化は全く無かった。

ここ1〜2年仕事で緊張することが多く、冬は便秘になり動悸が頻繁に起こる。その時、心臓が上がってくる感じがして、貧血様症状になりふらつく。また、寝入ったところ首を締め付けられるように息苦しくなり、動悸して目覚める事が、10分〜20分単位で2〜3時間続くとき有り。
この時の動悸は上記の発作とは違う感じがするが、何れにしても動悸に対する不安感が大きく、実千代鍼灸院に通っている友人の紹介にて来院される。

(その他の症状)
・高音の耳鳴りが最近は頻繁に起こる。また、肩こりや肩甲骨の凝りから頭痛になること(両こめかみ)が以前からある。

(その他の問診事項)
・動悸は、緊張時、焦ったとき、飲酒後、蒸し暑いとき、走った後などに悪化する。
・飲み物は、冷飲を好むが常温にしている。
・汗は多い方で冬でも時々寝汗をかくとき有り。
・睡眠は、寝付くのに30程かかり、夢も幼い頃から追いかけられる夢や、火事や津波の夢も多い。
・生理痛(生理1日目)も酷く、生理前に過食や便秘になり、生理後身体はスッキリする。(医者に芍薬甘草湯など処方されるが、甘草が入っている漢方薬を服用すると吐き気がするので中止)

(特記すべき体表観察)
顔面診:心・肝・腎の部分が色抜けている。
舌診:暗紅舌、舌先紅点多数、白粘苔、老舌(舌力有り)。
脈診:1息4至半、脈幅力とも有り。
原穴診:虚:左太淵・神門・外関・太衝・照海・申脉。
虚中の実:左後溪。
腹診:やや右大巨、胃土、左肝之相火、右脾募の邪。
背候診:督脈上神道から下全て圧痛熱感有り、左厥陰兪〜心兪実、右志室虚。

(診断と治療)
この動悸は、緊張した時、飲酒後、蒸し暑いとき、走った後など一時的に体の中に熱がこもった時に起こるのが特徴です。
更に、汗が多く冬でも寝汗をかく事があり、寝付きが悪いという症状を伴います。

これは、東洋医学の動悸の原因の中では、心火上炎(しんかじょうえん)に属すると考えられます。ストレス過多によって本来、熱性の強い「心の臓」に更に熱をこもらせて発症するというものです。

心の臓の火が盛んになるということは、陽と陰の関係で言えば陰が減少するということになります。陰が減少すれば、特徴として上記のような寝付きが悪い、寝汗をかくという事が起こりやすくなります。

よって、治療は、心の火(熱)を取り去り、同時に陰を増やすツボ、今回は左の後溪というツボを中心に使用していきました。

(治療結果)
一回目の治療の後、身体の緊張が緩みましたと言われ、数回の治療で夜がよく眠れるようになってきました。心の火が冷まされると、眠れるようになります。すると徐々に、陰も補われて動悸もなくなってきました。

多忙時や緊張が強いとたまに寝付きが悪くなることがありますが、鍼灸の治療で直ぐに回復できるようになり、首が締め付けられるという症状もなくなりました。

(考察)
患者さんは、性格的に控えめで我慢強い方なので発散を上手くできずにバランスを崩されたのだと思います。

心の臓は、程よい陽気に支えられて精神活動を安定させています。上記のように、陰と陽のバランスがとれれば、体調も調い、それが精神面にも影響してきます。本来ご本人が持っておられる優しさと芯の強さがバランス良く発揮されますよう心から願っています。

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